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2022年映画ベスト10

2023年もあっという間に1ヶ月が過ぎ、2月も終わろうとしてますがこれを書かなきゃ年越したことになりません。
まだ間に合うはずだ!大学だって講義開始20分までは遅刻に入らないしね。

2022年の目標は「映画を100本観る(新旧問わず)」だった。結果は110本。
今までで1番観た年だしせっかくだからベスト10をまとめます。

・新作旧作ごちゃ混ぜ。
・同率順位のものもある
・記事中の今年表記は2022年のことと考えてください
・各作品の最後に私のfilmarksのレビューのリンクがあります



第1位 千年女優

2002年 / 今敏監督 / 日本

2022年に観た映画の中で圧倒的1位。本当に観てよかった。人生で5本の指に入るかもしれない作品に出会えました。
かつて一世を風靡した女優・藤原千代子が出演作を振り返りながら、自分の恋のことを思い出すという話。簡単に言うと一人の男を生涯追いかけるだけなんですが、これがどうしようもなく私の胸を打った。
本当に素晴らしかったから上手く語ることが出来なくて「アオいいよね」「いい」のこち亀状態になってしまう。一つ言えるのは私が今まで観た映画の中で1番人間讃歌の映画だということ。こんなにも人生そのものを肯定している映画は観たことがないです。
好きな人を追いかけ続けるというストーリーと映画を作るという行為は重ねられてるんだと思うんだけど、それをアニメーションという髪の毛1本動かすのにも人の意図が介在する完全に虚構のもので表現していることに感動した。アニメーションでなければ意味がないし、だからこそテーマがより強固になっていると思う。Netflixで配信中なのでぜひ観てください。
詳しい感想は下記の記事で書いてしまっているのでそちらをどうぞ。


第2位 カモン カモン

2022年 / マイク・ミルズ監督 / アメリカ

ホアキン・フェニックス演じる独身男性が甥っ子を預かることになる話。
観終わった後「いい作品だったなぁ~」と思って次の日すぐもう一回観に行った。2回観て2回とも最後で泣いた。

私も8歳の甥っ子がいるから、子供が嫌いって訳じゃないけどどう接したらいいのか分からない感じに親近感を覚えながら観た。大人対子供ではなく1人の人間同士として向き合い、距離を縮めていく様子が微笑ましくてずっと観ていたくなる。

子供のとき親や親戚が自分の小さい頃のことを話してくることに、そんなん覚えてないし正直うぜ~と思っていた。でも大人になってそれがどんなに愛されていて大切にされていたかが少し分かるようになった。覚えていてあげることって愛していないと出来ないことだと思うから。だからこそこの映画の最後のセリフに涙がこぼれた。こういう映画で泣けるようになると自分が段々と子供ではなくなっていることを実感するな。
子供の頃に自分が感じていた目線と今大人になってからの目線の両方から観れて、どちらの気持ちに対しても大丈夫だよと言ってくれる優しい映画だと思った。


第3位 偶然と想像

2021年 / 濱口竜介監督 / 日本

『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督の作品。3つの短編からなる映画で、どれも小気味いい会話が観ていて心地よかった。個人的な好みでいうとドライブ・マイ・カーよりこっちの方が好き。
人が誰しも考えたことのある「あのときこうしてればなぁ〜」という人生の「偶然と想像」をシリアスになりすぎず面白おかしく描いているところが良かった。
心に残ったセリフを一つ引用する。

自分だけが知っている自分の価値を抱きしめなくてはなりません。
そうして守られたものだけが、思いもよらず誰かと繋がり、励ますことがあるからです。

偶然と想像 第2話「扉は開けたままで」

このセリフを聞きながら自分でも何故だか分からないけどいつのまにか泣いていた。
濱口監督の映画は言葉の力がとても強くて、こちらの脳みそに直接言葉を突っ込まれているかのようなパワーがある。でもそれが決して押しつけがましくなくて嫌な気にならないのがすごい。
セリフがいいのはもちろんだけど、窓ガラスを使った演出や、カメラ目線での長回しなど映像面でもしっかり面白かった。


