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こんな耐震補強いらない 5選

 木造住宅は非常にたくさんあるので、普段は感じませんが、非常に複雑なシステムです。古い建物は耐震性が低い物が多く、耐震補強したい方も多いです。しかし理解なく補強して、更に地震に弱くなっているケースすら散見されます。弱くならないまでも意味が無いものや、費用対効果を考えると?マークをつけざるを得ないものも多いです。今回はそんな中から7つのケースを紹介します。

その1 小屋裏や床下に大量の金物を付ける補強

 一般的に小屋裏や床下は、耐震性に影響ないことがほとんどです。しかし悪質業者は、ここに大量の金物の取りつけを提案して法外の金額を請求しているケースが多いです。なぜ小屋裏や床下か?といえば、他の部分に比べて狭くて施工しにくい反面、チェックもしにくく、人の目につかないので発覚もしにくいからです。また、付けやすいところだけに付けただけ、というのが多いのも特徴です。実際ほぼ意味がないことが多いです。逆に小屋裏だと重量増や木の欠損で逆に弱くなるのでは?と思われるケースもあります。

床下に大量な金物が無意味についている。他にも調湿剤や換気扇など様々な施工がされている。ほとんど無意味な例。
大量に無意味に金物がついている例。逆に必要そうな箇所にはついていない。基本的に耐震性には無意味で重量増と木の欠損といったデメリットばかりが目立ちます。


その2 塗るだけ補強

 塗るだけで強くなる・・・世の中そんなに甘くありません。まあ多少は影響あるものもありますが、耐震だと別ですね。主に多いのが、基礎の表面に塗布して基礎が強くなるものです。まあヒビなどは消えてキレイになりますが、基礎自体が強くなることはほぼありません。強くするなら最低でもアラミド繊維などを貼り付けてから・・・と成のでは?他にも、梁や柱にあやしげな?塗料をぬって耐震性アップなんてものもありました。比較的安価なのでやってしまうことがありますが、ほとんど無意味です。

左側の基礎は色が変わっていて何かの液体を塗っているようだ。そのうえで、木にはボンドと思われるものを塗っている。基礎と土台の間にも。いろいろ無意味すぎて意味がわからない。


その3 強い部分を更に補強

 耐震補強は、弱い部分を補強するのが原則です。しかし基本的に壁量できまるので、弱い部分は開口部が多かったりして、なかなか補強しにくいのも事実です。そこで、何も調査せず、強くて補強工事しやすそうな場所だけ補強する業者が現れます。たしかに施工しやすいしそれなりの金額がかかる工事なので儲かりそうですよね?しかしながら住んでいる方にはメリットはありません。しかも偏心率などのバランスは更に悪化し、耐震性が逆に落ちることもあります。このようなことを防ぐためにも耐震診断は必須だと思います。

その4 外付けの高価なホールダウンだけの補強

 阪神大震災で、柱の引き抜きによる倒壊が多く発生し、金物の重要性が認識されました。しかしそれは建物がある程度強い場合に限ります。耐震性が著しく低い建物に金物だけつけてもほとんど効果はありません。また耐震性が低い建物であれば、金物も安価なもので十分なので、高価な金物も必要ありません。
 私が調査した中に、建物4隅に高価な外付けホールダウン金物をつけただけで100万円というものがありました。高価な金物ですが、四箇所だけの補強工事であれば、これでも結構な利益が出るでしょう。しかし住んでいる側にはメリットはほとんどなく、むしろ外付けしたホールダウンの部分から雨漏りの可能性が出てしまいます。外付けホールダウンは別に悪いものではなく、使い方次第だと思っています。もちろん施工にも工夫や技術は必要です。ただ付けただけではメリットはないです。ある程度筋かいや構造用合板などの耐力壁があり、耐力が比較的高い場合は威力を発揮すると思っています。

もちろん、それなりに高価で意味のある金物なのですが、この建物には必要なかったです。しかも位置も意味がわからないところについています。

その5 耐震診断・補強設計をしない耐震補強工事

 はい。上記はすべてそんな感じです。耐震診断にお金かけるくらいなら、工事にお金をかけましょう、と一見もっともらしい文言で誘惑します。しかし意味のな工事なら安価でもすべきではありません。それこそ安物買いの銭失いになります。上記のような意味のない補強を行うくらいなら、きちんとした診断者にお金を払っても耐震診断・補強設計を行って貰った方が良いです。完全でなくても最低限の工事を行おうとしたときも、一番効果的な部分を補強できます。その判断は耐震診断・補強設計なしではできませんね。良く考えてから補強を行いましょう。

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