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買えるような仕事につけるとよいね

 私は基本的に実生活と結びついたSNSをやっていないのだけれど、たまに匿名でやっているTwitterで、つながっていない知人友人が流れてきて驚く。六次の隔たりなんて言葉があるらしいが、世界は狭いと感じる。

 その中でも、わりと頻繁にTweetが私にまで届く大学の先輩がいる。あまり聞かない経歴の先輩で、海外の現地企業か何かでマネージャーをやっているらしく、経済的・社会的地位としては成功している人だと思う。私はかなり仲良くしていたのだが、大学卒業後は物理的距離も、キャリア的にも遠くなってしまい、一度くらいしか会っていない。

 ふと、そんな遠くなってしまった先輩を思い出す機会があった。私は、家電量販店で、ラップトップPCを眺めていた。2019年の消費増税前の時期だった。私は情けないことに大学時代に4万円くらいで買ったラップトップPCを使い続けていて、もはやゾンビと化しているそれの代わりを探しに来ていた。

 私は真っ先にパナソニックのLet'snoteを見に行った。大学時代の私には高額で、欲しかったけれど、憧れにとどまっていた機種だ。

 でも、結局、私が家電量販店から持ち帰ったのはもう一つの憧れのMacBook Airだった。自分の中の感覚で、Let'snoteはまだ高いと感じてしまったからだ。

 大学時代の先輩との会話を思い出した。Let'snoteが欲しいと話す私に対して、先輩は何気なく言った。

「買えるような仕事につけるとよいね」

 当時はなんだかひどいことを言う人だな、と思ったけれど、結局働きはじめて何年か経っているのに、私はLet'snoteを買えていない。買えるような仕事にはつけたはずなのだ。平均よりは稼いでいるし、貯金も多少たまった。それなのに、なんだかお金を使う勇気が出ない。

 Twitterでその先輩が在宅勤務用の机やら機器を自費で買っているらしい様子を見て、稼いでいる金額が低いのも正直なところ悔しいが、お金の使い方に慣れていないのもなんだか悔しいな、と思った。

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