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私が初めて人に薦めたいと思った自己啓発本。「よく生きる」ではなく、「とにかく生きる」こと。


自己啓発といえば、講演会やセミナーを通して精神的な成長だったり技術的なスキル・能力を高めたりと、ともすれば意識高い系とも言われがちなアレである。自己啓発書とはつまり「能力向上のために読まれる本」である。

しかしこの本は日本一意識の低い自己啓発本を名乗る作家が書く、まさに生き抜くためのハウツーが詰まった一冊だ。

そもそも啓発とは、

新たな知識や気付きを与えて、人を教え導くこと。(Weblio辞書)
人が気づかずにいるところを教え示して、より高い認識・理解に導くこと。(コトバンク)

とある。
その意味で確かにこれは啓発本であり、サバイバルのガイドである。
そしてここでいうサバイバルとは「ラクに生きる」ということ。能力を高めるとかより良く生きるなどというのは二の次で、とにかく「世の中を生き残る」ということ。

「あたりまえ」に馴染めないADHD(発達障害)当事者が自身の経験と気付きを言語化した具体的なライフハックが丁寧に書かれている。
同じ発達障害の人にはもちろん、もしかしたら…と感じている人やいろんなことが上手くいかないと悩んでいたり、每日が忙しく生活が回らないと感じている人に是非読んでほしい。

自分を変えるのではなく、環境を変えるということ。生活環境に投資すること。モノや他人に頼ること。そして何より「良く休む」ということ。

私は発達障害ではない(と思う)けれど、この本は非常に共感できる部分が多く、また役に立つ一冊であった。
著者と同じように悩んでいるADHDの人にはそのまま使えて、そうでない人にとってもここに示してある考え方は生きることをラクにしてくれるはずだ。

(あとイラストが私のツボだった。かわいい。)


そしてこれが著者の2作目と知り、前著「すごい仕事術」も読んでみた。

こちらはタイトル通り主に「仕事面」にフォーカスした内容になっている。私は仕事人ではないのでどちらかというと2作目の「生活術」の方が全体的には得るものが多かったように思う。

が、2章の「部族」の話はとても刺さるものがあった。というのも、私も著者と同じように考えていた時期があったからだ。

見えない通貨に、取引に、気づかずに生きていた。「人は人、自分は自分」を掲げて周囲に順応する気がなかった。人と比べないということと我を貫くことはまったく違う。コミュニケーションが苦手だという人には、新しい環境で躓いてしまう前に、一度読んでみることをおすすめしたい。
話し方をレクチャーするような本は他にもたくさんあるが、私が出会った中ではこの本が一番わかりやすかった。具体的で、実践できるものになっていたと思う。(以前読んだ話し方についての本は往々にして結局何と喋れば良いのかわからずじまいであった。)

はじめに著者の借金玉さんのプロフィール、経歴が書いてあり、どんな人なのかという人となりをなんとなく知ったうえで内容に入っていけるのも読みやすい理由のひとつだ。

ADHDと診断された人やその傾向がある人の「困りごとはそれぞれ違う」し、「(この本の解決策が)全員にあてはまるわけではない」という前提で、少なくとも失敗しないためのヒント。そしてそれは定型発達でも同じように社会適応に悩んでいる人にも気づきを与えてくれる良書である。


ちなみに、私は

机とイスは、あなたの家の「知の生産拠点」(発達障害サバイバルガイド)

というハックに従い、早速机を購入した。奮発して、(お値段に目をつぶり)一番気に入ったものを。

おかげでいま、とても良い気持ちでこれを書いている。

借金玉さんありがとう。笑

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