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#36 中国一周していたことを仕事関係者に告白したらどうなったか〜東京篇〜

日本に戻ってはや一週間。
東京で連日調子に乗りすぎた結果、胃腸炎で激痩せしていた体が、通常体重を通り越していよいよ危険領域に入ってきた🐖

ミシュラン一つ星の鰻屋、麹町・秋本

ちなみに、わたしが今乗っている総武線も秋葉原でオーバーランしている。
車掌が体調不良で、交代要員待ちらしい。
オーバーランの前からすでに遅延気味だったので、きっとずっと具合が悪かったのだろう。
下車した車掌が心配だ。

車内では日本語でしか説明がされていないため、遅延の理由が分からない欧米の乗客たちがイライラしている。
ここは一つ、わたしがガツンと流暢な英語で状況を説明してあげたいところだが、まず「車掌」という単語からして浮かんでこないため、速攻で諦めた。
実は、世界を股にかけて仕事をしている風の雰囲気をかもし出しているわたしは、英語がこれっぽちも話せないのである。

上野精陽軒のビーフシチュー

さて。
今日は日本でのわたしの仕事について少しばかり話をしておこう。
日本にいる間、埼玉県のど田舎町で母と暮らすわたしは、在宅で仕事をするか、東京の飯田橋にある小さな専門誌の出版社に赴いて仕事をしている。

この出版社はK出版と言って、創業40年、業界ではパイオニア的存在である。
話を聞くに、K出版はかつてかなりブイブイ言わせていたようだが、現在の社員は80才のF社長、60代の副社長R子さんの二人だけであり、わたしのようにフラフラしているライターのバイトをつかっては細々と小冊子を発行している。

二人に関して言えば、わたしの飲み友達でもあるR子さんは非常に仕事ができる常識人なのだが、F社長の方が、ちょっと、いや、だいぶあやうい。

いつも東京中の美味しいものを食べさせてくれる二人

大変なアイデアマンであるF社長は、様々な新ビジネスを考案しては、わたしに仕事をふってくれる。
ただ、本人の気分と集中力にムラがあり、寝ないで企画したかと思えば、数日デスクで眠り続けてその80才という年齢故に周りを不安にし、結局、大半のビジネスは儲かる形になるまでに匙を投げてしまうのだ。
実際、わたしが請け負った仕事も、入稿してから放置されている案件が山のほどある。
(とは言え、ギャラだけはしっかりもらっている)

それと、F社長は無駄に気前がよく、顧客訪問の度に木村屋の高級あんぱんを三十個買って行ったり、毎日誰かを神楽坂のランチに呼んでは散財して、常に金がないのである。
おまけに、て⚪︎ちむの大ファンで、一時期はバー⚪︎スクで働く彼女に入れ込んで店に通い、さらに金を失ってしまったようだ。

田原町・がってん

そんな、とても他人とは思えない性格・性質を備えるF社長は、彼も彼でわたしに親近感を抱き、娘のように可愛がってくれている。
なので、日本に戻って来たわたしは、ついに二人に中国一周していたことを告白したのであった。

F社長「白丸さんは冷たいね。中国行ったら、ろくに連絡もよこしやしない」
わたし「いや…実は…今回中国を一周してまして」
R子さん「一周?」
わたし「仕事しながら、こっそり(チベット以外)中国全省回ってたんです」
F社長「なんで言わないの」
わたし「Fさん、絶対人に言うじゃないですか。他のお客さんに知られたら、印象良くないんで、そこはグッと堪えてました」
R子さん「ええ! あのデザインの仕事も旅しながらやってたの?」
わたし「あー、あの時は内モンゴルあたりにいましたねー」
F社長「…あんたは本当に冷たい女だねえ」
わたし「社長が好きなて⚪︎ちむだって、最近まで身を隠してたじゃないですか。それと同じですよ」
F社長「なんだ、男と旅してたのか」
わたし「いや…ビザないと入国できない国で、1か月貧乏旅行に付き合ってくれるような稀有な男性がいたら、どんなもんか見てみたいです」
R子さん「みそ子さん、一人ですごいわ。でも、Fも中国一周してたわよねえ」
わたし「ええ!」
F社長「俺は、ラサ(チベット)も行ったけどな」
わたし「本当ですか?」
F社長「ああ、寝台列車で、毛が生えた豚肉の弁当食って、懐かしいなぁ」
わたし「社長…わたしと同じことしてるじゃないですか」
F社長「白丸さんが俺の真似してるのよ。つまり、あんたの未来は俺」
わたし「え…それって…(多重債務、脱税バレて追加徴税分割払いの未来絶対いやです…
F社長「ハッハッハー、まあ、ついてくるんだな」

ということで、日本生活スタートした白丸でした。
猛烈仕事モード(キリッ)

おわり


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