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新耐震基準の耐震診断で気をつけなければならない5つ

元々、木造3階建てなどの新耐震に属する建物の診断を多くやってきたのですが、最近は木造2階建ても増えてきています。特にグレーゾーンという、新耐震基準のうち、2000年より前のものが増えています。この時期は、構造用合板などが増え、基礎もしっかりしてきているので、ある程度の耐震性が期待できる反面、グレーゾーン特有の金物が不十分なことと、バランスが悪い建物も多いことから、思わぬ耐震性が低い建物に遭遇することがあります。

その1 耐力壁の際の柱にアンカーボルトがついているか?

 旧耐震の場合、筋かいも金物なしで薄く、外壁も木ずり下地モルタルだったりするので、耐震性が低く、アンカーボルトが柱際になくても、それほど大きな問題が発生しずらかったのですが、新耐震になると筋かいも二つ割が増え、外壁も合板が多くなったりします。そのため柱の引き抜けの金物以前に、アンカーボルトが不足する場合があります。調査が難しいですが、診断時に、どこか一箇所でも確認したほうが良いです。その後の補強計画が大きく変わります。

その2 構造用合板の釘、ピッチ、取り付け方は告示どおりか?

 あくまで外壁下地としてだけ利用しているパターンもあります。その場合は釘や、施工内容はまったく適当になっています。耐力壁として利用していても施工がまずいものがほとんどです。主に
・釘が違う
・ピッチが違う
・受け材がない、桁まで合板が届いていない、釘が横方向にない
などです。一部外壁を剥がして確認したほうが良いですが、できない場合のおおまかな判断方法も、類型化していた方が良いです。

その3 金物の不足

 筋かい金物の有無は最低でも確認しましょう。柱頭柱脚の金物ですが、柱脚だけ付けている例も多くあります。その金物が告示でつけられているのか?N値計算で付けられているのか?それとも適当なのか?判断が本当に難しい場合があります。

その4 金物の取り付けの不備

 金物が説明書通りつけていない場合が多くあります。特に専用の釘やビスを使っていない例、取り付け方法が違うなどいろいろあります。

その5 断熱材で見えない

 小屋裏や床下から覗いて耐震要素を調査するのですが、断熱材が邪魔で見えないこともしばしば。サーモグラフィーや床裏センサーなどを駆使して、柱や筋かい位置だけでもきちんと調査したいものです。

とりあえず、この5点は要注意ですね。


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