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「管理会計って意味ないじゃん?」に対しての反証

「管理会計って意味ないんじゃない?」という声を聞くことがあります。「利益管理しましょう!」「原価管理しましょう!」と言っても、実務に携わる人からは「そこまでしても意味ない」と言われることがあるのです。実際、会計士や税理士、さらには経営者からもそんな声が聞かれることがあります。私自身も、他の会社の管理会計を見て「これじゃ意味ないよね」と感じることがあり、途中で諦めたくなる気持ちは理解できます。そこで、「なぜ意味ないと思われるのか」と「どう改善すればいいのか」を整理してみました。このテーマは、最近よく聞く“データドリブン経営”にもつながるものなので、ぜひ読んでいただければと思います。

そもそも管理会計とは何か?

管理会計とは、会社の経営者が良い判断をするために、社内の数字や業績データを分析し、役立つ情報を提供する方法です。コストを管理し、利益を増やし、将来の計画を立てるために重要な役割を果たすものです。

意味がないとされる理由

現実と合っていないデータ

管理会計で作られたデータが、現場の実際の状況と合っていないと、そのデータは役に立たないと思われてしまいます。

たとえば、あるレストランチェーンのケースでは、管理会計のデータではメニュー全体の原価率が30%と報告されていました。これは、目標の原価率(例えば35%)より低く、経営者はコストがうまく抑えられていると判断しました。

しかし、実際には人気メニューの原材料価格が急騰しており、そのメニューの原価率は50%を超えていました。あまり売れていないメニューは原価率が低いため、全体の平均原価率は低く抑えられていたのです。

このような状況では、原価率が高いメニューが多く売れると、忙しいのに利益が少ないという残念な結果になります。管理会計のデータが現実とずれているため、このデータに基づく経営判断が利益を最大化できない原因となります。

データの管理が細かすぎる

管理会計でデータを細かく管理しすぎると、逆にそのデータが役に立たないと感じられることがあります。

たとえば、ある小売店チェーンでは、各店舗ごとに何百もの商品の在庫数や売れ行き、仕入れ価格などが詳細に報告されていました。

しかし、情報が多すぎて、経営者や現場の管理者がどのデータを重視すべきか判断できなくなり、重要な意思決定が遅れたり誤ったりすることがありました。

このように、データが細かすぎると管理や分析が複雑になり、現場の実際のニーズに合わない情報が提供されることで、効率が下がる場合があります。

管理会計がなかったらどうなるか

もし管理会計がなかったら、会社は正確な経営判断をするためのデータが不足します。その結果、経営者は感覚や経験に頼るしかなく、コストが無駄にかかり、利益を出せず、資源をうまく使えないリスクが高まります。
これは、まさにデータドリブン経営の反対の状況です。

管理会計を意味あるものにするためには

  1. 目的を明確にする: 管理会計がどの経営目標をサポートするのかをはっきりさせ、その目標に合ったデータを集めて分析しましょう。

  2. 現場の意見を取り入れる: 現場のニーズに合ったデータを提供し、実際の業務に役立つ情報を確保します。

  3. 定期的に見直して改善する: 管理会計の効果を定期的にチェックし、必要があればシステムや方法を改善しましょう。

最後に

管理会計はお金と時間をかける価値があり、そのメリットを最大限に活かすことで、会社の成長と競争力を支える重要な役割を果たします。管理会計を常に経営状況に合わせて調整し、全社でしっかり活用することで、本当に役立つものとして機能させることができます。

さらに、管理会計はただの経営ツールではなく、導入してからもメンテナンスを続けることで、会社が長く利益を出し続けるための基盤となります。
うまく運用される管理会計は、会社の未来を支え、長期的な成功を確実にするための土台となります。

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