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【中小企業省へ届け!】事業再生補助金ですり寄ってくる業者には気をつけろ!

たまにはまじめなビジネスの話を語ります。

私は個人の小さな会社なのですが、突然
「WEBマーケティングのサポートをしてほしい」
「WEBページの構成からディレクション、CV設計までお願いしたい」
などの依頼がふらっと来ることがあります。

その時に、『事業再生補助金』での作業であることが結構多くなってきました。

事業再生補助金とは

引用元:中小企業庁(https://jigyou-saikouchiku.go.jp/)

ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための企業の思い切った事業再構築を支援いたします。

という名目で、補助金扱いで支援を受けられる制度のことです。

補助金額について

補助金額 [通常枠] 中小企業者等、中堅企業等ともに
【従業員数20人以下】100万円~2,000万円
【従業員数21~50人】100万円~4,000万円
【従業員数51~100人】100万円~6,000万円
【従業員数101人以上】100万円~8,000万円

[大規模賃金引上枠] 中小企業者等、中堅企業等ともに
【従業員数101人以上】8,000万円超~1億円

[回復・再生応援枠] 中小企業者等、中堅企業等ともに
【従業員数5人以下】100 万円 ~ 500 万円
【従業員数6~20 人】100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数21人以上】100万円 ~ 1,500万円

[最低賃金枠] 中小企業者等、中堅企業等ともに
【従業員数5人以下】100 万円 ~ 500 万円
【従業員数6~20 人】100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数21人以上】100万円 ~ 1,500万円

[グリーン成長枠] 中小企業者等:100万円~1億円
中堅企業等 :100万円~1.5億円

[緊急対策枠] 中小企業等、中堅企業等ともに
【従業員5人以下】100万円~1,000万円
【従業員6~20人】100万円~2,000万円
【従業員21~50人】100万円~3,000万円
【従業員51人以上】100万円~4,000万円

補 助 率 [通常枠] 中小企業者等 2/3 (6,000万円を超える部分は1/2)
中堅企業等 1/2 (4,000万円を超える部分は1/3)

引用元:令和二年度第三次補正・令和三年度補正・令和四年度予備費 事業再構築補助金 公募要領
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo009.pdf

見ていただいてわかるように、中小企業にとってはかなりの額の補助を受けられる印象です。

「事業再生補助金」で検索してみると


Google検索結果:事業再生補助金

リスティング広告を買っている会社も数件あり、中小企業省よりも上に表示されていることがわかります。リスティングを買っているということは、「儲かる」ということです。

もう一度言います。このリスティングを買っている会社は儲かるんです。

事業再生補助金のサポートで儲かる仕組みの一例

これは実際に経験した(※進行中)、事業再生補助金の申請サポートをしている会社の儲かる仕組みです。

飲食店の場合

まずは、飲食などオフラインでのサービスを提供している会社に「WEBマーケティングをはじめませんか?今なら無料で出来ます」というアプローチをかけます。

そして、「無料」「WEBマーケティング」という言葉につられて、一度話を聞いてみると『事業再生補助金を申請するので無料なんです!』という言葉が返ってきます。

仮に[通常枠]中小企業者等、中堅企業等の【従業員数20人以下】の場合、補助金額は100万円~2,000万円です。

そして基本的にはMaxの2,000万円を取りに行きます。その事業内容について申請書類や事業展開の資料を見たわけではないのですが、以下の内容での展開が多い印象です。

事業再生例:「飲食店」→「D2Cサービスの立ち上げ」

まったく違う業種での新規活動が名目になるので、オフライン→オンラインでのサービス展開を狙いとする提案が多いです。

そしてその活動内訳としては

  • ECサイト(もしくはCVするためのLP)立ち上げ

  • サービス説明用WEBページ制作

  • SNSアカウント運用

  • Youtubeチャンネルでのマーケティング活動

  • リスティング広告/ディスプレイ広告/動画広告配信

などが含まれます。

これだけ見ると、「お!なんかいい感じじゃん」と思ってしまう方もいるかと思いますが、それが落とし穴です。

上記の活動をすれば売り上げが見込めるならみんなやってます。何なら日本経済は潤いまくってます。

問題は売れない商品に力を注ぐということ

この何が問題かというと、「市場調査/分析」「商品設計」が含まれていないことです。

新しいサービスを立ち上げるにあたって、人のお金ではなく自分のお金で実施するなら「これって本当に売れるのかな・・・」とか普通考えるものですが、税金で無料でできるならばそんなこと考える必要がありません。

