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人体破壊リョナ作家は純愛ティーンズラブ小説を書きたい〈1合目〉

ンモラケしたモケでできたズニがわからない(小説を書くこと)』で幸せな恋愛小説を書くと宣言してから2ヶ月ほど経ったが、依頼で処刑とか屍姦とか書いてたら今になってしまった。

慌ててちょっと手を付けた。が、山の4合目くらいまで進んだつもりで人に見せたところ申し訳なさそうに「恋愛モノ向いてないんじゃないかな…」と言われたので冷静になって1合目まで戻ったところです。

やばい。

長いこと小説書いてきたし、ある程度は培われた感覚でどうにかなると正直かなり思っていたが、浮かび上がってきた課題がそういうので解決できるかんじじゃない。

修羅の扉を開けてしまった。

私が「拷問と処刑は違うしそれぞれに良さがあって、生きようとしていた者が死の救済を求めたくなるまでをいかにねっちょり描写するかがミソなんよ!!!!!!!!」と語るように、ティーンズラブの世界も恋愛オタクの世界なのだ。よくわかんないけど彼女たちの「恋愛モノのミソなんよ!!!!!!!!!」の境地がえぐい。

何もわかってなかったな。

■はじめの一歩は気楽だった

どういう恋愛小説を書くのかは決めた。

恋愛小説にもいろいろあるけれど、フォロワーさんがそのジャンルにいて相談に乗るとはげましてくれたので《ティーンズラブ(略してTL)》にした。

エロシーン書きたいからエロありで。
多数派に合わせて男女の恋愛とし、舞台も現代で、ファンタジー要素は入れない。

なるべくベーシックなTLにする。

そう決めた。

■発進した瞬間にカーブを曲がりきれない

とりあえず冒頭を書き出してみて、そこから設定生やして調整するか……と走り出した。
そうしたら、いつもの手癖でそこは現代のスラムとなり、ヒロインは埠頭でママの臓器を売っていた。

頭の中にある構想は【機能不全シングルマザー家庭で育ったヒロイン。中学生の頃から子供支援系NPO団体(シェルターや子供食堂的存在)にお世話になっている。同じく団体を利用する子供たちのお姉さん(保母)的存在で弱き者には優しいが、大人には激しい警戒心を抱いている。自分を売ろうとした母親を逆に破滅させ、独りになったあとは後妻業でもして死亡保険で稼ぐことを計画。そんなヒロインの最悪すぎる性格と、あえて破滅に向かおうとする危うさを心配したヒーロー※が時に優しく、時にきびしく溺愛する】。

※TL界では相手役の男のことをヒーローと呼ぶ。

「TLで臓器は売らない」「親の設定が重すぎる」「そこまでつらい境遇からスタートする理由ある?」と言われた。

その時点の私は、TL小説を1.5冊読み、webに掲載されているあらすじや試し読みをいくつか流し見た程度。やる気だけあって界隈をナメきっている。

すべてをボツにした。
(この構想自体はどこかのタイミングでジャンルにこだわらず自分の小説として書きたいが……)

臓器は売るな。

■いきなり高速を走ろうとするからダメ。教習所ルートを走るつもりで再挑戦。

臓器を回収してからしばらくは依頼小説の消化をしていて、二ヶ月ほど空いた。
それからようやく、居住まいを正し、奇をてらうのはやめようと誓う。

トイレの壁に貼った。

【 2.決めたこと 】
▶可視範囲で悪意のある人、不幸になる人はいない
▶︎裏切りを疑わない、好きを揺らがせない
▶︎女が決断するのは最後だけ。男が助け船を出す、決定打を与える(実質主権)
▶︎しぐさや心境をセリフにする
▶︎絶対にNTRセルフ二次創作の話をしない(夢を壊さない)

そして【無職になってしまったヒロインが、仕事を斡旋してくれると親に紹介されて訪れた家で人違いされ、ヒーローの許嫁になってしまう。ヒロインもヒーローも手違いに気づかず、何かがおかしいと感じながらも同棲が始まる。ヒーローはお金持ちで贅沢な暮らし。金持ちと庶民の凸凹生活を送るうち、互いの優しさに触れて惹かれあっていく。手違いが発覚した後も一緒にいることを選んでハッピーウェディング】までをひり出す。

やり遂げたと思ったね。
これでもう山の半分は登ったと思った。
そんなわけがないのに。

内臓売ったスタートを思えばかなり進歩したと思うが、この構想は「設定がガバガバすぎてヤバイ」というヤバイがあった(語彙力)

