見出し画像

【D&D5e】囚人13番/Prisoner 13

この記事はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。©Wizards of the Coast LLC.


この記事は、D&D Beyondの無料アドベンチャー“Prisoner 13”を非公式に日本語訳したものです。
元コンテンツの無料公開が終了した場合などには、本記事の公開を停止する可能性があります。

まとめ(ネタバレなし)

PCレベル:4レベル
PC人数:4人前後
所要時間:3~4時間くらい
使用ルール:『モンスター・マニュアル』

本記事のセッション、配信などへの使用はご自由にどうぞ(※WotC社のコンテンツ・ポリシーについては各自で確認してください)。報告、クレジットをする必要はありませんが、教えてもらえると私のやる気が出るかもしれません。


以下、アドベンチャーのネタバレを含みます。
プレイヤーとして参加予定の方はご遠慮ください。
※“Prisoner 13”は『Keys from the Golden Vault』に収録されているアドベンチャーのうちの1本です。該当キャンペーンをプレイ予定の方もご注意を!


















惑星トリル、ソード・コースト北部の凍てつく海域には、この一帯で最も危険な犯罪者たちを収容するために建てられた難攻不落の要塞がある。この刑務所に最も古くから収監されている囚人の 1 人、“囚人13番”という女ドワーフは、一見すると静かで孤独な日々を過ごしているようだが、大陸全土に広がる諜報ネットワークを密かに操っているのだ。囚人13番は、あるドワーフ氏族から盗んだ財宝の鍵を持っている。この計画は、キャラクターたちは刑務所に潜入し、囚人13番からその鍵(手に彫られたタトゥーの中にある)を回収して、雇い主であるドワーフのヴァリン・アックスブレイカーに返す、というものだ。

レヴェルズ・エンド
風吹きすさぶ断崖の上に建つレヴェルズ・エンド刑務所で、囚人13番が待ち受けている

冒険の背景

“囚人13番”は、コルダ・グリントストーンという名のドワーフだ。数年前に投獄されるまで、コルダはアックスブレイカー氏族というドワーフの一族に協力する諜報員だった。この氏族は、ゴーントルグリムという要塞で強い影響力を持っている。表向きはすべてアックスブレーカー氏族の利益のために、コルダは情報屋と諜報員のネットワークを構築した。成功を収めるごとに、コルダはタトゥー職人を雇って、自分の肌に勝利の記念を刻んだ。古代の儀式により、コルダはこの芸術的な彫り物のそこかしこにゴーントルグリムの鍛冶場の魔法を注入し、神秘的な力を得た。

金庫の鍵

コルダの膨らんだ野望は諜報員という役目では飽き足らず、権力を独占する計画を立てた。コルダは、アックスブレーカー氏族の蓄えた財産について5年間入念に下調べしてから、配置した部下たちを使って氏族が保有する金のほとんどを一網打尽に奪い取った。残されたのはわずかのみだった。
アックスブレイカー氏族のドワーフたちはすぐにコルダの居所を突き止めた。ドワーフたちがコルダの部下たちを追い詰めると、部下たちは戦って死ぬか、さもなくば処刑された。ドワーフたちはコルダを捕らえて尋問したが、自白を強要するような魔法も用いてさえも、盗んだ財宝の在処を明かすことはなかった。アックスブレイカー氏族のドワーフたちはその影響力で、コルダがレヴェルズ・エンドで終身刑を宣告されるよう手を回した。そうすれば、そのうちコルダが脱獄して盗んだ財産の在処に案内してくれるだろう、と期待したのだ。しかしそれもコルダの手の内だった。なぜなら、コルダが作ってきた無数の敵たちも、収監されている間はコルダを傷つけることができないからだ。

コルダ(現在は“囚人13番”と呼ばれている)は、収監される前に、盗んだ財産をほとんど使い切って新たな諜報員と犯罪ネットワークの基盤を築き、準備を整えておいた。コルダは現在、刑務所から組織を動かしている。コルダは魔法のタトゥーを使ったテレパシーを通じて、フェイルーンじゅうで(あるいはその外でも)諜報員を組織しているが、雇い主の正体を知る者はいない。盗まれたアックスブレイカー氏族の財産の残りは、ゴーントルグリムの奥深くにある金庫に眠っているが、その場所を示す目印などはなく、魔法で施錠され、コルダの右手に彫られたルーン文字列でしか開かない。

冒険の導入

アックスブレイカー氏族のマウンテン・ドワーフたちは、財宝を盗まれたせいで長年財政難に苦しんだ末、失われた財宝を発見はしたのだが、取り出せずにいた。氏族の代表であるヴァリン・アックスブレイカーは、キャラクターたちを雇って財宝を取り出す方法を明かしたいと思っている。もし君がゴールデン・ヴォルトをパトロンとして採用していない場合(下記の「ゴールデン・ヴォルトの採用」を参照)、ヴァリンは以下のような方法でキャラクターたちのことを知ると考えられる:
評判:ヴァリンは過去の冒険による評判によってキャラクターたちのことを知った。特に危険な場所から人や財宝を奪還するような冒険である。
共通の知人:キャラクターたちのパトロンの1人がヴァリンの古い知人であり、両者を仲介した。キャラクターたちがゴールデン・ヴォルトと関係しているならば、この選択肢を使用すること。
試用期間:ヴァリンは、キャラクターたちが以前完遂した冒険の責任者だった。その冒険は、キャラクターたちがこの任務にふさわしいかどうかを見極めるための試験であったのだ。

ゴールデン・ヴォルトの採用

※訳註:ゴールデン・ヴォルトは善なる秘密組織である。各地に散らばる工作員には特殊なオルゴールが配られ、任務のたびに受け取る黄金の鍵を挿すと詳しい指示が再生される。『Keys from the Golden Vault』は、この組織のエージェントとしてさまざまな任務をこなしていくアドベンチャー集である(このアドベンチャーもそのうちの1本である)。

