マガジンのカバー画像

韻文(俳句・短歌・詩)

520
俳句や短歌、詩、それに関するエッセイなど韻文に関わる記事。
運営しているクリエイター

記事一覧

名月の大きく見えて山の傍

んー、これは見たまま俳句になっちゃうか。 もっと言葉の吟味が必要ね。 満月は今日なんだけど、中秋の名月は昨日って面白い。 俺は、裸眼で運転ギリギリ、ちょっと乱視も入ってるせいか、正直なところ昨日の名月も今日の満月も、なんなら明日の十六夜も、多分見分けがつかない。 昔の人は見分けてたんかな。 新月から新月までを数えて、30回夜が来たら新月から新月になるじゃん!って発見して、んじゃその半分で十五夜ね、そこが満月!ってしたんじゃないかな。 って思いつつ、出始めの大きな名月を眺め

雲影にひとときの秋開会式

体育大会の予行が終わった。 以前は1日開催をしていたが、熱中症対策で、午前開催になっているので、予行もまた午前の4時間で行う。 行進をとりやめ、開閉会式を座って行ったり、テントの中で行ったりと、いろいろと様変わりはしているものの、やはり暑い! 雲のほとんどない空の下、ジリジリと身を灼かれながら立っているのは、なかなかの苦行である。 ふと、少しだけ影がさした。 見ると、キャベツのような雲が日を遮ってくれていた。 その、影になったわずかな時間のみ、確かに秋だった。日が直

抜く草のひやりと湿る白露かな

ちょうど白露のころに毎年自治会の道路愛護作業がある。 暑気を避けて7時からスタートし、頃合いを見て終わる。 俺の所属する班は公園の美化作業。 これから高くなる日を避けつつ、草むしりを1時間余り。 草をむしると時折稲科の草の根を抜いた後から蟻がわらわらと出てくる。根に沿って、巣を作っているのかもしれない。 俳句になるかもなーと、草を抜きながら五七五をひねっていた。 でも、草むしりも蟻も、夏の季語なんだよなー。 ということで、白露の句になったけれど、抜く草はセーフかな?まあ

休暇果つチェックリストの空いたマス

 頭で思い描く進み具合と実際の進み具合は、案外ずれている。  あと少しだと聞いていたそれが、実際は2割程度しか終わってなかったなんてざらである。 …もっと早くチェックをすれば、まだ挽回しようもあっただろうに、最終日に確認じゃ遅すぎるよね。 人は夏休みの宿題のころ、とうに学んだはずの過ちを、あいも変わらず続けているのだ。

台風過ガラスに残る葉の透けて

 昨日1日かけて、ひとまず本県を台風が通り過ぎていった。  我が家は幸い被害はなかったが、通勤路は看板が無くなっていたり、道路標識やバス停が折れていたり、枝葉が一面に散乱していたりして、台風の強さを物語っていた。  台風は暴風域がなくなりはしたものの依然大分あたりで停滞しているようだ。  遠くに居ても、連れてきている雨雲がまた厄介である。  ベランダの窓にはどこから来たのか、たくさんの葉が微動だにせず張り付いている。

秋晴れやキャリーケースのかろき音

8月もいよいよ最後の週を迎えようとしている。 特にこの仕事をしていると、何となくそわそわしてしまう時期でもある。 今年はそんな最後の土日に旅に出ることにした。 大学時代の同期と会う、そんな旅である。 会って話をするために旅をする。 待ち受ける贅沢な時間が俺の荷を軽くする。 というか、一泊分の着替えしか入ってないのだから軽くて当たり前である。 リュック一つで余裕なのだが、肩が凝るからスカスカのキャリーケースを転がして、ゴロゴロ旅することにしたのだ。 と、新幹線で

ありがとうあそんでくれて赤とんぼ

小さなころに引越しをした 数年して帰省したときに、昔住んでいたそのあたりに無理を言って連れていってもらった 昔友だちだった子たちの家の近くをとおってみたり、昔遊んでいた道を歩いてみたりした たまたまばったりと出会うのを期待したけれど、そんなことはひとつも起きなかった もう帰るよ、とここまで連れてきてくれた叔父が言った ぼくが抜けてしまったあとの町は、何かでぼくの抜けたスキマを埋めて、いつもの顔でそこにあった

