海外サッカー編#2 「食とスポーツ」を通じたアクティベーション
【はじめに】
読者のみなさんこんにちは!
『スポンサー営業マンになりたい素人』です。
今回紹介するスポンサー契約は2019年4月に発表された契約です。その中身について見ていきたいと思います。
2019年4月、リバプールFCが日本の食品メーカー「日本ハム」とパートナーシップ契約を結びました。
【日本ハムとは?】
日本ハム株式会社は、日本を代表する大手食品加工メーカーです。
ニッポンハムグループの連結売上高は、1兆円を超え、国内食肉業界において1位、世界の食肉業界でも5位のポジションにあります。
また飲料、菓子メーカーなどを加えた国内の食品業界全体でも6位に位置しています。
プロ野球チームの北海道日本ハムファイターズの親会社でもあります。また、プロサッカーJリーグ「セレッソ大阪」のトップパートナーでもあり、運営・支援を行っています。
【リバプールFCとは?】
リバプールFCは、イングランドプレミアリーグに所属しています。
プレミアリーグの中ではマンチェスターユナイテッド、チェルシー、アーセナルと並び、4大チームと呼ばれ、人気・実力共に世界有数のサッカークラブの1つです。
全世界に熱狂的なファン(サポーター)を持つことでも知られ、プレミアリーグの東南アジア戦略の成果もあり、特にアジア諸国での人気は世界No.1と言われています。
近年も、2018-19シーズンにUEFAチャンピオンズリーグ優勝、2019-20シーズンでは、FIFAクラブワールドカップを優勝しています。
また、日本代表の南野拓実選手も所属しています。
<主なタイトル>
UEFAチャンピオンズリーグ優勝6回
フットボールリーグDiv1優勝18回
【契約の内容】
・オフィシャルパートナーシップ契約を締結
・日本ハムはノース・リバプール・フードバンクを通じて、地域貢献を目的としてクラブが実施している「レッド・ネイバーズ・プログラム」を支援
・経済的に恵まれない層を対象とし、3年間に渡って食品の寄付と出資を行います
・LED看板での社名露出、VIPラウンジでの試合観戦や練習見学などの特別体験も契約に含まれています
【企業側の課題】
東アジア市場における成長
日本ハムの社名とブランドは、日本という市場においては国内食肉業界において1位ということもあり、広く知られているかと思います。
しかし、海外、特にアジアでは、まだまだその認知度という部分では、低いといいます。海外でのブランドである「NH Foods」は、タイ・マレーシア・ベトナムに工場を設立していますが、海外売上比率はまだ低いです。
下記の日本ハム株式会社2020年3月期決算を見てみると、アジア・欧州の売上金額は、米州・豪州と比べるとまだ比率が低いことがわかります。
また、アジアと欧州は同じグループにいることからアジアの売上高は、この表記よりもっと少ないと考えることができます。
なので、日本ハムとしてはアジア市場をどう開拓するのかという部分に課題を感じていたのではないだろうか。
※日本ハム株式会社 2020年3月期決算短信より引用
【お互いのメリット・目的】
日本ハム
・食品会社としてさらなる知名度とブランド価値の向上に繋がる
・社会課題解決にアプローチすることで企業理念である「世界で一番の『食べる喜び』をお届けする会社へ」を体現できる
・クラブのアジア人気が高いことから主に東アジア市場の開拓を進めることができる
リバプールFC
・クラブの本拠地グラウンド「アンフィールド」近辺の地域は、イギリス国内でも貧困問題が深刻化した地域であるため、日本ハムからの支援により地域貢献ができる
・リバプール市の課題解決に特化した「レッド・ネイバーズ」というプロジェクトでクラブが特に力を入れている地元の低所得者層向けに開放しているフードバンクの支援を受けることができる
・スポンサー費の獲得
【まとめ】
従来の広告による露出や選手を使ったPRなどのスポンサーという形ではなく、「食」に関する支援を行うことで両者にメリットが大きい契約となりました。
リバプールFCの本拠地であるアンフィールド近辺の地域が貧困問題を抱えていること、アジアからの人気が高いこと、これらの条件が揃ったことで日本の企業である日本ハムは契約できたと考えています。まさに需要と供給が一致したと言えます。
この契約には、世間からの声も明るく、非常に評価されています。
このように社会課題を解決していくスポンサーアクティベーションは、スポーツチーム・企業ともに価値を高めることができます。
こうした社会課題を解決する新たなスポンサーの形を考えてみると面白いかもしれません。
【引用元】
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