【ショート】あるべき成仏宴 #毎週ショートショートnote
「ご長女様チョットよろしいでしょうか。実はお父様の件で各所から苦情を申しつかっておりましてーーー」
通夜の早朝。
喪主の父が姿をくらました。
数時間後『父確保』の吉報とともに、由々しき問題の数々が明るみになる。
「何やってんだッ、クソジジイっっ」
急遽用意した菓子折りを抱えて、妹と手分けして父の不始末の尻拭いをしてまわった。
その後、「お父様専属の女性スタッフを1人増員させてくださいいッ」と懇願されて「スミマセンっ、よろしくどうぞ!!」と平身低頭、よきにはからっていただく。
母が息を引き取った時だってそうだ。
最期にチョロっと現れて「ワシ、明日コロナの予防接種なんよね。帰って寝るわ。死んだら電話くれ」と帰っちゃって認知症を疑われた人である。もうどうしようもない。
葬儀後、小さな骨壺に収まった母を連れて帰ってからハッとなった。
バタバタしすぎてまともにお別れもできてない。
だけどーーー
うちってこうよね。いや、ホントに。
おかーさん。
やっぱ最後の最後までらしかったですね。
(436文字)
まるまる実話です。
・・・・おや? ノンフィクションをショートショートにするのはアリかナシか・・・・?
今週の表のお題
関連作品
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?