覚悟して
ペットとのお別れは突然で、本当に急です。
さっきまで鳴いていたのに、気づいたら。
先日、9年いっしょにいたインコさんが天国へ逝ってしまいました。
ひなの時に里子でもらい受けてから、大切に大切に甘やかし放題で育ててきました。
インコさんはとても元気に育ち、いつも私のそばにいました。
私がどこにいても必ず飛んでくるほど、インコさんもまた私のことが大好きだったのだろうと思います。
でも唯一、心配事が。
それは卵を産むことでした。
インコさんはつがいでなくてもメスはだいたい無精卵を産みます。一回に多い時で、4つから5つほど。
うちのインコさんも若鳥に成長した頃から、卵を産んでは抱卵して、卵が孵化したと本能が感じては、自分は何も食べず全て雛たちのためのエサを作っていました。
そんな子育て中のインコさんは、必死のあまりボロボロになるんです。
羽根は巣作りのために自らむしり、毛艶もなくなり、人間のお母さんと一緒でなりふり構わず、一生懸命なんです。
一通り子育てだ終わると判断した頃、やっと私の元へ戻ってきます。
こうして毎年毎年卵を産んでしまうインコさん。
私はその度心配でなりませんでした。
我が家にやってきて9年。
おばあちゃんになったインコさんは、さすがに最近は卵を産むことはなくなっていましたが、つい先日、カゴを覗くと卵が一つ。
インコさんを見ると、いつもの卵を産んだ時のボロボロとは違うボロボロ具合でした。
そんなに命がけだったか。
それからしばらくはいつも通り過ごしていました。抱卵することもなく、エサもよく食べていました。
でも、少し元気がない、というより生気はないという感じはあったので
「あぁ、もういよいよかな」と私は覚悟をしました。
私はインコさんを手の中に抱えて、たくさんスルスルして何度も何度も撫でて、たくさんお礼を言いました。
もしかしたらもう会えなくてなると思うとつらくてなりません。
その時はいつ訪れるにだろう。
エサをちゃんと食べているはずのインコさんの体は軽く、痩せていくように思いました。
別れは、急ですね。
何でも無い土曜日の朝、いつもと変わらない休みを過ごしていたのですが、お昼過ぎ、ふとカゴを覗くと水飲み場の前でうつ伏せになっているインコさんが目に入りました。
急いで抱き抱えましたが、すでに息を引き取った後でした。
私は大泣きしながらインコさんを抱いて撫で続けました。
気づいてあげられなくてごめんね。
1人で逝かせてしまってごめんね。
でも頑張ったね。
幸せだったかな?
そうだったらいいな。
あの時、きちんとお礼を言って心を通わす時間が持てたことで、インコさんとは最後の時まで思いがつながっていたと実感できているせいか、それが「覚悟」というのなら、そのおかげで、ちょっと穏やかな気持ちでいることもできました。
看取ることはできなかったけれど、インコさんはこれからも私の中の止まり木にいて、そうしてずっとそばにいてくれるのだろうと思います。
ありがとう、ピーちゃん。
元気でね。
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