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【ショート】無頼ママチャリ #毎週ショートショートnote
一昨日、親父が死んだ。
俺は親父の後を継いで組長になりたかった。吹けば飛ぶような小さな組だが、俺にとっては大事な居場所だったから。
それで俺は手下を使って弟の自宅ガレージから車を盗ませ、ヤツの愛車をママチャリとすり替えておいたのだ。葬式から閉め出してやるつもりで。
けれども。
どうせ葬式には来るだろうって思ってた。
若いモンに車持ってこさせてもいいし、タクシー呼んだっていい。
それがまさかホントにあのママチャリ漕いでやってくるなんて。
ヤツのおらぬままに葬儀は終了し、いよいよ霊柩車のクラクションが『プアーーー』と鳴り響いたその時に、ピンクのママチャリに跨ったあいつが颯爽と皆の前に現れたのである。
「待ってくれ。俺も最後の時間を親父と一緒にすごしたい」
葬儀の後、俺は黙って組を出た。
何もかもを弟に譲って。
どうせ俺には弟ほどの器がない。
ーーー海を見に行こう。
さっぱりと身軽になった俺は、気の向くままに南の方角へと足を向けたのだった。
(410文字)
無頼って「=ヤクザ」の意味でよかったですかね?
言葉を知らなすぎましたーー。
↑ こっちはちょっと長い版の『無頼ママチャリ』です。
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