顎変形症の手術をした③術後2日目


前回までのあらすじ→この夜を越えられないとほぼ泣きかけた

入院6日目(術後2日目[4/24])

人生で1番長い夜

消灯後も苦しいのと息が詰まって窒息するんじゃないかという恐怖で一睡も出来ない。

なんとか凌ごうととりあえず音楽を聴いたりした。

マイブームだしoasis聴くか……
→生命力ありすぎ!
なんか静かな曲……Radiohead聴くか
→ますます生気吸い取られるわ!
カネコアヤノに励まされるか……
→「眠れない 無理に寝ない」という歌詞に寝てーよ!クソが!と理不尽に怒る

切羽詰まってるときは音楽が体に合わないときもある。

夜ってこんなに長かっただろうか。
いつも23〜4時って爆速で過ぎてる気がするのに。いつまで経っても外が暗くて心がどんどんマイナスのほうに流れていく。
本当に苦しいのは良くなるんだろうか、やっぱり麻痺が少しは残るのかな、なんで手術なんかしちゃったんだろう……

深夜3時か4時くらいに看護師さんが「眠れるお薬入れますか?」と聞いてくれたけど、どうしても呼吸が出来なくなるんじゃないかと怖くて頼めなかった。今思えば入れればよかった。

ひたすら朝を待ち続けてようやく日が昇ってきたのが分かったときは本当に嬉しかった。

ワイドショーと日常

午前中に先生の回診があり、顎の状態を見るためにレントゲンを撮りにいくことになった。
本当はマウスピースをつけた状態で撮りたいみたいだったけど、私があまりにも憔悴していたからひとまず普通のやつだけ撮ることになった。

到底歩ける状態ではないので車椅子に乗ってレントゲン室に向かう。手術日ぶりに病室から出た。

レントゲン室の前にはテレビが置いてあってワイドショーが流れていた。(おそらく恵俊彰のひるおび)
私は普段見てなくてもつけっぱなしにしてるくらいテレビっ子なんだが、内容なんてあってないようなワイドショーを見てとてつもなく日常を感じた。

1日経ってもまだ鼻は苦しいままだし、寝てないせいで視界がグラグラして朦朧としてるけど、手術が無事終わってひとまず生きて戻ってこれたんだと実感してすごく安心した。

ご対面

午後からはまた吸引しながら耐える時間。
いいことなのか悪いことなのか分からないが、スマホを手にしたことで時間という概念が生まれたのがつらさに拍車をかけた。

20分くらいは経ったかな……と思ってスマホを見ると4分しか経ってなかったときの絶望感がハンパない。
日の傾きだけが頼りだった頃にはもう戻れない。時間が確認できるせいで1分1秒がとにかく長く感じる。
この日が人生で1番1日が長く感じた。

そしてこの日初めて自分の顔を撮ってみた。その写真がこちら↓

満身創痍の私(モザイクの奥の目が死んでる)
口から出てる管はドレーンといって、口の中の血が詰まって窒息しないようにするもの

顔が四角い!!人の顔ってこんなに腫れるんだと衝撃だった。ボコボコに殴られた後の漫画のキャラみたいだ。先生は「顔短くなったよ!」と言ってたけど、腫れがすごすぎて正直全く分からなかった。(これを書いてる術後1か月経った今もよく分かってない)

見せられないのが残念だけどモザイクの奥の目が誰が見ても虚ろで今見るとめちゃくちゃ面白い。一睡もしてないから当たり前なんだが。

さっきも少し書いたけど、寝てないから常に視界がグラグラして船に乗ってるみたいに揺れていて一日中気持ち悪かった。中学の修学旅行で知床の遊覧船に乗ったときこんな感じだったな……と思った。

眠れないけど眠気は常にあってずっとうつらうつらしていた。授業中に1分くらい寝落ちしてガクッっとなって起きるみたいなのを繰り返していて、体力がどんどん持っていかれるのが自分でも分かった。
食事が出来ればまた違ったのかもしれないけど、何か食べたり飲んだりする気力がなくこの日も飲まず食わずで過ごした。

喉が渇かないのか疑問に思う人もいるかもしれないけど、私の場合は喉の渇きや空腹感は全く感じなかった。点滴で栄養を入れてたからかもしれない。
丸2日何も飲んでなくても体は平気だったから点滴の力はすごい。

雑談の力

人生で1番長い1日をなんとかやり過ごし、やっとの思いで消灯時間が来た。

もちろん眠れるはずもなく薄暗い病室のカーテンをただじっと見つめたり(薄暗いといってもナースステーションに1番近い病室だったからそれなりに明るかった)、体の向きを変えたりいろいろやってみた。

ちなみに普通に横たわると苦しくて眠ることは不可能なので、ベッドの背は常に80度くらいにしていた。これも眠れない要因の一つ。

常にこの角度
体勢を変えるたび枕が落ちて戻すのが大変

しばらくして、参加しているDiscordサーバで毎週水曜に開催されているK-POP部(みんなでK-POPの新譜やPVなどを見てわいわいする会)の日だと気づいた。

自分は喋れないけど人がわいわい楽しそうに喋ってるのを聞いてるだけですごく気が紛れて助かった。(このときにミン・ヒジンvsHYBEの話を聞く。完全に世間から置いてかれていた)
いつもは23時過ぎくらいには終わるんだけど、この日は無理を言って1時くらいまで喋ってもらった。翌日仕事がある人もいたのにみんな優しくてありがたかった。

K-POP部が終わった段階で起床まで5時間くらいあったけど、久々に人と交流し優しさに触れたことでちょっとだけ元気が出た。

その後も看護師さんが何度か来て、うがいに挑戦したり(口周りが上手く動かないのでうがいも大変)初めて水を飲むのを手伝ってくれた。(水飲むのは噎せて失敗した)

少し気が楽になったのか20分くらい続けて眠ることも何回かできて、前日よりも幾ばくか早く朝が来たような気がした。



またもや1日分だけで長くなってしまった。
今思えば他人の雑談を聞きたかったらラジオを聞けば解決する話だった。退院してからそのことに気づく痛恨のミス。これから入院する人にはラジオをおすすめします。

まだまだ苦しく水も飲めない状態だが本当に回復するのか!?ご期待ください。


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