小説コミッションを請けるコツ
※pixivで掲載していたものを手直しした記事です。
skebやSKIMAを介さずに自家で小説コミッションをやりたい人(依頼を請けたい人)向け。
この記事を書いてる人は、Twitterでエログロ系小説のコミッションをやっています。
約1〜2年ごとに、予告した数日間のみ受付、まったり消化していくスタイルを2016年から続けています。
実績はskeb等の一発納品型を除いて40作くらい。
請ける側/依頼する側のどちらも経験しています。
(1) コミッションやるためにアカウント新しく作るの大体地雷
情報開示が少ないコミッション怪しすぎ問題。
どーしてもコミッション垢作るなら、メイン垢へのリンクをプロフィールに貼るべし。
その上で、メイン垢のプロフィールからもコミッション垢を相互にすること(なりすまし疑惑回避)
開設日が直近で、素性のあやふやなアカウント。
削除や放置されたら連絡つかなくなりそう。そんなのにお金を渡せる人がどれほどいるだろうか?
怪しくないアカウントを育てるか、さくっとメインアカウントで募集したほうがいい。
「中の人の気配」が大切。
(2) 用意したほうがいい作品サンプルとは
作品を公開していない状態だと100%依頼こないです。
連載作品しか公開してないのもほぼ来ないです。
公開してるけどそのページにたどり着くまでが遠いのもまあまあ来ないです。
店先のメニューに写真があるような、どんな料理があるのかわかる店のほうが入りやすいよ。
● 冒頭から最後まである短編〜中編を置け。
抜粋や連載作品はサンプルになりにくい。
●「納品するのもこんな感じになるだろうな」というのを置け。
受け付けてるのはエロ系なのに、置いてある作品は独白恋愛小説だけとかやめなさい。
● 作風のクセがわかるように2作は置け。
● 作品がたくさんある場合はピックアップしろ。
● pixivとかなろうのURLで置け
(比較的読みやすいサイト/文字数がわかる/タグやキャプションで中身を推測できる/ブックマークしやすい)
さもなくば、依頼が来たとしても
「こういう依頼が来るとは思わなかった」
「こういうのがお出しされるとは思わなかった」
という悲劇が起きるぞ。
たぶんお互いそれを口に出さずに終わる。切ない。
(3) 「依頼の流れ」を可視化する
はじめてマカロン作るってなったら不安じゃない?
取り返しがつかなくなるラインとか、何の匙加減でどこがどんな味になるかわかんないし。
コミッションはなんだかんだ共同作業。
お互いがわかってないと苦労する。
双方の認識があいまいなままの出発・情報の後出しはヒヤリハット超えて事故。
「あれはどうでしたっけ?」
「これはできないんでしたっけ?」
時間も取られるし、無駄に疲れるぞ。
そういうやりとりが減るように先回り明記すること。
依頼する側も手探りなので、請ける側がリードするほうが結果的にいちばん楽なのだ。
● どこから依頼できるのか
● 今現在、受付中なのかどうか
● 健全/エロ/グロ/BL/百合/どの方向のコミッションができるのか
● 受付できない内容
● 依頼を送ったらどれくらいで返信があり、その後どんな手順なのか(例: 受付→プロット確認→リテイク→支払→納品)
● 納品可能な文章の長さ
● リテイク有無
● 納期目安
● 金額
● 支払方法
● 納品方法
● 完成作品の公開について
● etc
このへん後述に被ってくる。
(4) どこで受け付けているのか明確化する
●「どこからでもお声かけください」より、「○○からご連絡ください」のほうがハードル低い。
DM?メール?メッセージ機能?どこから連絡しようか脳のエネルギー使わせて「もういいか…」って萎えさせるな!いまだ!いけ!逃すな!
