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救える命は、救わせてほしい。

こんにちは!獣医師くま子です。

今回は助けたかったのに、保護することが出来なかった悲しいお話をさせてください。


パン田と私は楽しく保護活動について話したいと思っているので
あまり暗い話はしたくないのですが、、、

やるせない思いをしたことをよければ聞いてください。


これは半年前の話です。


くま子にはとてもとても尊敬している先生がいます。その先生は動物愛護の業界では有名ですが、そのぶん他の一般診療の先生にたたかれてしまうこともある不器用な先生です。

とにかく動物ファーストで人間のことは後回しというスタンスで、自分のプライベートな時間も全て動物にというくらい!


そんな先生からある日電話があって、、

しろい先生の住む地域の警察署に瀕死の猫がいるので、治療しに行って欲しい


という依頼でした。


もちろん、治療するのはいいのですが往診みたいな形でいくと、できることがかなり限られるし血液検査やレントゲンが撮れないと全体評価もできないので、

くま子「行くのは大丈夫ですが、引き出して近くの病院に連れていったほうが良くないですか?」

と聞きました。

すると、、、


先生『もちろんそれが出来れば話は早いんだけど、警察がその猫を連れてきた本人じゃないと引き出すことが出来ないといっているんだ』



警察は拾った本人じゃないと渡せない
あいにくの土日で、警察から愛護センターまでわたるのに時間がかかり
センターに行くまでは警察署で保護。

でも当然警察署で治療されるわけもなく。

それを知ったたくさんの愛護団体が動いて
その先生まで話がいったわけです。

みんなで拾った人を探したり、なんとか出せないかと。

人の力ってすごいですね。
1匹の猫のためにここまで動いてくれるのって嬉しいです。少し感動しました。



そして、くま子は点滴セットや抗生剤などをもって警察署に向かいました。
外見がくまなので、きちんと獣医師免許をもって...(汗)

くま子「瀕死の猫が警察署で保護されると聞いてきました。引き出せないならここで出来る治療させてください。」

警察「ちょっとお待ちください。昨日こられた方ですか?」

くま子「違います。」


という感じで待っていました。
前日にも引き出そうとして、誰かこられた様子でした。


そして椅子に座っていると、、


女性《こんにちは。先程お話少し聞こえたのですが、あの瀕死の猫ちゃんを引き出しにきたのですか?
私も実はSNSでみてきたんです。
市議会議員の○○です。
猫ちゃんの様子を聞いても詳しく教えてもらえなくて困ってるんです。》

と、なんと市議会議員の方まで駆けつけていたのです。


SNSのすごさを感じました!


市議会議員さんが来てくれてるのなら、その猫ちゃん引き出せるのではと思っていたら

県議会議員じゃないと引き出せないらしく、その市議会議員さんも上に掛け合っている様子でした。


そして10分ほど待っているとやっと警察の方が来てくれました。


警察「おたませしました。先程のお話の猫ちゃんですが、もう昨日のうちに亡くなってしまいました。」


、、、、、、。まじか、、、


瀕死とは聞いていましたが、亡くなっていた。昨日のうちに?


ああ、助けられなかったなぁ、

私が聞いたのはその日の朝だったので、もう連絡きたときにはその猫ちゃんは亡くなってたんですね。


可哀想に、、、


せめて猫ちゃんに
あなたに会ったこともないたくさんの人が、あなたの命を救おうとこんなにも動いてくれてたよ。
と伝えたかったですね。

当然ご遺体にも会わせてもらえずで、
とぼとぼと帰りました。



警察もルールに従ってやっていて、
猫が可哀想と思ってはいたんじゃないかなーとは思いますが
変なルールだなと思いました。


みんなただ猫を助けたかっただけなのに、
引き出せない。
会わせてもらえない。


動物愛護法はどんどん改定されてはいるけど、
まだまだみんなが動いてもっとよりよいものになるといいなー
と今回のことでより思いました。


動物は器物じゃないよ

命だよ。



#保護猫 #動物愛護法 #保護  

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