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本能と心の境界線

うちの黒猫ヌメは一ヶ月ほど前から左脚が不随になってしまいました。病院の先生は原因がわからないと申されますが、私は5年ほど前の交通事故の後遺症ではないかと思うのです。2週間ほど前までは尻尾も動かずまるで、イーヨの尻尾みたいにだらんと力なくお飾りのようでしたが最近先っちょの方だけ動くようになりました。今朝は天気もよく庭の新緑も綺麗でヌメはいつものように庭で過ごしておりました。よく脱走をして隣のおばさんにご迷惑をかけることもあり、庭に出すときは、ハーネスを着けてながーい紐で比較的自由だが敷地外に行かないようにしております。猫をつなぐのは猫にとってストレスで、室内なら室内のままの方が猫もそんなものだと思うので室内飼いが良いですよ。とかかりつけの獣医さんに言われますが、ヌメを見ていると果たして本当にそうなのだろうかと思うのです。ヌメは毎朝私が起きると一緒に階段を降りて、庭に行く窓の前で「にゃー」と、外に行きたいというのです。それで天気のいい日中はだいたい庭で過ごすのがヌメの日課。今朝は朝食を庭で食べようと微睡むヌメの近くで食べることにしました。と、急に機敏な動きで、ツツジの茂みを注視すると身をかがめてロックオンし、数分後には静かに匍匐前進し茂みの中に頭を突っ込む。何か見つけたのだろう。多分蛇か何かではなかろうか。マムシかもしれない。が、そのときヌメは動かなくなった足を使ったのだ。左側の足を使って4本の足で歩き、尻尾の根っこ部分にも力を感じた。それで私は頭の中でジャッジしました。このまま放していれば多分蛇かカエルかトカゲを咥えてくるであろう、もしくはマムシかもしれない。しかし、ヌメの野生の本能としてはそれは健全なことであり、肉体的にもそれはいいことなのかもしれない。少し様子を見てみよう。・・・取り逃したのか、頭にゴミをたくさんつけてツツジの茂みから頭を出しました。また別の場所へ移り腰をおろし一点に注視すると瞬間カプっと何かを咥えた!トカゲだ。トカゲをくわえたままこちらの方へ戻って方向転換する際、トカゲを口から放した。その一瞬にすかさずヌメをトカゲから放し、ひっくり返ったトカゲを木の棒でおこしてやるのですが、深手を負っているようで逃げることもできませんでした。それ以上何もしてあげることはできず、ヌメが最後の一撃を加えないよう室内に入れ、私も仕事に戻り少しの間トカゲのことを忘れておりました。少しして娘が外へ行くと、トカゲは息絶えており、そばに大きなトカゲが来ていて離れないというので、一区切りつけて外へ行ってみると、私に気づいた二匹のトカゲが連れ立って物陰に隠れました。おや、生きてたのかな?と思って二匹を目で追うと、一匹は少し離れたところから私の方を見ている。二匹の一匹がヌメに捕らえられたトカゲだったのだろうかと、さっき横たわってた場所あたりを見るが見当たらない。しかしながら、私が思っていた場所より少し連れたところに先ほどのトカゲはやはり生き絶えておりました。すると先ほどのトカゲの一匹が息絶えたトカゲにひっついて離れない。もう一匹も少し遠いところからずっとそれを見ている。これは一体どういうことだということで少しの間観察することにしました。私がそばで動いても、娘が近距離で写真を撮ろうとも一向にそばを離れる気配はなく、しまいに息絶えたトカゲの下に潜り込み背負おうとさえしているようだった。・・そうだ!やっぱりさっきの場所からここまで運んだに違いない。この息絶えたトカゲに何らかの愛情を持った行動なのだろうか。そう思うのは人間である私の都合のいい想像であろうか。しかしその行動はこのトカゲに何の利点があるだろう。人間である私が人間の頭で考えるとこの行為は愛情から発生しているとしか思えなかったりする。飼育されたトカゲは共食いをすることもあるとも言いますが、飼育時のトカゲの精神状態がどんなものかは私にはわからないので測りようもないのです。程なくすると息絶えたトカゲは、この仲間であろうトカゲによって草むらへと移動されました。その後、仲間のトカゲの姿は見られなくなりました。諦めたのかもしれない。何を諦めたのかは私にはわかるわけもありません。

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シシ七十二候です。
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