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(韓国語)連結語尾と用言のタイプ 【-면서】 #11

 前回は -다가 の意味と、その用言のタイプの関係について解説してきました。今回は -다가 の同じくらい用言の性質によってその意味が大きく影響を受ける -면서 について見ていきます。なお、-면서 については #6 ですでに主語の観点から詳しく解説をしていますので、ぜひ参考にしてください。
 #6 では -면서 の意味を3つ、① 同時、② きっかけ、③ 逆接 に分けました。① の意味に関して、ひとくちに同時と言ってもいろいろあり、出来事Aと出来事Bが瞬間的にしか重ならなかったり、出来事Aが起こりつつあるなかで出来事Bが起こる、なんていうこともあります。-면서 を日本語の「〜ながら」で訳す場合は出来事Aのほうにある程度の時間の幅がないといけません。

 -면서 は時間の幅がない動詞とも結び付くことができます。ここが日本語の「〜ながら」との大きな違いです。時間の幅があるかどうかは、前回の -다가 のところでも説明したとおり、ある程度 -고 있다 が付くかどうかで判断できます。

時間的な前後関係

A≒B

 ここから、時間の幅がない動詞が -면서 と結び付く例を見ていきましょう。うまく分類できていないのですが、まずは -면서 の出来事の開始点と、それに続く出来事の開始点がほぼ同時になる例を見てみましょう。(1) では玄関に入るという出来事と、声を上げるという出来事はどちらも短い時間のなかで、ほぼ同時に起こったと解釈できます。

(1)
아내는 현관에 들어서면서 소리쳤다.
妻は玄関に入るなり声を上げた。

("아내가 결혼했다" p. 189)

 次の (2) も (1) よりは時間の幅がありそうですが、ほぼ同時に二つの出来事が起こっていると解釈できるでしょう。

(2)
선물 받으면서 바로 그런 말 하면 뭐 바라고 그런 거 같잖아요
쯧, 물론 뭐든 '기브 앤드 테이크'긴 하죠
プレゼント受け取ってすぐにそんなこと言うと、わたしが見返りを求めてる(なにか望んでる)みたいじゃないですか。
まぁもちろんなんでも「ギブアンドテイク」ではありますよね。

(청춘기록 ep. 1)

A≧B

 この -면서 で表される出来事が次に起こる出来事のきっかけのように解釈される場合、#6 で分類した ② きっかけの意味に近づきます。

(3)
미조를 만나면서 깨달았어요
'침묵하면 안 되는 거다' '소중한 사람은 지켜야 하는 거다'
ミジョに会って気付いたんです。
「黙っていたらダメなんだ」「大切な人は守らなければいけないんだ」

(서른, 아홉 ep. 9)

 実はこの (2) はどういった意味で使われているかはっきりしないところがあります。만나다 は「(出)会う」という意味と「付き合う」という意味がありますが、後者の意味では「付き合いながら、付き合っている間に」のような解釈になるでしょう(いずれにしろ日本語の「〜ながら」では訳しにくい例です)。ここでは「(出)会う」という意味で解釈しておきます。そうすると、出会いと同時とは言わないまでも、出会ってほどなくして気付いた、という時間関係になるでしょう。
 似たパターンですが、出来事Aが段々と起こるなかで、出来事Bが起こるという場合もあります。これは (4) のように -(아/어)지- が付いている場合です。

(4)
기온 자체는 지난 며칠과 비슷하지만 공기 중의 습도가 높아지면서 더위의 불쾌감이 더 심해졌는데요
気温自体はここ数日と同じようですが、空気中の湿度が上がるにつれて、暑さの不快指数がさらに高まってきました。

(기상청 사람들 ep. 8)

 ここでは「湿度が上がる」ことによって「不快指数が高まる」のが同時進行で進んでいる感じです。

A≦B

 最後に、同時といっても出来事Aのなかで出来事Bが起こるという場合について見ます。

(5)【ゴミ捨てに行こうとするユジンに】
시우: 아, 넌 이런 거 하지 말라니까‎
유진: 아, 나가면서 버리면 된다니까?
シウ:もう、こんなことしなくていいって言ってるじゃん
ユジン:もう、出るときに捨てればいいんだから

(기상청 사람들 ep. 3)

 ここでは、「出ていく」という出来事のなかで「捨てる」という出来事が起こると解釈できます。このような時間関係のときは、「〜のとき」と訳すとうまくいくことが多いです。

 ここまで見てきた、-면서 が付く動詞は、(4) の 높아지다 を除けば、들어서다、받다、만나다、나가다 のように、基本的に時間の幅があまりない動詞たちです。このような動詞と付いている場合は日本語に訳すときに「〜ながら」ではうまくいかないことが多いので注意してください。上級者の方は、逆にこれらを -면서 を使って表現できるかな?という視点で用例を観察してみてください。

日本語との違い

 最後におまけで、典型的な同時の意味ではあるけども、-면서 が付く動詞によっては日本語の「〜ながら」で訳しにくい例について、簡単に紹介しておきます。他にもありますが、よく出てくる2つ。

 まずは 살다(生きる、暮らす)の場合で、これは 살면서 になるとだいたい「生きていて」とか「生きてきて」のように訳すとうまくいきます。

(6)
아버지라고 다 같은 아버지가 아니잖아요‎
지금까지 살면서 단 한 번도‎ 내가 어떻게 사는지 관심조차 없던 사람이에요
お父さんだからって、みんな同じじゃないじゃないですか。
今まで生きてきて、ただの一度もぼくがどうしているか関心すらなかった人ですよ。

(기상청 사람들 ep. 15)

 次は 있다 の場合で、これはだいたい「いるときに」のように訳すとうまくいきます。(7) でもそのように訳してもよいのですが、言わなくてもわかるので短くしてあります。

(7)
영서: 아버지도 이 드라마 보세요?‎ 이거 완전 막장이라던데?
미모: 병원에 있으면서 본방, 재방 다 챙겨 보더니 완전 광팬 됐잖아, 광팬. 나보다 더 좋아해.
ヨンソ:おじさんもこのドラマ好きなんですか?これ完全にドロドロらしいけど。
ミモ:病院で本放送、再放送全部欠かさず見て、完全に大ファンになっちゃったんだよ、大ファン。わたしよりハマってるんだから。

(사내 맞선 ep. 9)

 막장 は普通ありえない、理解しがたい状況を表し、よく 막장 드라마 で使います。出生の秘密とか、ああいうやつです。

 他にも 알면서、모르면서 なら大抵逆接的な意味になるといったことは #6 で説明したので、そちらを参照してみてください。
 また、日本語との違いについては、日本語は「座りながら話す」のように、「〜ながら」が「座っている状態で」という意味でも使えますが、-면서 はそうではありません。앉으면서 と言ってしまうと、立っている状態から徐々に座る姿勢に移行している意味にしかならないので、앉아서(座って)、앉은 채(로)(座ったままで)のように表現する必要があります。

 今回は -면서 と結び付く用言について、特に時間の幅があまりない動詞で、日本語の「〜ながら」では訳しにくい例について見てきました。
 次回は韓国語学習で苦労するポイントの一つ、-고 と -(아/어)서 が結び付く用言と、その意味の関係について解説してみたいと思います。

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