ゴールデン・ヴォルトをパトロンとして採用している場合、キャラクターたちの元に黄金の鍵が届く(その手段は君が適切だと思う方法でよい)。キャラクターたちがこの鍵を使ってオルゴールを開けると、蓋が勢いよく開き、優しい声で次のように話す:

「工作員諸君。我々はとあるドワーフの莫大な財宝の在処を発見したのだが、その金庫に入る方法を知っているのは、レヴェルズ・エンド刑務所に収監されているとある囚人ただ一人なのだ。今回の任務は、引き受けてくれるならだが、監獄に行き、潜入し、財宝を入手する方法を囚人から手に入れることだ。この情報をヴァリン・アックスブレイカーというドワーフに渡し、任務の詳細について説明を受けてほしい。幸運を祈る。」

オルゴールを閉じると、黄金の鍵が消えうせる。

ヴァリンの提案

ヴァリン・アックスブレイカー(秩序にして善、ドワーフの貴族)が、鍵を回収するための協力を得ようと、キャラクターたちに接触する。ヴァリンは黒と灰色の縞になった髪と髭は三つ編みにしている。ヴァリンは鋼鉄の胸当ての上にゆったりとした質の良いローブを着ている。ヴァリンがキャラクターたちに声をかけるか、会議に呼ぶか、いずれにしても以下の文章を読み上げること:

「話を聞いてくれて感謝する。わしの名はヴァリン・アックスブレイカー、お前たちに頼みがあるのじゃ。わしの一族は、何年も前に盗まれた財宝をようやく見つけたのだが、魔法の鍵がかかった金庫の中に封印されておったのだ。その鍵がどんなものかはわからんのだが、手に入れてくれればアックスブレイカー氏族から永遠の謝意を送らせてもらう。もちろん、回収した財宝のうち幾分かお前たちに分けてやるぞ。
「厄介なのはな、金庫の開け方を知っている奴がレヴェルズ・エンド刑務所から死ぬまで出てこないのじゃ。あの女が氏族を裏切っていたことは前からわかっておったのじゃが、奴がわしらから盗んだ財宝を隠した金庫を見つけたのはこの間のことじゃ。お前たちには、奴を尋問し、金庫の開け方を聞き出してもらいたい。方法はお前たちに任せる。情報と引き換えに奴をあの刑務所から出さねばならないなら、それでも構わん。刑務所への侵入手段はこっちで手配する。レヴェルズ・エンドの間取り図と便利な小技を少し教えてやろう」

プレイヤーたちにマップ4.1(後述の「刑務所破りの地図」を参照)を渡し、以下の文章を読み上げること:

ヴァリンは小ぶりなオレンジ大のサファイアを取り出し、テーブルの上に置く。ヴァリンが宝石の上で手を振ると、青く光る建物の見取り図が空中に現れる。ヴァリンが宝石を叩くと、図は消え、サファイアが割れる。ヴァリンはその破片を君たち一人一人に渡す。破片は、手の中で熱を帯びると、溶けてなくなり、ぴりぴりした感触が残る。「レヴェルズ・エンドの地図を思い浮かべてみろ、そうすれば図が見えるはずだ」

この宝石の魔法は、キャラクターたちがレヴェルズ・エンドに到着してから5日間持続する。

刑務所破りの地図

各キャラクターは、無力状態でない限り、マップ4.1の魔法の図を目の前の空中に出現させることができるようになる(アクションは不要)。キャラクターが刑務所破りの地図を見ていても、他の人には何も見えない。ヴァリンは、キャラクターが地図上で見ることができる各特徴について説明する:
監房:赤で示されている監房は、永続的な魔法抑止アンティマジックで囲まれている。囚人13番の監房には目印がついている。
扉とハッチ:扉やハッチはアーケイン・ロック呪文で施錠されており、この刑務所の職員しか通り抜けることはできない。しかしキャラクターたちは、レヴェルズ・エンドから30m(100フィート)以内にいる間、マップを使えば、アクションを用いて扉やハッチに触れ、そこにかかった施錠を抑止できる。施錠が抑止されている間、その部分は緑色に変わる。施錠が抑止されているのは、1分経つか、別の施錠が抑止されるまでである。
巡回経路:マップ上に表示されている黄色の通路は、看守が定期的に行なう巡回の経路である。巡回する間隔は通常20分に1回だが、看守が不審に感じれば、より頻繁に巡回するようになるだろう。

マップ4.1:プレイヤー用マップ

Armory:武器庫
Barrack:兵舎
Cell:監房
Councilors:評議員用宿舎
Courtyard:中庭
Dock:波止場
Elevator:昇降機
Guard Patrol Route:看守の巡回経路
Guard Tower:看守塔
Guards:看守室
Hospital:医務室
Kitchen:厨房
Meeting:会議室
Mess Hall:食堂
Office:所長室
Permanent Antimagic Field:永続アンティマジック・フィールド魔法抑止の場
Prisoner 13's Cell:囚人13番の監房
Privy:便所
Stables:厩舎
Storage:倉庫
Surveillance:中央監視塔
Tower Level 1:塔1階
Tower Level 2:塔2階
Tower Roof:塔屋上
Trial:審議室(恩赦の間)
Warden:所長用宿舎

悪魔は細部に宿る

訳註:「The Devil in the Details(悪魔は細部に宿る)」とは、小さなミスや細部の見落としが重大な問題を引き起こすことがある、という意味の慣用句。