たとえば、ヒーローの職業を「役員」という設定にしたが、「役員」以上に作中で説明するつもりがなかったので職業の詳細は何も決めていなかったのである。
「どんな会社に勤めていて」「どんなポジションなのか」「男の"""箔"""がどこにあるのか」を読者は知りたがっているとも知らずに……!!!!!!!!!!
あとは乗ってる車の車種とか、スーツのブランドとかそういう情報が大事だと思いもせずに……。

私としては「そもそも3ヶ月程度で書き上げたいから、その猶予で書ける程度にコスパの良い設定でいきたい」という下心があり、ヒロインは余計な説明がいらない無職一択だったし、ヒーローも職業の部分などはふわっとしておいて適当なところでそれっぽく描写しときゃいいだろう、大切なのはヒロインとヒーローが心を通わせたりイチャイチャするシーンなんだからさみたいな認識だった。
そこがもう間違い。
カーナビを見ずに走りやがって。

私が、処刑されるキャラの顔と心がどう美しい男でどんな善のおこないをしてきたのか、その積んできた徳がどれほど残酷に足蹴にされるのかを祈るようにじっくりと読み解くのが好きなオタクであるように、TLクラスタもヒーローやヒロインの等身大の部分にオタクなのだ。ぬかった。

「こういうの好きなんでしょ」と透けて見えるような失礼なものにはしたくない、と言いながら普通にそうなってんのよ。

あと私の「金持ちのイメージ」が「成城石井で弁当を買う」以上になくて、成城石井で弁当を買うステージの金持ちにしかなってなかった。
その後にTL小説を買い足して読んだらそこのヒーローは大規模テーマパーク建ててヒロインにプロポーズしてた。なんだよそのスケール。

■三輪車から始めるべきだった。

またプロットぜんぶ捨てた。
いや、キャラの名前とか、使えそうな部分は流用すればいいしそのつもりだけど。

コスパ重視で飛び込んでも爪痕すら残せなさそうなので、もっとちゃんと練る必要があるとやっと身に染みて思った(愚か)(本当にすまない)(誰に謝っているのか)

そうしてやっとこのくらいの解像度にはなった。

表向きはヒロインのがんばり物語なんだけど、光に透かすとヒロインを喜ばせようとするヒーローの財力やら地位やらを全力運用したプレゼン物語ってかんじが(いわゆる溺愛もの)私としてもほっこりする好みのつくりらしい、というのはわかったが、それを組み立てられるかは別の問題なんだよな

10dpiくらいが32dpiくらいにはなったんじゃないかと思う。

「なるほど」と読み込むほど共感の仕方がわかってくるので、生まれ持ってこなかったというより生きてるうちに育んでこなかった部分を今更埋め合わせている感じがある。
60歳くらいになってから大学入り直したみたいだ。
両家の親を仲良し前提で出したのは間違いじゃなかったな…とホッとした(婚約を受け入れる親のシーンがあると微笑ましいので)
あとやはりヒーローやヒロイン各々に親友キャラはいた方が良さそう。
向いてる方向は合ってる気がする。中身。あとは中身。職業というリアリティ。

よちよち歩き……。
スタートダッシュで思い切りアクセル踏んだくせに、今は三輪車をこいでるんだから恥ずかしすぎる。

ともあれ、現状の課題は「職業に対する具体的な知識」と「職業設定に絡むストーリー展開」だと思った。ので、まずそこを悩んでみる。イマココ。

「現代モノ」に舵をきったのが致命的に相性悪い結果となってしまった。
ロクな社会経験がないから、ヒロイン側にもヒーロー側にもうまく設定を乗せられない。
調べまくるしかないわけだが……。
逆に言えば、調べればそれなりに知識は集められるので、自分がどれだけがんばれるのか、正念場だと思う。
ファンタジーに方向転換しても、きっと似たような課題は出てくるだろうし、ここで投げたらいつものジャンル以外なにも作れない気がする。意地でやる。

ヒロイン、頼む。もう刑務所にいてくれ。
今朝は刑務所長と産業カウンセラーのラブロマンスとかいいかもしれないから取材のためにちょっと収監されるかーって人殺す夢を見てめちゃくちゃ怖かった

夜になるとあれもイヤこれもイヤ、でもだってだけど、ぐちぐちツイートしてしまう。
我ながら見苦しい。
しかして、ぐちぐち言いながらしか進めない性分で、これは直りそうにないやつ。1歩進んで立ち止まって、ぐちぐち言って4歩下がって、負けん気で4歩進んでまたぐちぐち言って3歩下がる。

時間はかけたくない(飽き性なので)
でも時間かかりそう。
くそう。
恋愛のなんたるやが理解できるできない以前のところでくじけたくない。


オススメのTL小説(現代モノ)あったら教えてください。