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リリー・素寒貧(鈴木もぐら)に心奪われた『万引き裸族』5つの名言

バラエティ番組「有吉の壁」の一企画から、ステキな映画たちが生まれた。

その企画とは、日本アカデミー賞をオマージュして行われている「カベデミー賞」

この場で芸人さんは架空の俳優になりきり、有吉さんのムチャ振りの質問にスピーチで答えていく。ここで答えた内容を映画にしてしまったのが「有吉の壁 カベデミー賞 THE MOVIE」だ。

2022年6月11日・12日 の2日間限定で劇場公開された4つの作品。私も劇場に駆けつけて鑑賞したが、どの作品も素晴らしかった。

ただ、4作品の中でも空気階段・鈴木もぐらさん監督・脚本・出演の『万引き裸族』は見終わってからも、なぜかずーっと心に残っている。
映画館で鑑賞してから数日経った今でも、もぐらさん演じる素寒貧(すかんぴん)さんに会いたくなり、配信を購入して見返してしまっているほどだ。

この『万引き裸族』という作品の魅力は何なんだろう。
「この映画は素晴らしい」と感じたポイントを、素寒貧(すかんぴん)さんのセリフとともに振り返ってみたい。

ここから先は、めちゃくちゃネタバレありな状態なので映画や配信を見ていない方はここで一度お別れとしよう。

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『万引き裸族』のあらすじ

『万引き裸族』は、裸のまま万引きをする「リリー・素寒貧(すかんぴん)」という人物を追ったドキュメンタリー映画だ。

偶然、裸の素寒貧に遭遇したテレビクルーたちは彼を追い始める。

最初は警戒していた素寒貧も、相手が警察でないことが分かると笑顔を見せて、気さくにインタビューに応じる。彼の素顔に迫るうちに、万引きの仲間たちやリーダーの存在、淡い恋を寄せる相手、素寒貧が大切にしているものなどが見えてきて…といった流れだ。

『万引き裸族』名言①

作品の時系列順に気になったセリフを見ていこう。

ある日インタビューのために、公園に現れた素寒貧。

「話すなら噴水近いほうがいいよね!遠いよりはね!」

5つの名言からは漏れてしまったが、個人的に好きなセリフだ。
噴水が近いと何が良いのか具体的に分からないが、この一言で素寒貧さんの人柄の良さやサービス精神が垣間見える気がする。

その噴水の近くに腰掛け、裸で万引きをする理由を語る素寒貧さん。

「服着て万引きするっつーのはね…逃げだと思うんですよ。
罪悪感にね、フタしめちまうっつーかね。」

裸で万引きを行うことは、彼なりの流儀であり罪悪感の表れだったのだ。
正直、この映画を見る前は「万引き裸族」はドタバタコメディのような感じの作品かな…と想像していた。それが見てみたら、一人の男の生き様を丁寧に描いている作品だった。

普通に考えたら「全裸で外出なんてダメ」「万引きダメ、絶対」なのだが、笑いながら「鳩だってね…、他の鳩のエサ奪うときは、服なんか一枚も着ないじゃないですか」と屈託なく話す素寒貧さんを見ていると、妙に納得してしまっている自分もいた。

『万引き裸族』名言②

パチンコ屋へ向かう道中、「海物語」について熱弁する素寒貧さん。
そんな彼の視線が、ある方向でピタリと止まる。
その先には佐藤栞里さん演じる、花屋の店員の姿が…。
そこで素寒貧さんから放たれた一言が、一番印象的だった。

「見てるだけの関係を 恋と呼んでもいいんですかね」

素寒貧さんの純粋さ、不器用さが現れている言葉のように思う。
そして、店員さんを眺める素寒貧さんの表情や、「夢がある」と語るもぐらさんの演技も素晴らしかった。

配信購入されている方は、ぜひこの場面をもう一度見て頂きたい。

(それにしても文字で見ると、ドラマのタイトルみたいなセリフだなぁ。「見て恋」とか略されそう…)