キャラクターたちがさらなる情報を求めた場合、ヴァリンは質問に対して簡潔かつ正直に答える。ヴァリンは残った私財を投げ打ち、この刑務所に関する情報を集め、コルダに対抗するチームを手配した。ヴァリンが提供できる詳細情報は以下の通りだ:
刑務所への侵入:刑務所の職員は定期的に交代する。ヴァリンは次の交代時期を把握し、味方の諜報員に数名の看守と料理人を捕らえさせ、キャラクターたちが代わりに侵入できるよう準備してある(「刑務所への接近」を参照)。
囚人13番:囚人13番は、裏切って財産を盗むまで、アックスブレイカー氏族から厚く信頼された諜報員だった。問い詰められれば、ヴァリンはしぶしぶキャラクターたちに名前(コルダ・グリントストーン)を伝えるものの、名前を知っていることを明かしてはいけないと釘を刺す。刑務所内で囚人13番の本名を知っている者は所長しかいないはずなので、口にすれば疑われるだけだからだ。囚人13番の監房はマップに記されている。
:囚人13番は、金庫の鍵を持っているか、その在処を知っているはずだが、鍵を見つけるためにアックスブレイカー氏族が試してきた魔法的な手段はことごとく失敗した。ヴァリンは、囚人13番に鍵を手放させるには自由を与えるしかないだろうと考えているが、キャラクターたちが鍵を見つけるか、他の方法で囚人13番に鍵を渡すよう説得できたなら、それでもヴァリンは満足するだろう。アックスブレイカー氏族は囚人13番の釈放を手配しようと試みたこともあるが、レヴェルズ・エンドの恩赦評議会に要求を拒否されている。
囚人13番との面会:刑務所を訪ねれば囚人との面会を要求することができるが、面会は常に刑務所長の監視下で行なわれる(刑務所長については「R21:所長用宿舎」を参照)。キャラクターたちが囚人13番と話したければ、囚人13番が監房にいない時に、できるだけ看守の目に触れないように試みるのがよい。囚人たちは、便所のバケツ掃除や食事の後片付けといった雑用をこなしたり、1日1回は中庭で運動している。囚人が怪我したり病気になったりすると、刑務所内の医務室に運ばれる。
レヴェルズ・エンドの詳細:ヴァリンはレヴェルズ・エンドの概要、扉やハッチにかけられたセキュリティ機能、刑務所の厳戒態勢(下記を参照)について伝えることができる。ヴァリンは武器庫に危険な番人がいることも知っているが、詳しいことは知らない。
財宝:財宝は、ゴーントルグリムというドワーフの要塞の地下深くにある金庫にしまわれている。ヴァリンは、金庫が開けられるようになったなら回収できた財宝の2%を支払う、とキャラクターたちに約束する。キャラクターたちが報酬の増額を要求するとヴァリンは苛立つが、キャラクターたちが難易度20の【魅力】〈説得〉判定に成功すれば3%を支払うことに同意する。ヴァリンは、キャラクターたちが探したいなら、所長室か宿舎に所長がいくらか金を隠している可能性が高いだろう、と付け加える。
脱出経路:ヴァリンは、刑務所から見えるけれども危険はない距離に、小型船を用意する。キャラクターたちが目標を連れて刑務所を出る準備ができたなら、暗くなってから波止場で照明を点けると船が迎えに来てくれる。

ヴァリンとの作戦会議を終えて出発する準備ができたら、ヴァリンは各キャラクターに看守か料理人、どちらのふりをするか選ばせる。看守はスプリント・アーマーを、厨房の職員はシンプルな制服を着用しなければならない。料理人は制服の下に軽装鎧を隠すことができる。小型サイズのキャラクターは、物資の入った木箱の中に入って密航する選択肢もある。

刑務所への旅

ヴァリンが諜報員たちに伝言を送ってあり、ラスカンに到着した一行をベスラ(混沌にして善、女ドワーフの密偵)が出迎える。ベスラはキャラクターたちが選んだほうの変装に必要な制服を渡し、次の夜明けにジョリー・ペリカン号という船へ向かうよう指示する。この船は、定期的に交代する刑務所の職員をレヴェルズ・エンドに送り届け、勤務を終えた職員をソード・コーストに送り返している。レヴェルズ・エンドまでの海路は525km(350マイル)で、何もなければ帆船が3日で移動できる距離である。

刑務所に向かうのは25人の看守と6人の料理人である(職員になりすますキャラクターたちを含む)。キャラクターたちが、自分たちが入れ替わる職員の安否を心配するなら、ベスラは「誰も殺していないし、仕事が終われば無事に解放するよ」と保証する。

プレイヤーたちは、自分が偽装する役に好きな名前を考えてよい。それがキャラクターたちが入れ替わった看守や料理人の名前になる。

レヴェルズ・エンド

レヴェルズ・エンドは全展望監視システムパノプティコン式の刑務所で、囚人たちの行動を中央からくまなく監視できるような構造になっている。“動氷海”に面する霧に覆われた極寒の海岸に位置するこの刑務所は、防壁の上に建つ1階建ての建造物だ。パノプティコンの中央にそびえる塔には、刑務所の管理事務所と看守用の兵舎がある。刑務所も塔も、海沿いの崖の上にそびえる刃のような形をした巨岩から削り出されたものだ。この岩は“風切岩”と呼ばれ、レゲド氷河から吹き下ろす暴風から塔を守っている。

レヴェルズ・エンドへ向かう道は、陸路、海路、空路がある。船で運ばれた囚人は桟橋で降ろされて昇降機で刑務所に入り、飛行船で運ばれてきた囚人は塔の頂上にある係留所で降ろされる。

レヴェルズ・エンドは領主同盟によって管理されている。領主同盟は、バルダーズ・ゲート、ミラバー、ネヴァーウィンター、シルヴァリームーン、ウォーターディープ、ヤルターといった都市、アンファイル、ダガーフォード、ロングサドルといった町、ミスラル・ホールというドワーフの要塞からなる土地土地のゆるやかな連合組織である。レヴェルズ・エンドに収監されるのは、1つ以上の加盟都市に対して重大な犯罪を犯し、長期間(通常1年以上)の禁錮刑を言い渡された者のみである。
領主同盟の各加盟都市は、レヴェルズ・エンドに代表者を1人派遣し、その代表者たちが集まって「恩赦評議会」と呼ばれる仮釈放委員会を構成する。レヴェルズ・エンドには快適といえる設備がほとんどないため、10人の評議員全員が出席することは滅多にない。評議会が囚人の減刑決定に際して賛否同数になった場合、刑務所長が(領主同盟のどの加盟都市ともつながりのない中立の裁定者として)決定票を投じる。