逆に調査費用は国は出してくれません。

売れる商品を考えてきてね。そしたらそれ以外にかかるコストは国が出してあげるよ。

と言っているのです。だからコストや手間がかからない『それらしい商品』をでっち上げて補助金を取りに行く手法が用いられます。

売れない商品を広告の力で売ろうとする

市場調査、マーケティング調査もできていない中で商品設計が行われているのでほとんどが「売れない商品(サービス)」が出来上がります。

それを広告の力で売ろうとするのですが、そこに補助金があてがわれます。

そうです。ここで儲けるのです。

自社でWEB制作や動画制作を実施して、2,000万円のほとんどをその制作に使います。補助金申請を国に出させて、自ら大きな顧客を作るという方法です。

上記はまだマシなほうで、自社で制作もしない会社もあります。中抜きだけ行って、すべての作業は下請けに流す。全体の予算の半分持っていって、コンサルした気でいるという状態です。

そして私のような会社に依頼が落ちてくる

「仕事来てるんだからいいじゃん」と思うかもしれませんが、そういった商品やサービスは商品設計が間違いまくっているので、「おお・・・何から手を付けよう・・・」という状況や「補助金をもらうためだけのYoutubeチャンネル更新で広告予算がどんどんなくなる・・・」という局面を何度も見てきました。

ゴミみたいな再生数の無駄に編集と撮影のクオリティだけが高いゴミみたいなゴミ動画がゴミのようにあふれているのはこのゴミみたいな思考で作られたゴミ企業がいるからです
(要約:高い金額で作った100再生にも満たない動画)

気を付けたうえでできること

①申請書を書くサポートだけしてもらう

事業再生補助金の申請サポートだけ受けて、WEBマーケティングのコンサルティングにおいては、しっかりとした会社を入れることをお勧めします。
ただ申請を通す力は確実に持っているので、必要書類を書くところまでやってもらい、後はもっとプロフェッショナルな会社にお願いすればいいと思います。

②申請を通すための市場調査をその会社にやってもらう

実は事業再生補助金には申請した内容に沿っていないと補助金が下りないという弱点があるため、最初に設計した商品(サービス)や進行から逸脱できません。なので、本当に市場調査や商品設計はめちゃくちゃ大事です。

仮に自社でもある程度の人件費が発生するようなサービスを実施するのであれば、売れない商品にリソースを当て続ける無駄な数年を送ることになってしまいます。

要するに、「申請書にYoutubeチャンネルでの毎月10本の動画投稿っていう名目で申請しちゃったしな・・・意味ないけど作るか」という状況が生まれます。

「無料!いいですね!じゃあ売れる商品設計から始めましょう!市場調査お願いします!」と言ってあげましょう。

・・まぁやらないでしょうけどね。

※閲覧注意※ここからはかなり愚痴っぽいです

20万円も30万円もコストをかけて動画作っても、再生されなければ意味がないし、再生されたとしてもターゲットが定まっていない動画で目的のCVを達成できなければ意味がない。

そもそも目標設定がちゃんと決まっておらず、KGI、KPIどころかこのサービスを通した社会実現したいことも定まっておらず、ただただ国のお金を食い物にするこの状況を放置してもいいのか・・・。

確かに私の会社は多少潤うのですが、「ありがとうございまーす!お金いただきまーす」というスタンスの会社とは違って、「せっかく税金を使うんだから、その倍くらい納税できるようなめっちゃいいサービス作りましょうよ!」という気概で、取り組んでくれる業者が本当に少ない。

こんな無駄なことに税金を使うから、日本が海外にどんどん後れを取っている状況をもっと把握してほしいと思う今日この頃。

もちろん税金を使って、成長の見込みのある企業にはどんどん出資してほしい。しかし、その手法で本当に成長の見込みがあるのかというチェック体制と、見込みがない場合の予算打ち切りの早急な判断を求めたい。

何なら第3者機関として、提案資料を一緒にチェックするんで、見せてほしい。※もう金いらんからやらせてくれまじで
WEBやデジタルの領域なのに官僚が本当にうまくいくかどうかの判断ができるのか怪しいものだ。

ということで、皆さん事業再生補助金を頼ったビジネス展開を持ち掛けてくる業者には気を付けましょう。

と言っても実質無料で新規サービスを作ることができるので、「お金さえあればこういうサービスがしたいのに・・・」という方がいれば、うまく活用してみてはいかがでしょうか。

※追加:自己資金もある程度必要なようですね

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