『万引き裸族』名言③

素寒貧さんが万引き仲間たちと暮らすアパートで、とある事件が起こる。

やりきれない想いを抱え、外に飛び出し叫ぶ素寒貧さん。少し落ち着きを取り戻し、お父さんの話を口にし始める。

その後、遠くを見つめながら呟くように発せられたこの一言も忘れられない。

「裸で生きれば強くなれるって思ってたけど、間違いだったのかなぁ…」

素寒貧さんが万引きをする時は、儀式のように着ていた衣服をキレイにたたみ、意を決した表情で入店する。その服は店頭に置いてきて、帰宅するまで全裸を貫くのがルールなのだそう。

裸は罪悪感の表れと語っていた。ただ、それ以外にも「いつもの自分から変身する・強くなるための姿」が彼にとっては「全裸だっただけ」なのかもしれない…と思った。

『万引き裸族』名言④

万引きでついに捕まってしまった、素寒貧さん。警察に取り押さえられ、まわりに野次馬も集まってきた…。そんな状況下で放たれたセリフも印象深い。

「おめーら、なんもとったことねーっつーのかよ!
人の心とか、時間とか、プライドとかよ!」

全裸も万引きも、もちろん悪い…。
分かってはいるけど、素寒貧さんのこのセリフにハッとした人も多いのではないだろうか。

この世界に生きている限り、皆少なからず目に見えないものを、万引きしたり傷つけたりして生きている。そんなことに気付かされる一言だ。

このシーンの全裸での叫びは、笑いよりも切なさや哀愁が漂う一幕だった。

『万引き裸族』名言⑤

ラストシーンは、テレビクルーが初めて素寒貧さんに会ったときの映像が流れた。「裸」について語りながら、一服する素寒貧さん。

「あぁ…やっぱり裸で吸うタバコが一番うまい」

空を仰ぎながら口にした、このセリフ。
このセリフと表情を見た瞬間に、三四郎・相田さんが「本当に(演じているのは)ただの、もぐらだった」とラジオで言っていた意味がよく分かった。

リリー・素寒貧は、限りなくもぐらさんに近い。
タバコとパチンコを愛し、パチンコ台を叩く奴は許さない。
いつもニコニコしていて仲間想いで、一途な恋をする。

でもやっぱり鈴木もぐらが演じた役であって、当たり前だけどリリー・素寒貧=鈴木もぐらではないなぁ…と思う。

どちらの人物もダメな部分があるけど、それを上回る魅力的な面を持っていて憎めないキャラクターというのは共通しているが…。

他にも名言や名シーンが盛りだくさん。

映画自体は約30分ほど。ただ、そんな短さを感じさせない濃厚な内容だった。

ここでは主に素寒貧さんにしか触れなかったが、共演シーンが多かった相田さんの演技にも目を奪われた。
「このシーンと、このシーンに出てくるのか!!!」と事前にラジオで撮影時の話も聴いていたのもあって、勝手に感慨深いものを感じた。

あとは同じアパートで暮らす、万引き裸族仲間たちの存在も愛おしかった。
靴墨を見つけたら思わず引いてきちゃう、じろうさん。
(万引きすること「引く」って言うの業界用語っぽいなと思った)
エンドロールまで必見の、かが屋・賀屋さん。
取材クルーの前では口を開く、金髪姿が新鮮なU字工事の益子さん。
「リーダー・ふるんちん」を演じた、ゴルゴさんの演技も圧巻だった。

あ、あと「スーパーに居合わせた客」として服に縛られていると告白していたシソンヌ・長谷川さんや、裸であることをツッコまないスーパー店員役の三四郎・小宮さんも良かった。

相方のかたまりさんの登場は、一瞬すぎて見逃してしまった方もいるかもしれない…。

それもこれも含めて、サイコゥサイコゥな作品だった。
出演者の方はもちろんだけど、怒涛の撮影や編集作業を終えたスタッフさん方には本当に感謝と尊敬の念に堪えない。


Twitterにも書いたけど、世界のMOGURAになる日も遠くない気がする…。
次は、世界中の人の心を奪うのかもなぁ…。


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