神仙脈補修人疾走:ディーパスリペアマンオーバードライブ

 山道はやがて山肌へと至り、遂には断崖を抉りぬいた酷道となり、私の行く手を阻んでいた。
足元が竦む。所々で木の板が渡してある。場合によっては竹の梯子を上り下りしなければならない。踏みしめる度にざわっとした感覚に襲われる。高い所は無理では無い。だが平気などでは決して無い。

 某国の奥地、深山に私はやって来た。仕事だ。とある水場、温泉ともつかぬ勿論地図にも記載されていない”そこ”を目指している。この簡素な道は以前私自身がどうやら敷設した「らしい」。
つまり少なくとも以前私はこの地を訪れている。……らしいのだが。
 依頼は私へ新規案件ではなく、アフターサービスとしてされたものだった。覚えが無い、と言っても「行けば解かる」と強引に押し切られた。
 ビバークの準備はしている。だが急がねばならない。

「お若いの」
 突然目の前に人が。老人だった。この先に民家が?だが何かおかしい。
「はい?」
「物事には順番というものがあってな」

【続く】

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