第3位 窓辺にて

2022年 / 今泉力哉監督 / 日本

編集者である妻・紗衣が担当の小説家と不倫してるのを知ったけど、全然ショックじゃなかったことに悩む男の話。
『愛がなんだ』の今泉力哉監督で初の完全オリジナル脚本の作品。
この映画を観ている最中、自分が冷たい人間だと人生で初めて思った瞬間のことを何故か思い出していたら、その直後主人公の茂巳が「僕は冷たい人間なんだ」と言ったから心底驚いた。こんなにも映画と自分がシンクロする経験って今までなかったから。もちろんクスっと笑える会話がショートコントみたいで面白かったりして作品そのものの評価が高いのもあるけど、そういう映画鑑賞を通した特別な体験をさせてくれたことが嬉しかったし観て良かったと思えた。
「窓辺にて」というタイトルの通り陽の光が美しい映画で、完璧じゃない自分を、窓から差し込む柔らかい光のように優しく包み込んでくれる作品だった。


第3位 うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー

1984年 / 押井守監督 / 日本

うる星やつらの劇場版2作目。TVシリーズから引き続き押井守が監督。
友引高校の文化祭の前日がなぜか毎日繰り返され、最初は誰も気づいてなかったそれに気付いた途端、町のほとんどの人が消えてしまう……という話。散々名作といわれてるだけあってめちゃくちゃ面白かった。TSUTAYAでDVD4回借りた。衝撃度でいえば今年一番あったかもしれない。
前半部分が特に好きで、文化祭前日の狂騒的なまでの楽しさと共に、何が起きているのかはっきりとは分からないまま、でも何かが進んでいっているような不穏な雰囲気がいい。カイジの「ざわ…ざわ…」の状態が心の奥底でずっと続いているような感覚になる。
名シーンのバーゲンセールみたいになってる作品だけど、サクラ先生と温泉マークの名曲喫茶のシーンでカメラがぐるぐる回るとこ、人気のない街角に一軒だけ光るショーウィンドウなど、不穏さを醸し出す演出がめちゃくちゃかっこよかった。
押井守の作品は面白い面白くないかは別にして「あぁ今映画観てるな〜」という気持ちにさせてくれるのがいい。


第4位 ブレードランナー

1982年 / リドリー・スコット監督 / アメリカ

言わずと知れた(そうだよね?)SF映画の名作。午前十時の映画祭で上映されていたからついに観た。
とにかく世界観の作り込みがすごい。香港っぽい雑然とした街並みや光るネオン、ブラインドから入る光が印象的な散らかった部屋。ただ街並みや部屋を映す、それだけで「ブレードランナー」の世界になる。
強靭な肉体を持ち外見も人間と変わらないアンドロイド(=レプリカント)を追跡するというストーリー部分も面白いんだけど、CGが現在ほど発達していないにも関わらず2022年の現在でも全く古くない世界観を作り上げていることに驚嘆した。きっとこれを当時観た人は本当に衝撃的だったんだろうなぁ。
色んなSF作品の元ネタになったんだろうな~っていうのが分かったのも面白かった。


第4位 犬王

2022年 / 湯浅政明監督 / 日本

『四畳半神話大系』の湯浅政明監督の最新作。なおかつ脚本が『MIU404』や『逃げるは恥だが役に立つ』の野木亜紀子という豪華タッグ。
おもしろ~~!!こんなんもうフェスです。RISING SUN ROCK FESTIVAL 札幌シネマフロンティアSTAGEです。
時代劇を、能をロックでやろうと発想したことがまず天才。時代劇なのに堅苦しくなくて本当にフェスに行ったかのような感覚で見れるのが楽しかったし、そのおかげでとても間口の広い作品になっているのがいいと思った。持たざる者である友魚と犬王のバディがのし上がっていくアメリカンドリーム的な要素も超GOOD。
犬王が実在した人物で世阿弥の陰に隠れ、作品が現在に一つも残っていないというのは観るまで全く知らなくて、残されなかった歴史について考えさせられた。自分が教科書などで学んできたものはあくまでも様々な要因で残されてきた歴史であって、その裏には残されてこなかったものがたくさんあるんだなぁと当たり前だけど忘れがちなことを思い出させてくれた。
最近もジオシティーズが閉鎖されたり、flashがサービス終了したり、デジタル社会なのに永遠に見れないものが増えていってるように感じる。私が今生きている現在の文化や生活で1000年後には何が残されているんだろう。


