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寅さんばりにグッとくる「フーテンの“もぐ次郎”回」3選 〜空気階段の踊り場〜

ラジオ「空気階段の踊り場」の過去回を聞いていて、「もぐらさんって、男はつらいよの寅さんっぽいな」と感じることが度々あった。

なので6/27放送の最新回で、あの本家のメロディとともに本家オマージュの口上が聞けて、個人的に嬉しいアンサー回となった。

「わたくし、生まれも育ちも千葉県旭市、市営団地で産湯につかり…姓は白鳥、もとい鈴木、もとい うい、もとい鈴木…名はもぐ次郎、人呼んで “フーテンのもぐ” と発します。」

それにしても最新回と、その前週の回(6/20放送)は、下手したら本家より人情噺の純度が高いのではないかと思う。

特にもぐらさんの母の言葉が、どれも深い。(でも笑えるの、なんでなんだろう…)

また、もぐらさんの家族に対して・仕事に対して、自分なりのルールや美学を貫いているところも、本家・寅さんに通ずる部分がある気がしている。そうした、もぐらさんなりの対応や葛藤、照れくささなど全部ひっくるめて人間臭くて、いちいち惹きつけられるのだ。

そこで今回は「空気階段の踊り場」で、もぐらさんの寅さんイズムを感じる回、いわゆる「フーテンのもぐ次郎」回を独断と偏見でご紹介したい。

特に、鈴木もぐらという芸人をただの「借金クズ芸人」と思っている人にこそ、下記回をラジオクラウド(無料アプリ)で聞いてほしい。

【#92アフタートークから見る、寅さんイズム】

#92のアフタートークで 、もぐらさんの家族がもぐらさん出演番組を逐一チェックしていないということを受け、こんなやり取りがあった。

かたまり「普通、家族内に芸人やっている人がいたら、(家族は)出演している番組を見たり聴いたりするのが普通じゃない?」

もぐら「普通、普通って言うな!家庭間の “普通” は、よくわからないし存在しない。芸人やっていることを隠している人だっている。そんな簡単に普通っていう言葉を使ってはいけない!」

何の気なしに日常生活で使ってしまう「普通」という言葉。
果たして本当に「普通」という状態はありふれているのだろうか。「普通」という名でコーティングした常識を相手に押し付けてるだけなのではないだろうか。

もぐ次郎さんの主張を聞いて、「普通」って言葉の使い方を考え直すきっかけとなった。

「特に家族において、普通って何なんだろう」と思わず、空を見上げてしまった。これは、映画『万引き家族』を見た際にも同じようなことを思った気がする。カンヌにも通じる「答えのない問」が、ふとした瞬間にブチこまれるのも、もぐ次郎と踊り場の魅力なのかもしれない。

【#95本編&アフタートークから見る、寅さんイズム】

芸やお客さんに対して上から目線気味な、相方のかたまりさんを終始もぐ次郎さんが諭す回。

単独ライブのチケットについて、まわりに「即完売するんじゃない?」と言われた時のかたまりさんの「まあ、まあ、そうですね(オレ、スゴイ)」的な態度について「それって、違うんじゃないかい?」とジワジワ正論で詰め寄る、もぐ次郎さん。
ラーメン屋さんを例に出して、かたまりさんを説いていくさまは、まさに小気味良く持論を話す、本家・寅さんを彷彿とさせる姿だった。

以下、もぐ次郎さんの謙虚な名言。

「感謝と感謝で成り立っている日本社会」
「芸人にとっては日常的で何十回・何百回とある舞台。でも、お客さんにとっては人生で1回だけの非日常な体験かもしれない。たった1回の非日常を最大限、楽しませなきゃいけない。」

こーんないい事を言っているのに、電車で寝過ごしちゃって舞台に遅刻することもあるし、借金額も更新し続けてるんだよなーと、もぐらさんのクズな部分が頭をよぎる。

本家同様の悪気がなくて憎めない感じが、もぐらさんの魅力なのかもしれない。

【#118本編「蘇我で野宿」を言う・言わないの線引きから見る、寅さんイズム】

ある日、蘇我駅で野宿をしていたことをTwitterでつぶやいたもぐらさん。

そのつぶやきを見たリスナーが、蘇我駅に出向き、もぐらさんを見つけ人生相談にまでのってもらっていたことが、リスナーの投稿により明らかになる。しかし、その投稿が読まれるまで「蘇我で野宿した事実」は言っても「リスナーと会ったこと、話したこと」をかたくなに、もぐらさんは言わなかったのだ。

もぐ次郎さんいわく、「また、兄貴感が出てると言われるかもしれないけど、蘇我でリスナーと会った話は自分のものではなくリスナーのもの」なのだそう。

リスナーに対してだけでない。高校時代に地方まで追っかけをするほど「銀杏BOYZ」の大ファンだったことも、峯田さんの口から明かされるまで、自分からは決して言わなかった。相方のかたまりさんにも伝えていない徹底ぶりには驚いた。
(この話は「#103 本編 駆け抜けてもぐら 〜僕と銀杏の青春時代〜」を聞いて頂きたい。)

かといって、もぐ次郎さんは単なる口が重い人、秘密主義の人かといえばそうではない。

私が何の気なしに、もぐらさんの誕生日プレゼントとして送ったAmazonギフトカードが先月たこ焼きセットになった。
(たこ焼きセットになった詳しい流れは、良ければこちらから)

ディレクターの越崎さんや作家の永井さん、相方のかたまりさんによって手配された、たこ焼きセットが「お誕生日おめでとう〜」ともぐらさんに手渡され、これで終わりだと思っていた。

しかし、もぐ次郎さんだけは違った。誰しもその存在を忘れかけた翌々週の放送で「頂いたたこ焼きセット、持って帰ったら甥っ子姪っ子が喜んで…。自分も食べたかったけど、出かけている間に家族が全部食べちゃってました。」とプレゼントの顛末を番組内でご丁寧に報告してくれたのだ。

なんか聴いていて申し訳なくなった。
番組時間30分しかないのに…。

もぐ次郎さん、義理堅すぎません…?

その報告の後に「(お祝いの品は)ありがたいんですけど、もう大丈夫ですから…お気持ちだけで。お金の使い方、物の使い方がわからない人間なので…」と伝える様子は、高倉健さんも降臨しているかのような不器用なものいいだった。

最新の放送(6/27)では、甥っ子・姪っ子に直接門出を伝えることなく実家を出た、もぐらさん。

もぐらさんの中で、これは言う・言わない、照れくさいから言わないなどといった線引きがしっかりあるのだろう。

実家を出てSeason5を歩みだした今、もぐら母が投げかけた言葉じゃないけど、本当にもぐらさん一家にはますます幸せになってほしいと願ってやまない。

「Seasonってなんだよ?相棒かよ…」って方のために、勝手ながらこれまでのSeasonを表にまとめてみた。

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長々と書きすぎてしまった。
このへんで今回は、にんにんどろんとさせて頂きたい。



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