刑務所の特徴

石から切り出されたこの刑務所の外壁は高さ6m(20フィート)、天井は全体が平らで高さ6m(20フィート)である。この刑務所に関するさらなる情報を以下にまとめる:
扉とハッチ:扉と屋上のハッチはすべて強化鉄でできており、アーケイン・ロック呪文によって施錠されている。刑務所の職員はこの扉やハッチを普通に開けることができる。扉やハッチの施錠は固く、肩で押したり蹴ったりしても開けられないが、十分なダメージを受ければ破壊することができる。扉およびハッチは、AC19、ダメージ閾値10、30ヒット・ポイント、[毒]および[精神]ダメージに対する完全耐性を有する。
暖房:室内の空間は魔法で温められている。室内エリアの温度は常に20℃(68℉)になっている。看守塔を含む刑務所の屋外は-18℃(0℉)以下である。刑務所の外にいるクリーチャーは極寒にさらされる(下記を参照)。
照明:エリアの説明で例外が明記されていない限り、中庭、廊下、部屋、階段は壁の燭台にかけられたコンティニュアル・フレイム呪文によって明るく照らされている(エリアR17の照明のない監房は例外)。いくつかのエリアでは、記載のあるように、魔法の照明を暗くしたり抑止したりすることができる。
刑務所の看守:刑務所には75人の看守(古強者のデータ・ブロックを用いる)がおり、8時間交代で勤務している。看守の3分の2は非番であり、いつもエリアR19で休憩している。勤務中の看守はみな、領主同盟の紋章(赤地に金の王冠)が描かれたチュニックを着ている。
囚人:レヴェルズ・エンドの囚人はみな番号で識別される。この単純明快な慣習により、囚人たちは平等な立場に置かれている。刑務所の職員はこの番号を記憶しており、(過去の囚人から現在の囚人まで)全囚人の記録がエリアR22に保管されている。受刑者はみな同じ制服を着用しており、ポケットもフードもないのローブ、紐のない革のスリッパ、布製の下着を身につけている。監房の外では、囚人は手首と足首に枷をつける。枷をかけられている間、囚人の歩行移動速度は最大でも3m(10フィート)である。

刑務所への接近

キャラクターたちが刑務所に近づいたら、次の文章を読み上げること:

“動氷海”を見下ろす高い崖の上に、刃のような形の巨大な岩から削り出された、殺風景な石造りの要塞がある。要塞のうち中央の塔だけがひときわ高くそびえ立ち、矢狭間から光が漏れている。要塞の外周には4つの小さな塔が立ち、そこに看守がいるのが見える。

キャラクターたちはジョリー・ペリカン号でこの刑務所に向かってもよいしし、独自の方法で向かってもよい(下記の「侵入」を参照)。

北側から近づくキャラクターたちには、高さ48m(160フィート)の崖の上にある刑務所北側の入り口が見える。近くには巨大な木製のクレーンが立ち、崖の表面に木材の足場が組まれている。
南側から近づくキャラクターたちには、刑務所南側の入り口と、そこへ続く小道が見える。

極寒
キャラクターたちが刑務所にいる間、外気温は-18℃(0℉)以下である。寒さにさらされたクリーチャーは、1時間経過するごとに難易度10の【耐久力】セーヴィング・スローに成功しなければならず、失敗すると1段階の消耗状態をこうむる。[冷気]ダメージに対する抵抗または完全耐性のあるクリーチャーは、このセーヴィング・スローに自動成功する。防寒装備(厚手のコートや手袋など)を着用しているクリーチャーや、生来寒冷地に適応しているクリーチャーも、同様に自動成功する。

見張りの看守
刑務所には4つの看守塔(エリアR9を参照)があり、それぞれの塔の上には防寒服を着た3人の看守が配置されている。看守たちが何かに気づくかどうかを決めるための【判断力】〈知覚〉判定を行なわねばならないときは、有利をつけて〔3人分をまとめて〕1回だけロールを行なう。
塔にいる看守が、通常とは異なるものごと(船の接近、訪問者グループ、上空を飛ぶモンスター、など)を見聞きしたならば、看守の1人が塔の中に降りて刑務所内に知らせ、他の看守は持ち場に留まる。

侵入
ヴァリンが提供した偽装工作を利用する場合、船はラスカンを出発して3日後の夜明け前にレヴェルズ・エンドに到着する。キャラクターたちは船を降り、昇降機に乗って崖の上まで行き、正面扉から中に入る。看守に扮したキャラクターは兵舎(エリアR19)に連れて行かれ、ユーラ・ダーゲリア看守長と会う。刑務所の規則にうるさい実直な男だ。料理人に扮したキャラクターは厨房(エリアR8)に送られ、タイニー・トゥーレイン料理長に報告を行なう。料理長はヘヴィ・クロスボウの代わりに巨大な鍋を持ち歩く、陽気な巨躯の男である。補給品の木箱に密航した小型サイズのキャラクターは、倉庫(エリアR13)、厨房の冷蔵室(エリアR8にある中央の別室)、食料庫(エリアR8にある北の別室)のいずれかに連れて行かれる。小型サイズのキャラクターが複数人密航した場合、全員が運ばれるエリアを1つ選ぶこと。

刑務所の北あるいは南にある扉を叩いたキャラクターは、長さ9m(30フィート)の階段に通され、近くの看守室(エリアR3)から出てきた3人の看守に出迎えられる。看守は、キャラクターたちが持っている武器を預かるので、近くにある鍵付きの箱に入れておくように言う。その後、看守の1人が、武器を隠していないかキャラクターたちを1人ずつ調べる。キャラクターは、難易度13の【敏捷力】〈手先の早業〉判定に成功すれば、ダガー程度の大きさの武器を看守に気づかれないよう隠すことができる。

