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【地方競馬研究】2024年八戸1歳馬市場 概観


地方競馬研究#4

八戸市場が7月2日に実施されます

7月にはセレクトセールなどが実施されますが、その一つ前に7月2日に八戸市場が実施されます。

八戸市場は主催 青森県軽種馬生産農業協同組合として実施される北海道外のセールになります。

登場する種牡馬

種牡馬一覧(2024) 筆者作成

九州市場と比較すると豊富な種牡馬ラインナップとなっております。

新しめの種牡馬で行くと
キセキ
エポカドーロ
オールブラッシュ
などが挙げられるでしょうか。

上場数の多い種牡馬は青森に繋養されているウインバリアシオンとなります。
ウインバリアシオンは青森繋養種牡馬のエースとして毎年複数頭の上場馬が出てきています。

また八戸市場だとアルデバランⅡ産駒が多数出走される傾向にあるのですが、今期はわずか1頭と少なくなっております。

東北産馬の出走が多い競馬場傾向

東北産馬の出走先 筆者作成

九州市場の時もそうですが、基本的には産駒の移動距離の少ない岩手や門別の出走が多い傾向にあります。また南関東も一定の出走数が多く、九州産馬との大きな差が見られます。

逆に高知や笠松での出走数が少ない傾向にあり、ここにはどういった原因があるのか、理由が知りたいところです。

注目の種牡馬

ウインバリアシオン 筆者作成

まずはウインバリアシオンです。
今回のセリでは6頭の産駒が上場されています。

ただデータを見ると地方競馬における特長ある成績を残しているわけではありません。

ウインバリアシオンの産駒傾向ですが下記の通り
2021年産駒
・平均出走数:6.80走 (全種牡馬平均:7.50走)
・平均勝利数:0.70勝 (全種牡馬平均:0.78勝)
・平均複勝数:1.40回 (全種牡馬平均:2.34回)
2020年産駒
・平均出走数:19.28走 (全種牡馬平均:13.03走)
・平均勝利数:0.83勝 (全種牡馬平均:1.48勝)
・平均複勝数:3.28回 (全種牡馬平均:4.23回)
2019年産駒
・平均出走数:20.35走 (全種牡馬平均:18.46走)
・平均勝利数:0.78勝 (全種牡馬平均:2.00勝)
・平均複勝数:4.35回 (全種牡馬平均:5.75回)
※年を経るので出走数や複勝回数は増えていく傾向にあります

おそらく3歳から4歳くらいで全盛を迎え出走数が増えてくる傾向にあるのだと思います。
ただ勝利数が全体的に少なく、複勝数も少ないため、そもそもが地方ダートには相性の悪い種牡馬のように思われます。

たしかに繁殖牝馬の質が悪いのかもしれませんが、今から青森から北海道に繋養先が変わる可能性は低いと思いますので、大きな成績の変化は見込みにくいような気がします。

ウインバリアシオン産駒にはドスハーツカミノホウオーといった産駒がいますが、やはり地方競馬に転厩してからは大きな勝利は挙げられておりません。
小回りと相性が悪いのか、ターンが苦手なのか、そういった傾向があるように思われます。

エポカドーロ 筆者作成

エポカドーロも注目です。
2024年産駒が初年度産駒になりますが、父オルフェーヴル&母父フォーティナイナーとなります。

中央だとサノノスウィフトが6月15日の新馬戦でデビュー。
7頭中の6着に敗れています。

血統面で見ると
父:オルフェーヴル
は、中央や海外ではダートで走るような産駒がいますが、地方競馬で見ると産駒が多くいるのもあって、サイアーランクでは25位となっています。
平均の出走数は9回/年くらいですので、体質的に特別丈夫なわけでは無さそうです。

母父:フォーティナイナーは地方競馬BMSランクだと31位。平均出走数は9回/年となっております。
ただ平均勝率9%、複勝率28%と高い結果を残しておりますので、エポカドーロもフォーティナイナー系の血が強く出るようであれば、活躍する産駒を出してくるかもしれません。

なお個人的にBMSだけでなく母母父ごとのサイアーランキングを作成しているのですが、フォーティナイナーはそこでは14位。
勝率も10%に複勝率30%と高い数値を誇りますので、エポカドーロ産駒の牝馬などは今後繁殖となってから地方向きの産駒を生んでくれる可能性があります。

