インターネッツラジオの時間 ~マサヤとユーリの異世界珍道中記~

♪オープニングBGM♪(ズッチャッズッチャッ)

「みなさーん、こーんばーんわー!あ、それともおはようかな?サーヤでーす!」
「現代地球のリスナーのみなさんいつもお世話になっております。今日から初めましての方は初めまして。ユーリです」
「さてさてさてさて、昨日の放送で残忍非道の誘惑だらけのお猫様帝国をよーやく脱出した我々は、」
「あ、サーヤさん。今身を乗り出すとあぶな」
「ぎゃああああああっ」
「……」
「あ、これは私がしゃべらないとだめなやつですね。ノリと勢いで海上の大渦に重なるように開いた次元ホールに突入した我々は、回線切断の憂き目にあい、先ほどようやく生き返りました。インターネッツばんざい」
「……」
「あれ、本格的に気絶?ゴリ花さーん、いったん停車してください。あ、初めての方に説明しておきますと、頼れる放送作家のゴリ花さんはこのスタジオ・バンの運転手も担当していて」
「……」
「ではここで時間稼ぎのための一曲をお聴きください。サーヤ&ユーリで、『流されて一文無し』」

♪流されて一文無し♪



気を失っていたのはどれくらいだろうか。
まだ意識が朧気な中、目を開けると、ユーリが俺の顔を覗き込んでいるのが分かった。
つぶらな瞳。あどけない顔。短くもさらさらな髪。間近で見ても、すげー、かわいい。
「マサヤさん?マサヤさーん?」
細い指の手で肩をゆさゆさと揺さぶられている。
「あー…これで女の子だったら全力で口説いていたのかなあ」
「え?」
「…え?」
あ、いかん、寝ぼけた。
「いま、何時?」
「放送中です。音楽流しているのでマイクはオフ」
「そう」
よっこらせと身を起こすと、俺のおっぱいがゆさゆさと揺れた。いい加減慣れたかと思ったがこの感覚はやはり慣れない。
「はい、起きたならスタンバイして。もうすぐ曲終わるから」
運転席からゴリラ顔のゴリ花さんが顔を出す。正真正銘ゴリラのゴリ花さんは厳しい勉学の末に人類を越える知能と交渉術を
【続く】

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