キャラクターがそり犬や動物の群れを連れている場合、看守は一行が厩舎(エリアR5)へ立ち入ることを許可する。従わない場合、刑務所に動物を入れることはできない。

武器を預け、動物をつないだ後、キャラクターたちは看守の1人に案内されて会議室(エリアR12)に向かい、所長がやってくるまで1時間待たされる。その間、キャラクターたちの付き添いはいなくなり、こっそりと部屋を出て刑務所内の探索を試みることができる。看守に気づかれずに部屋を出るには、難易度13の【敏捷力】〈隠密〉判定に成功する必要がある。鍵のついた箱からキャラクターたちの武器を取り戻すには、盗賊道具を用いて難易度16の【敏捷力】判定に成功する必要がある。看守たちは、キャラクターが上記いずれかの作業を行なおうとしているのを見つけた場合、キャラクターたちを会議室まで連れ戻して刑務所長が来るまで一緒に待つ。刑務所長は、刑務所に来たこと、そして部屋を抜け出したことに対して納得のいく理由が示されない限り、キャラクターたちを刑務所から追い出す。

刑務所長がキャラクターたちの滞在を受け入れるのは、避難所を求めている場合のみだ。その場合、2泊3日までの一時的な宿泊場所(エリアR7)を与え、滞在中は1日3食の食事を提供する。キャラクターたちが満足のいく訪問理由を提示できない場合、刑務所長はキャラクターたちに武器と動物を返し、刑務所から追い出す。

疑惑

刑務所の日常から外れた行動は、看守や刑務所にいる数少ない他の職員の注意を引いてしまう。疑惑は1〜6のレベルで測られる。キャラクターたちが刑務所に到着したとき、疑惑レベルは1である。

刑務所の職員がいつもと異なる行動を目撃したり、その証拠を見つけたりすると、疑惑は上昇する。次のような状況で疑惑レベルが上昇する:

  • 刑務所の職員に扮している時に囚人の本名を使用する

  • 巡回に遭う(「巡回経路」を参照)

  • 看守の見えるところで、知覚可能な構成要素または効果を持つ呪文を発動する

  • 刑務所に関係すること(作業指示を与えるなど)以外について囚人と会話する

疑惑が上昇するのは、刑務所の職員がキャラクターたちの不審な行動を目撃し、目撃者が1人でも見たものを報告した場合のみである。キャラクターたちが目撃者に見たものに正当な理由があると納得させることができれば、疑惑は上昇しない。

撹乱
キャラクターは注意をそらして、自分自身や味方が不審な行動を取る際に目撃されないよう時間を稼ぐことができる。注意をそらすキャラクターが、その時の疑惑レベルに設定された難易度(「疑惑」表を参照)に対する【魅力】〈ペテン〉判定に成功したなら、不審な行動も気づかれずに済む。キャラクターの取る行動が注意をそらすだけでごまかせるくらいのものかどうかは、君の裁量で判断すること。たとえば、口先で喋っているだけで爆発をごまかすことはできない。

疑惑の効果

疑惑レベルが上がるにつれ、巡回頻度が上がり、刑務所の職員はますます警戒するようになる。疑惑レベルが6になると、所長は刑務所内に厳戒態勢を敷く。

疑惑

  1. 巡回ダイス=d20、難易度=10

  2. 巡回ダイス=d12、難易度=12

  3. 巡回ダイス=d10、難易度=14

  4. 巡回ダイス=d8、難易度=16

  5. 巡回ダイス=d6、難易度=18

  6. 巡回ダイス=d4、難易度=20

レベル:8時間が経過するごとに、刑務所職員がその8時間で1度も不審な行動を検知していないなら、疑惑レベルが1ずつ減少する(最低1)。
巡回ダイス:キャラクターたちが巡回経路に入った際、その時の疑惑レベルに基づいたダイスを振り、看守の巡回に遭遇するかどうかを確認する(「巡回経路」を参照)。
難易度:刑務所の職員に対して行なう【魅力】判定、および巡回を避けるために行なう能力値判定の難易度は、その時の疑惑レベルによって設定される。

厳戒態勢

刑務所長(エリアR21参照)は、懸念事項が持ち込まれた場合、刑務所に厳戒態勢を敷くかどうかを決定する。厳戒態勢を敷くに値する状況としては、囚人の反乱、脱走、不審な船の接近、ドラゴンの目撃、襲撃、死体の発見、不審な行動(上記の「疑惑」参照)などがある。

所長が合言葉“マリスト”を口にすると(所長以外が唱えても意味はない)、刑務所に厳戒態勢を敷くことができる。もう1度合言葉を言うと、厳戒態勢が終了する。厳戒態勢には、以下の効果がある:
厳戒態勢警報:1分間、刑務所じゅうに警報音が鳴り響き、刑務所内にあるコンティニュアル・フレイム呪文によって作られた光がすべて赤みを帯びる。
刑務所の配置:エリアR19にいる看守たちは鎧を着用し、武装してエリアR18に移動する。刑務所長も同様に武装して、エリア18から守備隊を指揮する。恩赦評議会のメンバーはエリアR20に避難する。
不可視視認:刑務所長および全看守はシー・インヴィジビリティ呪文の利益を受ける。

巡回経路

看守は2人1組で、看守室(エリアR3、巡回時間ごとに交代)から六角形の通路(エリアR15)を巡回しながら、中庭(エリアR11)と武器庫(エリアR10)を軽く確認する〔※訳註:北の看守室の看守が1周巡回したなら、次の巡回は南の看守室が、その次はまた北の看守室が…となる〕。経路はレヴェルズ・エンドのプレイヤー用マップに黄色で記されている。看守たちが見回って持ち場に戻るまで、通常4分かかる。

