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本当のプロが使っている耐震補強金物7つ

 耐震診断をして、耐震補強を行うときに使用したい金物7つを紹介します。長年耐震補強を行っている中で、特に有用だなと思った金物を完全に私個人の主観で選び、紹介させて頂きます。

仕口ダンパー

 古い家屋などで、どうしても壁が作れなくて、少しでも強度を強くしたいときなどにも利用できる、柱と梁の仕口に入れる小さな粘弾性ダンパー。限界耐力計算などで設計するのが原則で寺社などで特に利用されてきました。しかし小型の15㎝タイプは住宅に適していて、簡易法で比較的簡単に設計・施工できるのがポイントです。地震の揺れに対して粘り強くなります。使い方にはコツが要りますが 現在の間取りをそのままに安価に施工したい場合にお勧めです。

コボット ステンレスブレース

 木造用のステンレスブレースの老舗。古くからお世話になっている技術者が多いと思います。それでも最新の金物と遜色ない性能は基本設計の良さを感じます。コボット単体では引き抜き金物として利用でき、細いブレースと合わせると耐力壁や水平構面の補強にも使える汎用性がウリです。コボットの形状はお尻の部分が丸く木を傷めにくい形状になっています。
 ブレースは意匠的にも細くて美しいので窓に取りつけたり、開放性のある雰囲気を維持しつつ、補強したいときにお勧めです。

メタリフ筋かいプレート

 耐震補強時の筋かいプレートは複数用意しておかねばならず面倒です。また倍率によっても筋かいプレートは異なり、特に現場で変更となると買いに行かなければならないシーンも多いです。
 メタリフ筋かいプレートは、1.5倍、2倍、3倍用が共通です。ビスの数も同じですので選択に困りません。特に3倍用が使えるのは珍しく、耐震補強のとき、より強度を出しやすくなるので特に外周部などで合板を使えない場合に威力を発揮します。

ガードホールダウンジベル

 強い耐力壁は、代償として強い基礎と強い金物が必要です。できればそのようなものを使わないで補強を行いたいのですが、仕方がない場合もあります。そのときは基礎を増し打ちしてアンカーボルトを埋め込んで、柱の引き抜きが発生しないように柱と緊結する必要があります。一個一個設計するのが面倒ですしスペースがない場合に威力を発揮するのが、ガードホールダウンジベルです。増し打ち基礎に対応したアンカーから柱を止める専用のホールダウン金物がセットになった優れた金物です。これを使う事で、一段補強設計のレベルを上げることが可能となり、より補強の柔軟性がアップします。

後施工金物

 古屋を調査していると必要なところに梁がないケースが多くあります。どうしても梁を作らなければならない・・・というときに比較的手軽に梁を入れることができる金物です。また柱の追加時にもしっかり固定できるので、重宝します。耐震リフォーム時には必須の金物です。

オメガプレートSD 10kN

 古屋は梁の仕口に金物を使っていないケースが多いです。特に外周部、壁の補強を行ったときに、その壁内に梁接続に難がある場合があります。その場合短冊金物などで補強するのですが、リフォームのときにはその幅が確保出来ていない場合が多いです。
 オメガプレートSDは、全長が170㎜と短くビスで施工できるため、そのような緊急事態に梁接合部の補強ができるケースがあります。性能的には10kN
とそこそこの性能があります。

クリビス止め火打ち金物Ⅱ

 耐震リフォームでは、火打ちの増設は、既存の梁に取りつけるためサイズ的に入らないことがあります。この金物は踏ん張り長さ600㎜(通常は700㎜)と短いため、通常のものが無理な場合でも取り付く事があります。またビス止めなので施工が容易です。火打ちが取り付かないことで水平構面の補強を諦めずに済む場合がある素敵な金物です。

どれも私が利用したときに優れているな、と感じたものでお勧めできますが、金物は全てのシーンで有用なわけではありません。その選択も含め技術者の腕が問われると感じています。



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