第4位 THE FIRST SLAM DUNK

2022年 / 井上雄彦監督 / 日本

最高すぎる。私もあの体育館にいました。それくらい臨場感と興奮が凄かった。
井上雄彦の絵が動いてる!ということや3DCGの完成度すごいな!とか語りたいことが山ほどある。
バスケやサッカーをやってる人って所謂陽キャみたいな感じで、自分とは遠いところにいると思いがちだった。でも私が思春期の頃落ち込んだり悩んだりしたとき音楽や映画に救われていたのと同じように、スポーツに救われている人も確実にいるんだよなと気付けた。
この映画の宮城リョータのような、「喪失」からスポーツを拠り所に立ち上がるというキャラクターは、アニメではあんまり見たことがなくてそういうのを描いてるのが良かった。


第5位 イノセンス

2004年 / 押井守監督 / 日本

『ビューティフル・ドリーマー』に続いて押井守監督作品2作目のランクイン。『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の続編。セリフに古典の引用などを用いながら人間と人形の差異とは何かを描く。前作より押井守色が強くなって正直話よく分かってないんだけど超良かった。
2022年作画よかった部門大賞受賞。沖浦啓之・黄瀬和哉・西尾鉄也の3名が作画監督、その他もスーパーアニメーター達大集合でほぼアベンジャーズと化してます。ただ画面を観てるだけでも100点!!!!って気持ちになってテンション上がる。そんな内容じゃないのに。
バトーの部屋でのシーンのような人間の生活そのまま映したような作画をいれつつ、ヤクザ襲撃や終盤の潜入シーンなど作画的に派手な盛り上がり所もちゃんとあるのが素晴らしい。
素子がいなくなって、寂しくて女々しいバトーが可愛い。バトーは身体のほとんどを義体化していてサイボーグみたいなのに、デカい図体してメソメソして表面上は平気なフリをしてるのが人間味たっぷりで面白かった。
人間と人形の差異がどこにあるのか私には分からないけど、どんなに技術が進んだとしても人間は人形にはなれないのかもしれない。


第6位 百花

2022年 / 川村元気監督 / 日本

『君の名は』などヒット作を数多く手掛けてきたプロデューサー、川村元気の初監督作品。
正直観る前は「川村元気か……」と思って全く期待してなかったんだけどすごく良かった。
過去の出来事によってギクシャクしてる親子が2人だけの思い出によって僅かに繋がりを取り戻す。されたことを全部許したとかじゃなくて、固まっていた心がほんの少しだけ溶け出したような、その瞬間を描いているのが美しいなと思った。


第6位 ソナチネ

1993年公開 / 北野武監督 / 日本

ビートたけしの映画は感想が「なんかイイ」になりがち。どの部分が刺さったのか言語化しづらいし自分でもよく分からないんだけど、沖縄の美しい海とたけしの孤独な目をなぜか見返したくなる。
自分には主人公の村川がどうしてあんなに死にたがっているのか分からなかったけど、理由とかないのかもしれない。
なんとなく当時のビートたけしの心象風景を描いた、とてもパーソナルな映画だと感じた。でもそういう個人的なもののほうが、多くの人には受け入れらなくても誰か一人の心に深く響くことってあると思う。


第7位 ストレンヂア

2007年 / 安藤真裕監督 / 日本

『クレヨンしんちゃん』の劇場版の原画や『鋼の錬金術師』の演出などに携わってきた安藤真裕さんの初監督作品。
この映画はなんといってもクライマックスの名無しVS羅狼の作画に尽きる。
アニメーターの中村豊さんがクライマックスの殺陣の原画を開幕から決着まで担当してるんだけど、それがもうすごすぎた。上手くてかっこいいのは勿論のこと、一人のアニメーターが一つのシーンを(しかも物語の最高潮)ここまでの熱量で描いているということに感動したし圧倒された。
最近のアニメに多いカメラがぐりんぐりん回って躍動感をつけるようなものじゃなくて、ロングショットで二人の位置関係をきちんと見せる、次にカメラが寄って剣がぶつかり合うのを見せるとか、基本的なカット割りでもちゃんとアクションがかっこよく見えるのがいい。とにかく見てくれとしか言い様がないです。
中村豊というアニメーターがこの世に生まれたこと、本当にありがとうございます。