● 目立つところに「受付中」の文字を書くのも大事。
募集をはじめてからしばらく放置になることもあると思う。最終更新日が遠くなるほど「いまやってるのかな…?」て敬遠されがち。
固定ツイートにするとか、たまに話題にするとか、アピールしよう。
(5) 依頼文テンプレートはQOL爆上がり
● 依頼する側もされる側もすり合わせがしやすくてハッピー!
● 依頼文テンプレート配布記事もあるよ↓
『この世のすべての物書きはコミッションをやってくれ』
https://note.com/shiromofu/n/n8ad0cb79fa7f
● どんな情報があれば自分が作りやすいのかを考えてテンプレートを構成しよう!
コミッションをやりながらブラッシュアップしていくのもアリ。
● 「すべてに記入しなくてもよい」と添えると親切。
依頼者もテンプレートがないよりあるほうが楽なんだけど、端から端まで埋めるのはしんどい節もある。
(6) 自分の得意(性癖)、不得意は箇条書きで載せるべし
とにかく書いとけ。性癖をばらまけ。
絶対にあったほうがいい。
依頼しやすくなるから!
サンプル作品にないシチュを「これできますか?」って確認されなくて済むのもメリット。
依頼する側は「得意なシチュで書いて欲しい(大失敗しにくいので)」と思っている節があり、一覧の中からシチュを選ぶという逆張りができる!
(7) 返信期限の設定はお互いのため
● あらかじめ明記しておく
これほんと悲しい不着事故起きるから書いて。
● やりとりの都度添える
これをしないことで返事の催促が来るくらいならまだいい。
「もういいやと思われて返信したのに連絡途絶える」
「返事が数ヶ月後の忘れた頃に来る」
などの激萎え事故が起きる。
(8) レスポンスの早さは信頼感そのもの
依頼する立場だと、相手のことをよく知らないので「返事を待っている間」は不安になる。支払い後なら尚更。
レスポンス早いとめちゃくちゃストレスフリー。
1〜3日以内だと「早くてありがてえな」と思う。
1週間前後は「私生活もあるだろうし仕方ないなー」のかんじ。ここを超えると死ぬほど不安になる(当社比)
とはいえ、請ける側としてはいつでもすぐ返事できるとは限らない。
だからスマホに辞書登録しておくんだ。
「まて」って打つと「ご連絡ありがとうございます。しっかり内容を確認してから後日改めてお返事させてください」って出るように。
返事できそうなタイミングがそこそこ先ならそれも書いた方がいい。
私は「C曜日以降のお返事になると思います」って書いちゃう。
私だけかもしれないし、逆に嫌な人もいるかもしれないけれど、「届いてるよ(生きてますよ)」は安心する。
(9) 日数を盛れ
「計画的な納期にしたら結局間に合わなくて、伸ばして30日目に納品した」
「余裕を持って納期長めにしたけど、早めの30日目に納品した」
どっちのほうが印象良いか。
そういうことだ。
体調不良になったり、作業道具が壊れたり、イレギュラーを見越して長めの日数をもうけるべし。
(10) 支払いを頼むときは必ず金額を添えよ
大事。
ぜんぜん違う値段を支払われちゃったら、 めちゃくちゃめんどくさいことになるぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
間違えただけ?多ければ返金?足りなければ追い金?手数料はどうする?余計なやりとりが増える!ウワー!!
