ハリケーン・ラン

 暴風雨が続いている。いいぞ。幾許かでも奴を弱体化できる。だが長くは保たないだろう。気象操作衛星の位置を特定されれば確実に撃墜される。
 夜の闇を「光線」が走る。何に向けて放たれているのかは不明だ。
 私はこの強烈な条件下を疾走している。耐光、耐熱、ステルス性の黒装束。懐には戦友の遺品でもある幾つかの護符、腰に大小の刀、それとは別に背中に(これが切り札になる…)一振りの黒刀。

 山道を走る。約5キロ先、奴が居る。光の巨人。ウルトラマンなんて呼ぶ輩も居るが、そんな高尚なモノではない。歴とした科学の産物だ。
 既に対抗しうる戦力、勢力はほぼ駆逐された。
 残る手段は歩兵の接近から背の黒刀、このただ一刀を突き立てるのみ。

 10メートル先、突然光が溢れる!
 「尖兵」だ……つまり私はこの瞬間奴に捕捉された。この先の道行きは苛烈を極めるだろう。

 私は尖兵が振るう腕の横を思い切り低姿勢で走り抜けると同時に大刀を横殴りに振り切った!

【続く】

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