三日目の髭柔らかき盆休み

今年は、地震、台風と心配の多いお盆だけれどみなさんのところは大丈夫? 九州は台風銀座と呼ばれるほど良く台風が来る場所なんだけど、ここ2、3年はむしろ関東や東北の方に行く気がするなあ。 被害がないことを祈るばかり。  うちの県では、今週をリフレッシュウィークと称して、学校が関係する市教育委員会主催の行事及び会議等を実施しない週間にしている。  そうすると、先生も有給休暇をとりやすいだろうという配慮だ。  学校自体、三日間くらいは閉めてしまうので、この日に休まざるを得ない。

秋麗みらいを創るための本

秋麗(あきうらら)三秋 中学校の先生という仕事にとって、他の仕事にはないアドバンテージの一つが、「長期休暇」がある、ということだ。  無論、正確には生徒の長期休暇であり、教職員は通常通り勤務している。とはいえ、この時期は日々の追われる仕事が少ない分(なくはないのよね)、自分の優先順位で活動することができる。  特に、この時期に日頃なかなか時間のとれないインプットの時間をとることがオススメだ。  不易流行という言葉がある。 教育現場も当然、この不易流行ってのが必要なんだ

文を書くけふが立秋なればこそ

2024年は、8月7日が立秋。 日付で決まっているわけではなく、年によって前後に変わる。 例えば敗戦の年は、立秋は8月8日だった。 原爆が投下されたのは夏の終わりと秋の初めだったんだな。  昔はまさかこの日が秋の始まりだなんて思ってもなかった。秋は涼しいイメージがあって、だからこそ残暑の厳しい今の時期は紛れもなく夏と感じていた。  この日に秋の気配を探すようになったのは、4年前の7月に俳人を名乗りはじめてからだ。俳人というのは、そう名乗ったときから俳人なので、みんなの俳句

白南風や床板ひかる廃校舎

公立の学校は予算が決まっているので、物が壊れてもすぐ購入というわけにはいかない。 だから、修理に修理を重ねて使う。 当たり前だが、必要最低限が基本である。 しかし、中古であるが物品を得るチャンスが時々ある。廃校になった学校の物品利用である。 要は、市町村で購入した物だから、同一市町村で使い回すのである。 この度3校の小学校が、合併によって廃校になった。 その物品引き渡しに参加してきた。 物品が雑然と集められているが、校舎はまだとてもきれいだ。何なら、うちの学校より断然

新宿の朝の白んで南風吹く

季語:南風吹く(南風の傍題) 南風(みなみ・なんぷう・みなみかぜ)三夏 はえ という読みもあるが、季語として使われている例はあるのかな。(白南風・黒南風の季語はあり) 二泊三日の東京吟行も終わった。(何も詠んでないが) 今回は歌舞伎町への宿泊をしてみたが、流石の歓楽街で一人で歩くのはどきどきしたな。 そっと声かけをしてくる兄ちゃんは、「日本人・ビジネスマン系・一人」という属性を狙って、声かけしているように思える。 または、俺が欲しているような顔をしていたかどちらかだ

先輩の言葉バトンとして涼し

季語 涼し 三夏 夏の季語 涼し は、三夏(初夏・仲夏・晩夏を問わない通季の季語)の季語だ。 この季語を使った句で という作品があって、この句の発見には脱帽するばかりだ。 今日で1学期が終わり、来週には県総体が始まる。 九州、全国と駒を進めたとしても、二学期の始まる9月には新しい体制がスタートしている。 引退に際して語る先輩の言葉は、後輩へと紡がれていく。

明け易し柄に花柄の松葉杖

良女(よめ:俺は妻のことをこう呼ぶ)ちゃんは、朝が早い 俺などはつい微睡の時間を持ちつつじわじわと起きたがるが、良女ちゃんは、スパッと起きる 家族の弁当準備をはじめ、朝の家事は意外と多いから、責任感の強さがそうさせるのかもしれない。 そんな良女ちゃんだが、ちょっと前に怪我をした。 松葉杖の生活になったのだ。 思うように動けない中だが、朝は毎日やってくる。 動きの遅れを逆算して、さらに早く起床する。 松葉杖をつきながら、しかしその家事の動きに澱みはない。 さすが良