第7位 わたし達はおとな

2022年 / 加藤拓也監督 / 日本

大学生のカップルに妊娠が発覚する話で一言で言うと避妊しろよという言葉に尽きる作品。
話がクソでもワンシーンだけでも記憶に残るところがあればそれだけでもいい映画だと思う。この映画も観てる間ずーっと腹が立つんだけど、ラストシーンの長回しが本当に最高で記憶に残った。その一点だけで7位に入れました。


第8位 愛なのに

2022年 / 城定秀夫監督 / 日本

登場人物がみんな、倫理観お母さんのお腹の中に置いてきたんか?って感じなんだけど不思議と不快感はなくて、気持ちや行動の正直さが面白くなってくるところが好きだった。会話が面白い映画。
古本屋を営む瀬戸康史に会いたくなる。もし自分が女子高生だったら私も毎日通ってたな。


第9位 NOPE

2022年 / ジョーダン・ピール監督 / アメリカ

デカい画面で観る奇跡体験アンビリバボーって感じ。今目の前で超常現象が起きてるんだという気持ちになった。おもしろ!!超常現象に対して「撮る」ことで対抗しようとするのが、何の力もない奴らが頑張っている感じがして好き。応援したくなる。
差別などの社会問題へのメタファーもありつつ、AKIRAオマージュとかも入れる遊び心のバランスが良かった。


第9位 THE BATMAN ーザ・バットマンー

2022年 / マット・リーヴス監督 / アメリカ

ノワール調のヒーローものというのが新鮮だった。3時間はちょっと長すぎる気もするけど。
黒を基調とした画面にオレンジ色で統一した光が画面に映えてめちゃくちゃかっこいい。車がクラッシュして爆発をバックにバットマンが歩いてくるシーンが余りにもかっこよくてそこだけで5億点!(このシーンはYoutubeにある予告編で見れます)


第10位 すずめの戸締り

2022年 / 新海誠監督 / 日本

開いてしまうとその地に災いが起こるという扉を戸締りしながら旅する話。
前半のロードムービー部分や、芹澤朋也のキャラの良さなど好きなところは多々あるものの、東日本大震災をテーマにしていることで当事者じゃない自分が素直に面白かったということに複雑な気持ちを抱いてしまう映画だった。
災害を人の手でなかったことにしているという描写はやはりうーんと思うし、他にもいくつか疑問が残る部分はあった。でも、震災から12年経って当時を知らない世代も出てきた今、こういった作品を公開する意義は大きいと思った。
これまでも震災を題材にした作品はあるけど、この公開規模(全国420館)かつ前2作がどちらも興行収入100億超えの国民的作家になった監督の新作で、ここまで直接的に震災を扱いメッセージを届けようとしたこと。その新海誠の真摯さ、誠実さに胸を打たれた。


第10位 RRR

2022年 / S・S・ラージャマウリ監督 / インド

おもしれ~~!!!観終わった後本当に3時間あったか時計確認しました。アクションに友情、使命と中身盛り沢山で、3時間ずっとメインディッシュ出てくる。もうお腹いっぱいだよ!と思いながら別腹で食べ続けられます。
絶対助からないと言われた毒をそこらへんに生えてた草で治療するのめちゃくちゃ笑った。友達と見たら絶対楽しい映画。


まとめ

初めて1年でこんなに映画を観たわけだけど、自分の心に残る作品って本当に一握りですね。
ベスト10を振り返ってみると、何か社会に対して問題提起するような作品よりも、もっとミクロな個人的な感情を扱った作品のほうが今の私のモードに寄り添っているのかもしれないなと思った。

2023年も「シン・仮面ライダー」や「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」などなど面白そうな作品がたくさんあるから見逃せない。それらを観たとき自分がどう感じて何を思うのか今から楽しみだ。

遂に書き終わった!!これでやっと年越しました。あけましておめでとうございます!!

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