ケープブランコ 筆者作成

ケープブランコの産駒も八戸市場で3頭上場されます。

ケープブランコの代表産駒でいえば、19年の毎日杯勝ち馬ランスオブプラーナや笠松や名古屋の重賞戦線で活躍しているロッキーブレイヴなどがいます。

種牡馬としての特徴としては、全体として勝利数が少ない傾向にあることが挙げられます。

各年ごとの産駒成績は下記のとおりです。
2021年産駒
・平均出走数:8.50走 (全種牡馬平均:7.50走)
・平均勝利数:0.50勝 (全種牡馬平均:0.78勝)
・平均複勝数:3.17回 (全種牡馬平均:2.34回)
2020年産駒
・平均出走数:14.18走 (全種牡馬平均:13.03走)
・平均勝利数:1.00勝 (全種牡馬平均:1.48勝)
・平均複勝数:3.64回 (全種牡馬平均:4.23回)
2019年産駒
・平均出走数:20.18走 (全種牡馬平均:18.46走)
・平均勝利数:0.88勝 (全種牡馬平均:2.00勝)
・平均複勝数:4.06回 (全種牡馬平均:5.75回)

全体的に勝ちに恵まれず、また晩成傾向を特別示すわけでも無いようです。

netkeibaなどの成績を確認しても、芝ダートともに特別な成績の偏りは見られないため、母方の血統如何でダートも芝もいけるけど、どっちもどっち、といった傾向になっているような気がしています。

注目馬

注目馬 筆者作成

つづいて注目馬です。
正直、めちゃくちゃに良い血統馬がいるわけではないので、かなり悩んで挙げた2頭になります。

1頭目は18番スパンコールの23となります。
アポロケンタッキー、母父ダイワメジャーという組み合わせ。

アポロケンタッキー自身は2021年産駒が初年度産駒ですが
2021年産駒
・平均出走数:9.17走 (全種牡馬平均:7.50走)
・平均勝利数:0.80勝 (全種牡馬平均:0.78勝)
・平均複勝数:2.34回 (全種牡馬平均:2.34回)
と平均に近い成績を初年度産駒から残しており、
2022年産駒も6月時点で4頭がデビューしており、立ち上がりの早い傾向が見受けられます。

母父ダイワメジャーも母父として活躍しており、BMSランクでは15位。
他と比較して勝率や複勝率といった成績が良いタイプで、母父としての2022年産駒は既に3頭デビューと、こちらも立ち上がりの早い傾向が見受けられます。

母父ダイワメジャーで父方がDanzig系となっている地方現役馬を考えてみると、南関東で走っているモンテジュエルなどが挙げられます。
モンテジュエルは中央未勝利の後、楽天サラブレッドセールで130万円で地方に転厩してきています。

モンテジュエルは地方で3勝を挙げており、出走数は馬主のわりには多くないものの、安定した収益をもたらしているようです。

本馬も近しい形で活躍してくれることに期待したいところです。

注目馬 筆者作成

つづいては20番のナリタメロディの23となります。
本馬はウインバリアシオン産駒のため、地方競馬向きの血統ではないのですが、母父シンボリクリスエスは優秀でBMSランクで8位、母母父にあたるフジキセキはBMSで見れば4位と、母系が地方競馬に向いた血統で構成されています。

親族にも20年の葵S3着だったワンスカイがおり、全体的に短距離に強い家族であるようです。

また父ウインバリアシオン×母父シンボリクリスエスの組み合わせは、先に挙げたカミノホウオーや5歳馬で29戦をこなしているハーピーローズと同じ組み合わせであり、ウインバリアシオン産駒の中では比較的成績の良い組み合わせとなっています。

青森を代表する種牡馬ですし、1頭くらいは注目馬に選定したいと思っていたためチョイスさせていただきました。

まとめ

八戸市場は九州市場と比較して、種牡馬バリエーションは豊富で、ウインバリアシオンを中心に青森で繋養されている種牡馬との組み合わせも豊富です。

ただ地方競馬向きの種牡馬自体は多くなく、どちらかというと芝や長距離向きといった種牡馬が目立ちます。

そのため、出走数を稼ぐという指名のある馬主などが八戸市場で安価とはいえ購入を考えていくのは、データ的にはあまりお勧めしません。
それであれば九州市場の方がよさそうです。


今後も筆者の興味の思った項目を中心に調査していきますので、コメントや♥をよろしくお願いいたします。

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