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自宅を耐震等級3にした場合に、想定できる被害

 私の周囲ではやたら耐震等級3という言葉が一人歩きしています。耐震等級3がすなわち地震に安心という変な印象を持たれると心配です。今回は耐震等級3で大きな地震が来たときに建物が無事だった場合の被害についてお話しします。

 建物が無事ならOKなのでは?と思うかもしれませんが、実はそうではありません。自宅が耐震等級3で壊れなければ住み続けられる、安心!と簡単にはいかないのです。

 まず、インフラが止まります。水、電気、ガス、電話回線(携帯・Wifi)。自宅が耐震等級3で無事でもインフラが止まるのはよくあること。オール電化だから・・・とか太陽光パネルだから・・・とか安心材料にはなりません。建物無事でも断線したり、パネルが落ちたりもありますし、すべて無事でも、毎日自家発電で快適に・・・とはならないです。特に水は運ぶにしても大変ですし、都会ではなかなか給水車も来ないかもしれません。水の備蓄が必要なのは耐震等級3でも同じなのです。食料なども同様です。建物無事だから食料が手に入るということはありません。

被災後1ヶ月でもガスが復旧していないでこのような張り紙も。(2007年新潟県中越沖地震)

 揺れで壊れるのは建物だけではありません。まず物が落ちます。耐震等級3の場合、揺れは耐震等級1などに比べて低減されていることでしょう。それでも免震でもない限り、室内の物が落ちたり倒れたりを防げるほどではありません。よって耐震等級3の建物内においても家具の留めつけや倒壊防止などの対策は重要になります。建物が安全だからこそ、そのあたりをしっかりやっておく必要があると感じます。建物無事でガラスの破片だらけ・・・想像したくないですよね??
 屋外も同様です。バルコニーに載せていた鉢が落ちたり、物干し竿が落ちたりで、窓ガラスが破損したり、自動車が破損することがあります。建物が無事でも、様々な被害があります。これを避ける為には、屋外の物の配置なども考えておかなければなりません。

墓石が倒壊して外壁が壊れた例(2007年新潟県中越沖地震)

 他に道路が駄目になることもあります。東日本大震災の浦安のように、液状化で建物だけでなく道路が駄目になることも多々あります。液状化で無くても崖が崩れたり、道路が割れたりなんてことは、大地震ではよくあることです。家の敷地内が無事でも道路が駄目ですと、いろいろ大変です。物資も届かなくなるかもしれません。特に橋が落ちると致命的です。自分のことばかり考えているとこういうことに目がいかなくなるのは良くあることです。

 最後に・・・自宅がいくら頑丈でも隣地の建物の耐震性が低くて倒れてきて自分の敷地内に被害がでることがあります。最悪建物も巻き添えを食らうことがあります。

それでも家が無事なのは大きいです。避難所暮らしは大変ですし、そのあと仮設住宅も大変です。なので地震で被害を受けにくい耐震等級3の住宅に住むことは大きな価値があります。また耐震補強していない家よりしている家のほうが安全です。そして周囲の環境も大切です。しかしそれで油断してはいけません。日頃の備えは必要なのです。

仮設住宅。被災後1ヶ月で入居できる状態になりました(2007年新潟県中越沖地震)都会だともっと長引く可能性があります。


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