川畑battie克行

詩人・SSW。愛と死と青空を巡る思索。詩人として、『サイネリア』(書肆山田刊1989年…

川畑battie克行

詩人・SSW。愛と死と青空を巡る思索。詩人として、『サイネリア』(書肆山田刊1989年限定300部)、キンドル詩集に『サイネリア臨書』『青空/揮発』『花ごころ』他。SSWとして、アルバム『百年経ったら墓ん中』『うしっ!』他。批評『晩年感覚』は、『群像』(1986年)の最終選考作。

最近の記事

『(簡易な違約とともに書き逸れていく)鶺鴒追跡』報告 *(黄鶺鴒)

行く水の目にとどまらぬ青水沫/鶺鴒の尾は触れにたりけり(北原白秋)・・・ カツキエカツムスヒテ(鴨長明)・・・  ………………………………………………………………………………………………………… ☘鶺鴒追跡、 「鶺鴒の尾は触れにたりけり」は、 「触れにたり」で一度尾が川面に触れ、そして離れ、 「けり」は詠嘆というよりはむしろ意味的には冗長となることで 二字分の小鳥の尾の長さを示した視覚的効果を与えているのかもしれない。 鶺鴒はせせらぎの清流の[se]と、 優美にして華

    • 『晩年感覚』 1太宰治 背中越しの晩年2/2

       象徴的なことに、『河童』には生まれた時にはすでに老人であり、次第に若返っていく河童が登場する。この河童が幸福そうに見えるのは、彼があらかじめ失われた部分との不均衡に耐えながら抑制した足取りでその喪失してくる部分に接近していくからにほかならない。喪失―断念―再発見の過程を経て見出される自分の生きる形、一度失ったものとして定義され、余剰の生として感受され玩味される個体の時間、これらの地盤となっているものが晩年感覚だ。この感覚を持っているもの経緯を追ってみると、その生きる形は迂回

      • 『それからぼくは』

        ■見どころ、読みどころ■
  こどもが生まれた夜のことで わたしがはっきりと覚えているらしいことといえば、やけに月がすっきりと輝いていることでした。「いい月だなあ、いい月だなあ」と思いながら自転車のペダルを踏んでいたような気がします。 しかしこの記憶も、もしかしたらいつか自分で作り出してしまったものかもしれません。そうなると一体どこまでが本当にあったことなのかよくわからない、というのが本当のところです。  自分ひとりで布団を敷いて寝てみると、部屋がとても広く感じられ、その分

        • 『ソウルエンジン』

          (Call & Response) [C]「人間は愛の種だろっっ」   [R]「いぇーいっっっ」 [C]「愛をたっぷり持ってんだろ」   [R]「いぇーいっっっ」 [C]「恋人を愛してんだろw」   [R]「いぇーいっっっ」 [C]「あろうことか、愛人を愛したことがあるかもしれないw」   [R]「いぇーいっっっ」 [C]「ではでは、Brothers and Sisters、   旦那や女房をまだ愛しているかっっっ!?」   [R]「いぇぃ(汗」 このごろ少し君が分かった

        『(簡易な違約とともに書き逸れていく)鶺鴒追跡』報告 *(黄鶺鴒)

          『晩年感覚』 1太宰治 背中越しの晩年1/2

            (笑う、声をあげて笑うとき、   わたしたちは笑いが自分の身体に降り注いできたように感じる。   それはまるで、気象現象が地表を覆うような方法で   わたしたちに訪れる。   微笑ならば、それは霧のように頬の周囲に発生し、   僅かにわたしたちの口元を濡らし蒸発していく。   唇の微かなひきつりは、   水分の蒸発とともに身を反らす紙のうごめきに 似ている。      だが、気象現象が度重なれば予知が可能となるように、   わたしたちは自らの反応を見越すことができるように

          『晩年感覚』 1太宰治 背中越しの晩年1/2

          『きみは転がりこんできたね、マイボーイ』

          

きみは転がりこんできたね、マイボーイ
 ゴール目指して走ってきた長距離走者がタオルにくるまるみたいに 
おくるみのなかにいて
 助産婦に抱かれてぼくに挨拶なんかして
 「よろしくお願いします」なんて 
無理矢理お辞儀をさせられたりなんかして 
きみはまだぼくが見えないんだろう、マイボーイ 
ぼくの方からははっきりきみが見えるのに
 きみはまだぼくがだれなのかも知りはしないんだろう、マイボーイ
 ところがその見えない目をみたぼくは 
きみが礼儀正しい赤子だとすぐわかったよ


          『きみは転がりこんできたね、マイボーイ』

          『ヘロヘロ』

          (語り) 「俺の人生、このままでいいのか」とお悩みの諸兄よ
! 仕事はやればやるほど増えてくるし、 ストレスは耐えるほど強くなるし、 
憂さをはらそうと「とりあえず、ビール!」と言ったって GTP気になるし、なぁ、山田! 
人生って、たかが人生だと割り切ろうとしても いつも余りがでてくるし、 
イノチはもともとタダなんだから なんだかんだで、結局のところ、
人生ってさ、人生ってさ、、、、 やっぱ愛でしょ! [歌詞] 人生は争いじゃないよ ヘロヘロ 「ら」と「そ」を 抜いて、

          『ヘロヘロ』

          noteを始めるにあたっての。

          はじめまして、川畑battie克行と申します。
 noteを始めさせていただきます。 週3回ほど、 金曜から日曜にかけて
それぞれの曜日で、 異なる題材を掲載する予定です。 ・[金] SSWとして発表した曲の歌詞だけを取り上げて、セルフ解説をつけたものを掲載予定。
 インディーズレーベルにて発表してきた3枚のアルバムの中から、まずはデビューアルバム『百年経ったら墓ん中』を取り上げます。 今でいうクラウドファンディングのようにして、大学時代のサークルの先輩、後輩、知人、親

          noteを始めるにあたっての。