あと、料金設定が複雑な場合は内訳を添えるとお互いのため。
ついでに「支払い手続きが完了した際はご連絡頂けますと大変助かります」とか添えておくとよい。
「振り込んでくれたかな?」「振り込んだけど気づいたかな?」とお互いソワソワせずに済む。
(11) リテイク処理を工夫すると救われる命がある
● 上限回数の明記は絶対に必要。
無限修正機関になって永遠に依頼が終わらなくなる。
「2回目以降は有料」とかも余裕がある人はいいかもね。
思い切って「リテイク不可」もひとつだとは思う。
キャラ解釈の部分で博打な部分出てくるけど……。
● リテイク範囲を縛ってリスクコントロールするのもひとつかも。
● よそのオリジナルキャラを動かす場合は「口調」を解釈通りにすることが難しかったりする。
なので私は最近「納品後に一度きり、セリフの差し替えに対応しています。差し替え前と差し替え後のセリフをご用意ください」をするようになった。
これ、請ける側としても依頼する側としても痒いところに気楽に手が届いていいと思う。
差し替えセリフを用意してもらうことが大事。
● 「リテイクにあたり、指定していないところも影響を受けて調整・圧縮される場合があります。あらかじめご了承ください。なので削ってほしくないところはあらかじめ教えてください」って添えるとわりとみなさん答えてくれるのでやりやすいです。
ここがお気に入りか〜☺️と感じられるのもハッピー。
「削るならここにしてくれ」と指定してくれることもあり、これもありがたいとこある。
(12) 完成作品の扱いはすり合わせておこう
● 作者側が作品を公開するかどうか
「公開する/許可があれば公開する/しない」
権利は作った側にあるからどこに公開しようが勝手だけれど、依頼した側の希望を聞いてあげてほしい。
「公開しないと約束してくれるからこそ恥ずかしがらずに依頼できる」は、あります!
私の場合は、公開なら「匿名か、名前を出して元ネタ作品やプロフURLを紹介するか」も聞くようにしている。
かつ、公開後の取り下げ依頼はいつでもOK。
うちよそ依頼をよく請けるので、大人の都合がアレすることもあるだろうと思って…。
アフターフォローをどこまでするかは自分ができる範囲でいいと思う。
● 依頼人側が作品でどこまでしていいのか
「コピペ転載の可否、その場合のクレジットの要否/その他の用途はご相談くださいetc」
されたくないことがあるならここは明記必須だね。
(13) スカスカな骨組みプロットを提出すると清書が地獄になる
● 矛盾の発見、思ったより盛り上がらねえな、文字数足りない/多すぎるかもなどの問題が現れても、プロット確認が終わっていて変えられない部分があるため軌道修正が大変。
依頼人に相談すればいいだけだが、やりとりが増えるぞい。
私が依頼する側になったときも「起承転結が記された4行程度のプロット」+「リテイクは一回きり」のコンボが来ると、掴みどころがなくてリテイクしようがなく、いざ納品されてから「そういうことだったのか…思ってたのと違うけど…おいしいからいいか…」になりがち(これは大袈裟に書いています)
● 依頼を頂いたら、早い段階で完成形に近いあらすじを固めておく。
起承転結を抜き出し、起と結は文体が伝わるようしっかりめの文章で、承と転は箇条書き寄りで要点をまとめ、口調のサンプルになるセリフもいくつか添えたプロットを確認してもらえば、後が楽ちん。
(大幅な修正が出たら切り替えて書き直す)
(14) 納品前に確認すること
もう一回依頼文を読み返す。
内容に添えているかどうかは絶っっっ対確認する!
書いてるうちにやっちゃってることある。
第一に、最低限として、
● キャラの名前を間違えてないか
● キャラの一人称・二人称が合っているか
依頼した側の立場で遭遇すると「エロシーンに名前をはめ込んでるだけで、キャラはどうでもいいんだ」って思っちゃうときある。
書いてる側からするとそんなことはないのだ……ほんとに……えーん……。
(やっちゃった依頼者さん本当にごめんなさい。言ってくれてありがとう……)
文章検索機能を工夫して使え。
第二に、これも最低限なんだが、
● 依頼者のNGを書いてないか
● 誤字脱字がないか
チェックをすり抜けたヤバを依頼者さんに教えてもらって直すこともある。
にんげんだからしかたない……でも回数を減らす努力はしたほうがいい。
(15) モチベーションを保つ視点が抜けがち
● はじめたものの1件も請けずに止めるひと多すぎ問題
→ 依頼こないのはセルフプロデュースの問題だから!!!
