VTuber「北白川かかぽ」との出会いとクリエイターの認知について

北白川かかぽとの出会い

以前の記事で、VTuberものの小説を書くために、実際のVTuberを知ろうと思い立ってホロライブのVTuberを視聴するようになったという話をしました。
ReGLOSSのデビュー時期ということもあり、ReGLOSSのメンバーを中心に視聴しているところはありますが、とりあえずホロジュールを眺めてその時間に行われている配信を見たり、記念配信(周年・誕生日)はなるべく全員見たりしています。

そんな折、2月4日にReGLOSSメンバーのひとりである儒烏風亭らでんが誕生日を迎えました。ReGLOSS初の誕生日配信がどのようなものになるか、何日も前から楽しみにしておりました。
予告を見るとなにやら見慣れない名前のVTuberをゲストに呼ぶようで、彼女はいったい何者なんだ? と思いながら……。

そして迎えた当日、ゲストとして現れたその人物。北白川かかぽさん(以降敬称略)に、私はすっかり心奪われてしまいました。
https://www.youtube.com/@kakapo_research

北白川かかぽってどんなVTuber?

北白川かかぽは2020年に個人勢としてYouTubeでの活動を開始したVTuberです。バーチャルサイエンスコミュニケータとして科学をはじめとするさまざまな文化について情報発信などを行っています。
学術系VTuber(以降、学術系V)として同好のVTuberとの連携が深く、2022年3月には学術系Vと協力して経済産業省が主導するSTEAMライブラリーに「学術系Vtuberと考える”未来のバーチャル社会”」というテーマの動画学習教材を提供しています。
その後、2022年10月にSony MusicのVTuberプロジェクト「VEE」の所属になることが発表されます。
VEE所属後は一般的な企業勢VTuberと同様に同期やVEE所属メンバーとのコラボが増えつつも、さまざまな科学分野に詳しい人物とコラボしたり子ども科学電話相談の同時視聴を行ったりと独自のサイエンスコミュニケータ路線は継続。
国内最大級の科学イベント「サイエンスアゴラ2023」に「バーチャルに飛び込め!アバター技術が描く未来社会」という企画で出展したり(リンクは振り返り配信)、文部科学省制作の「一家に1枚 ウイルス」ポスターの解説動画に制作協力・出演していたりと、確かな実績を持ったVTuberです。
(上記の紹介内容に誤りがありましたらご指摘いただけますと幸いです)

北白川かかぽの何が私に刺さったのか

声がいい。個人勢を経てVEE所属になったその豊富な経験値から、聞き取りやすい発声をしてくれているように感じる。VEE所属を経て2Dモデルがややかわいい系に寄ったこともあってか高音域を意識しているような気がするけれど、いわゆる萌え声には達しないくらいの絶妙な耳心地のよさがある。
経歴がすごい。西の超有名大学の博士課程を修了したという国内トップクラスの経歴に裏打ちされた教養の深さがある。日中はリサーチャーの仕事をしながらも、VTuberとして多くの人に学ぶ楽しさを伝えているストイックな姿勢に好感が持てる。
配信内容が面白い。歌枠にて歌と歌の間に科学の小ネタを挟むなど、他の歌枠配信では見たことのないユニークなものがあった(ラブソングの合間に科学の解説が入る歌枠では脳がバグり散らかされた)。博士号を取得しているという経歴からは想像もつかない脳筋ゲーム配信(リンク先は一例)も、その前置きがあることでより面白く感じられる。
PONはある。博士号を取得していることはPONをしないという証にはならない。PONに悶えている姿はたいへんにかわいらしい。

美術に明るいらでんと、物理学をはじめとした科学に明るいかかぽのコラボによる絵具の歴史・科学という異色の配信は、私の関心を強く惹きました。らでんの誕生日記念配信の翌日、かかぽのチャンネルで行われた振り返り配信を見て、私は迷いなく彼女のチャンネルを登録したのでした。