巡回経路に記されたエリアに1人以上のキャラクターが入ったら、ダイスをロールすること。ロールするダイスの種類は「疑惑」表に示され、その時の刑務所の疑惑レベルによって決定される。1が出た場合、キャラクターは巡回する看守たちと遭遇する。キャラクターたちがどのように反応するかをプレイヤーたちに尋ね、1ラウンド分のアクションを与える。キャラクターたちは、近くに身を潜める出口や曲がり角があれば、集団【敏捷力】〈隠密〉判定を行なって、その場から逃げようとすることができる。あるいは、集団【魅力】〈ペテン〉判定を行なって、その場で何事もないふりをすることもできる。それぞれの判定難易度は、その時の疑惑レベルによって設定される。失敗すると、キャラクターたちは巡回する看守たちに気づかれ、自分たちがそこにいる理由を説明しなければならない。
キャラクターたちが会話によって看守をやり過ごそうとするならば、キャラクターのうち1人に、疑惑レベルによって設定された難易度に対して、【魅力】〈威嚇〉、【魅力】〈説得〉、【魅力】〈ペテン〉のいずれか(会話の内容による)を行なわせる。他のキャラクターがその話を支援するならば、その判定は有利を得る。判定に成功すると、看守たちはキャラクターたちを解放する。失敗すると、看守たちはキャラクターたちを看守室(エリアR3)まで連れて行き、キャラクターたちが禁止区域にいたことについて尋問する。もしキャラクターが偽装工作をして刑務所にいる場合、看守はキャラクターたちを持ち場、つまり厨房職員の宿舎(エリアR8から入る一番大きな部屋)か、非番の看守ならば兵舎(エリアR19)に連れて行く。その場合、疑惑レベルが1上昇する。

キャラクターが巡回する看守に1度遭遇したら、20分経過するまではキャラクターが経路に入っても巡回に遭遇するかどうかの判定を行なわないこと。

レヴェルズ・エンドの各エリア

マップ4.2に示されているように、以下の場所がレヴェルズ・エンドに対応している。

マップ4.2:DM用マップ

プレイヤー用マップ

R1:波止場

船が停泊し、囚人や物資を降ろす場所。

R2: 昇降機

刑務所と波止場を隔てる高さ36m(160フィート)の崖には、頑丈な木材の足場が組まれている。足場の上には木製のクレーンがあり、エリアR3から操作することができる。クレーンによって上下するかごには、クレーンと反対側に折りたたみ式の木製の門がある。昇降機のかごは木製で、中が空洞になった一辺10フィートの立方体である。かごが足場を上がるか下りるのには1分かかる。

R3:看守室

この部屋には、テーブル1つに椅子が4脚、砥石など鎧や武器を修理するための簡単な備品が収められた棚がある。

2つの看守室には、それぞれ3人の看守(古強者)が配置されている。看守たちはトランプで遊んだり、武器を研いだり、天気について文句を言ったりして時間をつぶしている。
北側の看守室の北の壁には、エリアR2の昇降機を上下させる鉄製のレバーが付いている。巡回中は、看守のうち2人が部屋を出て4分間の見回りをする。

R4:医務室

この部屋には12台の簡易ベッドがある。北側の壁には、医療品が収められた棚が置かれている。

この棚には十分な物資が収められており、治療用具20個、耐毒剤の小ビン5つ、その他さまざまな薬やチンキ剤を揃えられる。
この薬品の中には、誤った配合で摂取すると毒になるものもある。錬金術用品、調毒用具、薬草師用具、あるいは〈医術〉技能に習熟しているキャラクターは、チンキ剤を識別し、それらを組み合わせて摂取型の毒を作ることができる。この毒を摂取したクリーチャーは難易度13の【耐久力】セーヴィング・スローを行なわねばならない。このセーヴに失敗すると、10(3d6)の[毒]ダメージを受け、1時間毒状態になる。セーヴに成功すると、半分のダメージを受け、毒状態にはならない。いずれにせよ、そのクリーチャーは小休憩を終了するか、耐毒剤の小ビンを飲むか、毒状態を終了させる効果の目標となるまで、痛みを伴う胃痙攣を起こす。囚人がこうして痙攣を起こした場合、看守はその囚人を医務室に連れて行き、診察と治療を受けさせる。看守に変装したキャラクターはその役目に名乗り出ることもできるし、その役目を命じられる可能性もある。

R5:厩舎

乗用動物、そり犬、動物の群れ、あるいはペットを連れている訪問者は、ここに動物を預けることができる。ただし、刑務所は動物用の食料を支給しない。

R6:食堂

刑務所の職員はここで食事を取る。部屋いっぱいにテーブルとベンチが並び、南側の壁には食器やくすんだカトラリーをしまった棚が置かれている。食堂では朝食、昼食、夕食が提供される。キャラクターたちは怪しまれることなく、ここに入ることができる。

R7:評議員用宿舎

宿舎は10部屋あり、家具類は共通である。各部屋にはベッド、机と椅子、爪足の櫃、壁には洋服を掛けるためのフックがある。部屋を照らすコンティニュアル・フレイム呪文は、“ライト”という合言葉を口にすることで抑止したり、通常の明るさに戻したりすることができる。
この部屋は10人の恩赦評議会のメンバーのために用意されているが、現在使われているのは3部屋だけだ。他の7人のメンバーはいないので、所長は使っていない部屋を訪問者に使わせる。

評議会のメンバー:レヴェルズ・エンドにいる恩赦評議会のメンバー3人は次の通り:
ヴォス・アンダートン評議員:ヴォスはネヴァーウィンター市の代表である。ヴォスは秩序にして中立、男ヒューマンの非戦闘員で、正確で弁護士のような話し方をする。ヴォスが評議会や仮釈放審問を欠席したことは一度もない。ヴォスは心ではなく頭で投票し、常に囚人を減刑することの影響を秤に掛ける。
ジル・トーボ議員:ジルはバルダーズ・ゲート市の代表である。ジルは真なる中立、女ハーフリングの非戦闘員で、この仕事を好んでいない。ユーモアのセンスはなく、我慢の限界になると深いため息をつく。しかし、“疑わしきは罰せず”と考え、(時には抗議の意味で)減刑に賛成票を投じることが多い。
クリヴ・ノリクシウス議員:クリヴはダガーフォード町の代表である。クリヴは秩序にして善、シルヴァー・ドラゴンを祖先に持つ男ドラゴンボーンの非戦闘員だ。クリヴは良い仕事をしてダガーフォード公爵夫人に気に入られようと考えている。反省していない犯罪者に寛容になることはなく、減刑にはたいてい反対票を投じる。