(1)〜(6)して!!!!
● はじめたものの1〜2件でコミッション止めるひと多すぎ問題
→ しんどい思いしながらやるからだよ!!!!!
しんどくならない請け方しよ!!!
(5)〜(12)を見直して!!!!
→ ちなみに、納品したものに具体的な感想が貰えるのって3回に1回くらい。
ほとんど簡潔なお礼に終わる(その真意を深読みしようとするのは愚かだからやめたほうがいい)
コミッションのモチベーションが「楽しんでもらうこと」以上に「感想をもらうこと」ならそれは茨の道なんよ。
コミッションの報酬はお金。
お礼の言葉は礼儀。
感想は「あればラッキー」のチップ。
チップを期待しているなら、明記したほうが絶対に精神の健康にいいよ。
ふだん感想を書かない人も「そっか!この人は感想伝えたら喜んでくれるんだ!」って書いてくれるかもしれない。
レビュー割とか、文字数サービスとかやってもいいし。
受け取り手は、喜んでいるからといって感想を書いてくれるとは限らない。
がっかりしたから感想を書かないということでもない。
そこは理解したほうがいい。
感想は義務じゃないし、書くことが得意な人もそうじゃない人もいる。
そこは……そうなんよ。
こちらが希望するだけのお金を払ってくれて、お礼を言ってくれて、作品を受け取ってくれる、それだけでも充分すぎる話だと思うのよ。
(16) 尽くさなくていい
● 値引きや破格設定はメリットあんまりないよね。
責任だけ生じるボランティアはするな!!!!!!
それだったら無償リクエストを集めて好きな時に楽しく消化しな!!!!!!!!!!
● 断る権利もある。
嫌なら断っていい。
報酬貰ってからでも(手間賃を引いた金額を)返金して断っていいと思う。
お金が関わってるので気をつけないといけないことは多いけど、趣味でやってることには変わりないから、自分を後回しにして無理する必要はない。
お互い気持ちよく白紙に戻せたらね!と思う。
以上。
しかし、ここまで書いたはいいんですが、
私が依頼する側になってみると、緩いやりとりで進行する人も多かったです。
つまり、私のやり方はガチガチ。
そこまでやらんでもいいのかもしれん……。
でもね。
「OKなら振り込んでください」と言われたが振込先が提示されていない。いま書いてるよ!というスクショのチラ見せや雑談は続いている。だが……どこに……いつ振込んだらいいんだ……?という瞬間とか、聞けばいいだけだが、流れの主導権は握ってもらいたいなあと個人的に思うことは多かったかな。
はじめのやりとりのみで、余計な確認は一切なしで料理をポンと出す職人もいれば、
料理を作りながら必要なことをマメに確認してくれる職人もいる。
「もう少し相談させて欲しかったな…!」とか「いっぺんに言ってほしかったな…!」とか、どっちにも思うときはあるけれど、どっちが悪いとか良いとか特に感じなかった。
料理が出てくると他もうどうでもよくなるから。
ここまで読んで、やってみたいが思ったよりめんどいな…と思った人はskebがいいよ。
でもskebはセルフプロデュース完全依存のサービスなので、Twitterやpixivで営業しないと依頼きません。
検索からワンチャン発掘されたい人はSKIMAがいいです。
いいや!ワイは自家コミッションするんや!て人はこの記事が力になればいいな。
私はねえッ…!!!!クソ長いキャラプロフとこだわり尽くしの精神に異常をきたすかもしれないド変態依頼文を読んでッ……たっぷりの納期の中でリテイク1回挟んで一話完結型のどすけべわっしょいわっしょいわっしょい!!!!!!!!な話をじっくり長いお付き合いでリピ書いてくれるマイゴッド作家(おとなしくじゃぶじゃぶ貢がれんちゅ)をッ……!!いつも待ちわびているのッッ……!!!!!!!!!!!!