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取扱説明文最終章 ―彼女に触れるな!― (ほぼ書いて出し/20201106)

彼女は病気だ

激昂症候群

尋常じゃないほど怒り狂っている

人を寄せつけないほど

怒っても何も起きないと知っておきながら

この社会の在り方を

今を生きる人々を

怒(いか)っている

怒(おこ)っている

傍から見れば温厚で

あまりの優しさに 人は甘えの対象にすることもあるが

それがまた彼女を怒(おこ)らせる

そしてそんな奴ほど彼女の本当を知ったなら

怖いと感情を抱き 逃げる

いい距離を離れたところで合言葉を言うそれは

「あいつ頭おかしい」

そして離れる

彼女はもうそんな生活慣れたなんて言うが 本当は違う

いや 半分合って半分違う

彼女がこんな待遇を受けたところで

痛くも痒くも何ともないだろうが

その代わりに怒りが蓄積される

憎しみとなり 更に人離れした行動をとるようになる

他人が「あのう、あなたおかしいですよ」なんて言ったなら

あぁ、私はそうやって生きてきましたから

合わないようなら私と離れた方がいいです

あなたが狂いますよ?

なんて返して 彼女の中でその人との関係は終わる

声をかけた本人は傷つき 時には泣きながら帰っていくが

この時一番傷付くのは 去った人であるはずがない

今のこの私の発言が理解できなかった人間も

彼女とは合わない 去った方がいい

今から

それが彼女のためだ

どうか悪い気は起こさないでほしい

というか 起こさない方がいい

彼女に触れようと思うなら

こんなところで傷ついていれば あなたの身はボロボロになるから

聞き慣れない事が多くて混乱しただろうが

彼女は そうでもしないと生きてこれなかったのだ

今も

彼女が今まで生きてきた人生を

他人が全く同じ人生を体験したなら

一体何人の人間が 現在いまの彼女の歳まで生きていられるだろう

何も知らないなら 口出すべきではない

彼女と散歩中

道端に人懐こそうなかわいい猫がいた

動物は好きなはずで 触(さわ)れば、と言ったのだが

彼女にはどうしても 触(ふれ)られなかった

それでも彼女は 止まらない

自力で止められないほど

彼女は社会に怒(おこ)っているのだ

頂いたサポートにお応えできるよう、身を引き締める材料にしたいと考えています。宜しくお願い致します。