【ショート】告白水平線 #毎週ショートショートnote
穏やかな夏の日の夕暮れ。
水平線に向かって口を開く少女がひとり。
「横浜流星さん好きですっ。つきあってください!!ーーーウン、いいよ」
一人二役の告白と承諾の小芝居。
これが何だかわかりますか?
ーーーハイ、そうですね。言霊の実験です。
彼女はもう、かれこれ3ヶ月以上もこの実験を続けているのだ。
そして、そんなある日のことである。
「横浜流星さん」
「橋本環奈ちゃんっっ」
「「好きです、つきあってくださいっ。ーーーウン、いいよ」」
「「ーーーえっ!?」」
松の樹の向こう側に首を伸ばしてみると、初見の男子がギョッとした顔でこちらの様子を窺っている。
「ねえ、今の何?」
少女の問いかけに少年が答える。
「言霊の実験だけど」と。
「!!!」
大いに混乱しつつも少女は歓喜した。
同類だ、マブダチだっ!!
初めてのソウルメイーーーー
ちゅっ。
想定外の感触に少女が慌ててほっぺを抑える。
いいや違った、ダチじゃない。
ってことは、まさかこれが言霊のーーー!?
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