『まりす盟友』の陽と陰

わたくしギランバが『まりす盟友』執筆において強く意識していること。
それは、陽と陰──ありとあらゆる二極の面を如何に使いこなせるか。

豹変と表しても差し支えないでしょう。

光が強まれば陰も濃くなる。
そういった普遍的概念をわたくしなりにどう表現するか。
あまり下手っぴな理屈を述べると長ったらしくなるので具体例を。

陽・溢れる『元気』と『わくわく』

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記念すべきはじまりの(または恥じたいほどには見切り発車な)巻。
内容に関してはネタバレ防止の為 細かなことは触れられませんが、
主人公・理(コトワリ)のドジが他愛なく綴られたり、学内でおバカな男子から崇められる美青年・なぎさの扱いだったり…
とかくこの作品では活気に満ちた盟友たちが思いのままに、何てことのない
日常を謳歌していて 今読み返しても自由度の高いの側面が全面に出ています。

さらにもう1つ。

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『まりす』のストーリーにおいてわりと重要なターニングポイントとなる
7巻。
しかしターニングポイントといっても 前半はかなりやりたい放題、
気ままに書かせて頂きました😉💦

王子様系女子に一目惚れしたことがきっかけで、大学の男子を蹴落とす
女子・至点(シテン)、うぶな女子・福ちゃん
(本名:福田 たすく。表紙にも描かれている娘です)のもとに突如現れた
軟派な神様・イザナ──。
やはりドタバタコメディーの類に相当する本作。

もっとも、後半からは引き締まった展開にはなっていくんですがね…。

それでもこれから語るの要素と比べたら、それほど重たく 沈痛とは言えません。

陰・繰り返す『痛み』と『トラウマ』

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第2の主人公・カヤコの初登場エピソードです。
人見知りが目立つ彼女の回想から窺えるトラウマや、生き辛さ
そして、本シリーズでの核心でもある悪意が剥き出しとなる
不穏なシーンの数々…。

1巻とはガラリと変わって ヒリヒリとした痛みがつきまとう2巻では、
の側面が顕著です。

そして、現時点での極めつけ。

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カヤコが10歳だった頃を綴った過去譚。
ここでも歪んだ子供社会理不尽な大人による制裁など 息の詰まるような
情景が最後まで描かれています。
なお、本作品ではこれまでの方法とは少し味の違う「陰と陽」が登場するのですが、それがこちら。

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手作り雑貨商品サイトに移動したワケではございませんよ🍩
作中でのキーアイテムとなるマスコット・ドーナッツベイビーちゃん
(チョコカラー)です。


ここでちょいとネタばらししましょうかね。




このベイビーちゃん、カヤコの10歳の誕生日プレゼントだったのですが、
目の前で燃やされます。

彼女を嵌めた同級生に…


一見ふざけたマスコットキャラクターが、陰惨な悲劇を招く。
ドーナッツベイビーちゃんの場合は 存在そのものが
陰と陽を体現しているのです。

一つのものに、二極となる面を詰め込む。
これが冒頭で述べた『豹変』に値すると わたくしは思っています。

『陰と陽』の可能性



この二者を巧みに操る作家さん・シナリオライターさんは、
様々な読者や視聴者を惹き付けることが出来る可能性があるのでは
ないでしょうか。

情景をくるくる変動させ、こちらを惑わせる魔法使いのごとく──。


読者様を掌の上で転がすような力は、わたくしにはありません。
それでも──


せめて筆を執る自身の目を、欺きたいのです。
鏡の前に立った時、化けた自身の姿に愕然としたい。



そういった欲望が、日々胸を渦巻いています。





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