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サーモグラフィで耐震診断のときに筋かいの調査に使えるのか?

サーモグラフィといえば、物体から放射される赤外線を分析して熱分布図的に可視化した画像を撮影する装置です。温度計のデジタルカメラといったほうがいいでしょうか??

昔は思いっきり高価で、普通にもっている人は少なかったのですが、近年低価格化したため、建築業界でももっている人が増えました。

熱の分布から内部のことがわかることがあるので、断熱調査、床暖房の調査、雨漏りなど多様な用途が考えられます。あくまで手がかりを探すと考えれば、そのような用途のためにもつのもよいと思います。

さて、私がサーモグラフィに興味を持ったのは、温度差から木造住宅の筋かいがわかる、との記事からでした。ちょうど雨漏りの調査も多かったので、NEC Avio製のG100をリースで導入しました。業務用では比較的低価格ですが購入できる代物ではありませんでした。実際使った感じは、「筋かいがわかるときはある」程度で、筋かい調査のために導入するのは無意味だと感じました。それでも雨漏り調査、断熱調査などで非常に活躍し、リース期間を満了し、多少延長してまで使いました。

その後、10万円くらいで買えるコンパクト機FLIR C3を購入。性能はG100から見ると著しく劣りました。コンパクトで良かったのですが、筋かいの調査には向きませんでした。やはり性能が大事でした。それでもポケットに入れられる機動性で、数々の調査で役に立ちました。筋かい調査では絶対導入しないほうが良いと思いますが、導入して良かったです。

さて、今年、三台目のサーモグラフィとして、HIKMICRO B10を導入しました。性能的には上記2種の間で、G100に近い性能なのですが、技術の進歩なのでしょうか?5万円程度の低価格なのに、非常に良い性能でした。筋かいの発見率では、まだ稼働したばかりなので正確ではないのですが、G100より良さそうです。わかりやすいというか・・・。

しかし、ここ2回の調査で、やはり発見できない筋かいがありました。やはり万能ではありません。壁に太陽が当たっているか?冷暖房をかけているか?などの要因で発見できないことも多々あります。天気や季節もありますね。しかし木造の耐震診断に適した日に調査・・・なんてことはなかなかできません。というわけで、筋かい調査のためだけにサーモグラフィを買うのはお勧めしません。

そもそも、筋かい調査は、筋かいの有無だけでなく、筋かいの厚みや端部の金物の有無などが重要です。これらは解体するか、天井裏から覗いて確認する必要があります。筋かいの有無だけで耐震性がわかるほど甘くはなく、サーモグラフィで筋かいの有無が調査できたとしても、それだけでは駄目ですね。楽はできません。


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