学力が高い、教養が深いという「強み」

学力というものは、良くも悪くも撮れ高として配信者の話題になりやすいです。
ホロライブでいえば「こんこよ24」で実施された学力テスト、VEEでいえば「ビバ!学力総合頭脳試験」、ストリーマー界隈でいえば「The k4sen 学力テスト」など。
珍回答が溢れる中で、真っ当な回答が逆に驚かれたらでん。問題の意図を超えた回答を示して驚かせたかかぽ。
どうしても珍回答の方に面白さ・撮れ高を感じやすい中で、学力や教養を示すことが「つまらない」ではなく「面白い」に持っていけるのは彼女たちが持つ強みであり、才能だと考えています。
私としては、知識欲がありつつも自発的に時間を割くまでには至らないという感じでしたので、VTuberという比較的気軽に視聴できるコンテンツで新しい学びを得られるというのは大変にありがたいことであり、こういう試みが企業勢で行われていることをとてもうれしく思います。これを機に、他の学術系Vの配信・動画も気にかけてみようと思いました。

認知されることの重要性

今回こうして北白川かかぽという自分好みのVTuberを知って気づいたのは、「どんなに自分好みのVTuber(≒ストリーマー、クリエイター)が世の中に存在していても、知ることができなければ推すことができない」ということです。
今回でいうと、らでんの配信で知るまでは北白川かかぽというVTuberはおろかVEEという事務所の存在も知らなかったですし、学術系Vというカテゴリが存在することを知りもしませんでした。今回たまたま認知範囲に居たらでんが紹介してくれたことではじめて知ることができたのです。

どうしたって人間の活動時間には限界があり、世の中のすべてを知ることは困難です。スマホゲーでも「いかに自作品へユーザーの時間やお金を引き込めるか」というのが重視されていますし、VTuberほかストリーマー、イラストレーターや漫画家・小説家などにとっても、「どうすれば自分(の作品)をより多くの人に知ってもらえるか、応援してもらえるか」というのはずっとついてまわる課題です。
学術系Vについては、それぞれの得意分野を「積極的に知りたいとは思わない」人が大多数であろう中で、その中でも興味を持ってくれる人を取りこぼさずに引き込めるかが重要と考えています。それも、得意分野の認知の外にいる人物にアプローチしなければ新規獲得ができないわけです。
そういう点では、大手事務所に所属しているというのはそのブランドそのものが認知のきっかけになりえます。今回はホロライブという大手事務所の所属であるらでんとコラボしたことで、「らでんは知っているけどかかぽは知らない」という層にアプローチできたことは非常に大きな効果があったのではないかと考えています。
しかし、これはかかぽだからできた飛び道具であり、万人がマネできるものではありません。
そのような大きなチャンスを掴むためにも、日ごろの地道なSNSやYouTubeでの活動を継続し、力を蓄えることが必須なのかなというのが私の素人意見です。

現状のVEEが持つブランド力はまだ大手には及ばないかもしれませんが、北白川かかぽの他にもFPSガチ勢でストリーマー界隈に認知を広めている秋雪こはくなど魅力的なタレントは数多くおり、今後の活動で多くのファンを獲得して活動の幅がさらに広がることを願っています。
個人的にはSony Musicの力を借りてかかぽのオリジナル曲とか……お待ちしています。
そしてこの記事で興味を持ってくださった方は北白川かかぽのYouTubeチャンネル登録やアーカイブの視聴をぜひ!
https://www.youtube.com/@kakapo_research

おわりに

余談ですが、こうして北白川かかぽ、ひいてはVEEの存在を知ることができたのもなにかの縁ということで、2月28日に新宿で開催されるオフラインイベント「Merge」に現地参加することにしました。
VEEのタレントについてはほとんど知らないので、皆さんのおすすめのタレントがいましたらぜひコメントで教えていただけると嬉しいです。

今後もホロライブの視聴が中心になるとは思いますが、それしか見ないつもりはないので幅広く気になるVTuberに触れていければと思います。

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