R8:厨房と別室

ここでは6人の料理人(真なる中立、ヒューマンの一般人)が交代で働き、2人1組で囚人や職員用の食事を作っている。厨房の設備は潤沢で、鉄のコンロや、屋上にある魔法で温められた貯水槽から水を引いたポンプもある。
非番の料理人は、厨房の西にある3つの部屋のうち、一番大きな部屋で寝ている。この部屋はコンティニュアル・フレイム呪文で照らされており、“ライト”という合言葉を口にすることで、炎を抑えることも、明るくすることもできる。
中央の別室は、刑務所の他の部分と違って暖房がなく、冷蔵室として使われている。
一番小さい別室は食料庫で、在庫は豊富である。

R9:看守塔

この三角形の塔は全部で4つあり、すべて2階建てである。塔の内部にあるのは鉄のハッチに登る木製のはしごだけで、ハッチはアーケイン・ロック呪文で施錠されている(詳細は 「刑務所の特徴」の項を参照)。このハッチの先にある塔の屋上は平らで、防壁に囲まれている。塔の屋上にはそれぞれ、防寒服を着た領主同盟の看守(古強者)が3人配置されている。

R10:武器庫

この部屋には、武器が詰まった木製の棚や櫃がある。部屋の中央に丸い体のクリーチャーが浮かんでおり、中心に大きな目があって4本の蠢く眼柄が生えている。

中にある武器はすべて非魔法的なもので、ハルバード20本、ロングソード15本、ショートソード15本、パイク10本、ヘヴィ・クロスボウ10本、ライト・クロスボウ5本、クロスボウ・ボルト数百本である。

スペクテイターがこの武器庫を守っており、武器を財宝のように扱っている。スペクテイターは刑務所の全職員の顔を覚えている。スペクテイターが部屋から出ることはなく、見覚えのない者がいれば襲いかかる。

ハッチ:木のはしごが天井にある鉄製のハッチにつながっている。このハッチはアーケイン・ロックの呪文で施錠されており(詳細は「刑務所の特徴」の項を参照)、開いた先は屋上だ。

R12:会議室

この部屋には大きな長方形のテーブルがあり、長辺の一方に椅子が1脚、反対側に同じ椅子が3脚置かれている。この部屋は囚人や所長との会議に使われている。

ハッチ:木製のはしごが天井にある鉄製のハッチに通じており、開いた先は屋上である。アーケイン・ロック呪文がハッチを施錠している(詳細は「刑務所の特徴」の項を参照)。

R13:倉庫

この部屋には木箱やコンテナに入った物資が保管されている。現在、この刑務所には6ヶ月過ごしていけるだけの必需品が備蓄されている。

R14:便所

この部屋には、木製の排泄用バケツが12個ある。1日1回、通常は朝方、枷をかけられた囚人たちがバケツを刑務所の外に運び出し、看守の監視の下、排泄物を処理する。

R15:六角形の通路ヘキサゴン

この廊下は、看守や訪問者が、パノプティコン(エリアR16)と監房(エリアR17)を避けながら、刑務所の一番外側の部屋に移動できるようになっている。看守たちはその形から「六角形の通路ヘキサゴン」と呼んでいる。

R16:全展望監視システムパノプティコン

ここは刑務所の中心に大きく開けた、六角形の空間だ。壁には監房が並び、中央には小さな六角形の部屋がある。

このエリアを照らすコンティニュアル・フレイム呪文は、監視ハブ(エリアR18)から調整することができる。夜間は薄暗く照らされている。

R17:監房

監房は頑丈な鉄格子で閉ざされている。後ろの壁にボルトで固定された鉄製の2段ベッドには、薄いマットレスが敷かれている。ベッドのそばには排泄用のバケツが置かれている。

囚人たちが収監されている監房は、R18エリアからしか開けられない鉄格子の門で仕切られており、明かりはない(R16の照明で事実上照らされている)。この門は頑丈なため、力づくで、あるいは武器を使って無理やり開けることはできない。また、魔法で開けたりすり抜けようとしても、永続的なアンティマジック・フィールドによって遮られる。アンティマジック・フィールドは監房1つとその門を囲むように設置されている。アーティファクトや神によって作られたものを除き、呪文その他の魔法的効果はアンティマジック・フィールドの中では抑止され、その中に入れることはできない。抑止されている効果は無効化されるが、抑止されている時間も持続時間としては数えられる。
監房の奥の壁には、薄いマットレスが敷かれた鉄製の2段ベッドがボルトで固定されており、近くには排泄用のバケツが置かれている。囚人たちは監房で食事を摂る。

囚人:24個ある監房には、それぞれ1〜2人の囚人を収容できる。4d10をロールして現在レヴェルズ・エンドに収監されている囚人の数を決定し、それぞれに識別番号を与え、適切だと思うよう監房に分配すること。番号は囚人が到着した順に割り振られ、再使用されることはない。現在レヴェルズ・エンドに収監されている囚人のうち、最も長く収監されているのは囚人6番で、最も新しいのは囚人299番である。囚人13番(詳しくはこのアドベンチャー内で後述する「囚人13番のロールプレイ」の項を参照)に同房者はいない。13番の監房はマップ4.1に記されている。

他の囚人に詳細を追加するには、「囚人」表でロールするか、好きな項目を選ぶこと。囚人のゲーム・データが必要になった場合、『モンスター・マニュアル』から適切なデータ・ブロックを選び、鎧や武器、その他の装備を取り除くこと。

囚人(1d6:囚人)

  1. ガリア・ストランド(中立にして悪、ヒューマン)は、禁止されている嗜好品の密輸で有罪判決を受け、10年の刑期のうち1d6年を服役している。

  2. バーロ・レイジブレイド(混沌にして善、ヒューマン)は著名な冒険家で、無謀な危険行為で有罪判決を受け、5年の刑期のうち1d4年を服役している。

  3. クィリオン・サルド(秩序にして中立、ハーフリング)は、魔法を使用して他人に影響を与えた罪で有罪判決を受け、5年の刑期のうち1d4年を服役している。

  4. ピルエット(混沌にして悪、ティーフリング)は盗賊ギルドのリーダーで、複数の犯罪で有罪判決を受け、終身刑のうち1d20年を服役している。

  5. イシャール(混沌にして悪、エルフ)は、ある貴族一家を殺害する陰謀で有罪判決を受け、終身刑のうち1d20年を服役している。

  6. グリックス(真なる中立、ゴブリン)は、 スパイ活動で有罪判決を受け、10年の刑期のうち1d6年を服役している。

謎めいた囚人13番と接触する冒険者

R18:監視ハブ

この六角形の部屋は、刑務所の中央にある塔の基部である。螺旋階段が塔の上階につながっている。数人の看守が矢狭間から監房を監視している一方、1人は金属製の机と端末の前に座っている。端末には、無数のスイッチとダイヤル、漏斗のように先の広がった真鍮の管が付いている。

階段はエリアR19からエリアR23に通じている。この監視ハブには7人の看守(古強者)が配置されている。1人は階段の南にある端末の前に座っている。他の看守は、壁に開いた高さ1.2m(4フィート)、幅30cm(1フィート)の矢狭間から囚人たちを監視している。矢狭間の間の壁には、看守が囚人たちの手首や足首を縛るのに使う鉄の枷が50組かけられている。

端末:端末は上部が斜めになっている机のような形の不思議な装置で、ボルトで床に固定されている。この端末は大型サイズの物体で、AC15、18ヒット・ポイント、[毒]および[精神]ダメージに対する完全耐性を有する。この端末は以下の魔法的特性を持っているが、ヒット・ポイントが0になると効果はなくなる:
門の制御:端末上の24個のスイッチで、該当する監房の門を開閉できる。親スイッチはすべての門を一度に開閉できる。端末のスイッチを1つ以上入れるにはアクションが必要である。
照明の制御:端末上の真鍮のダイヤルで、エリアR16の光量を調節できる。ダイヤルを回すにはアクションまたはボーナス・アクションが必要である。
拡声器:クリーチャーはアクションとして、トランペットの先端部に似た形のこの装置を使い、自分の声を刑務所中に放送することができる。

R19:兵舎

螺旋階段の途中にある扉を開けると、木製の2段ベッドが並ぶ大部屋がある。北、西、南の壁には矢狭間がある。ベッドにはそれぞれ靴箱と武器ラックが付いている。この扉の先にも螺旋階段は続いている。

螺旋階段を登ったキャラクターは、刑務所の屋上から30m(100フィート)の高さにある扉にたどり着く。階段はこの扉の先にも続き、塔の上層階へと続いている。
扉を開けると、木製の2段ベッドが並ぶ部屋に出る。高さ1.2m(4フィート)、幅30cm(1フィート)の矢狭間からこのエリアの北、西、南を見ることができる。部屋を照らすコンティニュアル・フレイム呪文は、“ライト”という合言葉を発することで暗くしたり明るくしたりできる。

刑務所が厳戒態勢にないときは、50人の看守(鎧と武器のない古強者)が寝台で眠ている。看守たちは鎧と武器をすぐ手の届くところに置いている。その他の持ち物は、二段ベッドの下に置かれた鍵のかかっていない小型トランクに入れておく。
看守が鎧を着るのには10分かかる。刑務所が厳戒態勢に入った場合、看守は10分かけて鎧を着てからエリアR18に降りる。

R20:恩赦の間

この部屋の床は、刑務所の屋根から36m(120フィート)の高さにある。螺旋階段がこの部屋と塔の他の階(エリアR18は42m(140フィート)下、エリアR19は6m(20フィート)下、エリアR23は6m(20フィート)上)を結んでいる。外壁には狭い窓が並んでいる。
ゆるやかに湾曲した長机と11脚の椅子が部屋の大部分を占めている。中央の椅子には特別な装飾はないが、他の椅子の高い背もたれには旗が掛けられ、それぞれの旗には領主同盟の加盟都市の紋章が刻まれている。壁には領主同盟そのものの紋章(赤地に金の王冠)をあしらった旗が掲げられている。

恩赦評議会の会議:恩赦評議会のメンバーがこの部屋に集まり、1人以上の評議員から仮釈放の推薦を得た囚人について、釈放の是非を協議する。1人の囚人について仮釈放が検討されるのは、1年に1回までである。仮釈放を希望する囚人は、枷をはめられた状態でこの部屋に連れてこられ、投票が行われる前に評議会のメンバーの心に訴えるチャンスを与えられる。所長(エリアR21を参照)はこの会議に必ず出席し、中央の椅子に座って、決定票が必要になった際には投票を行なう。

R21:所長用宿舎

この扉の鍵を開けることができるのは所長だけだ。扉の向こうにはコンティニュアル・フレイム呪文で照らされた快適な寝室があり、“ヴァウドラ”という合言葉を発することで薄暗くしたり明るくしたりできる。

刑務所長:冷静沈着なレヴェルズ・エンドの所長マルタ・マーサニスは、秩序にして善、女ヒューマンの魔道士で、共通語、オーク語、ドワーフ語、竜語を話す。所長は金の縁取りが施された赤いローブを着用しており、片方のポケットに7つの小さな鍵がぶら下がった金輪を入れている。1つの鍵は所長の宝箱(後述の「財宝」を参照)を開けることができ、他の鍵は所長室(エリアR22)の机の引き出しと飾り棚を開けることができる。
マーサニス所長はハーパーの一員であることを隠している。ハーパーとは、悪人の手に権力が渡らないように秘密裏に働く組織である。所長は、自分の立場を利用して、ソード・コースト最低の犯罪者たちが鉄格子から出ないように取り計っている。今のところ、所長はうまくハーパーとの関係を隠しており、刑務所内で勘づいている者はいない。

マーサニスへの憑依:マーサニスは、ハーパーの一員であることとは逆に、定期的に憑依されることは隠していない。所長の中に宿っているのは、ヴラックス・ブラウンアンヴィルという名の亡くなった冒険者仲間(秩序にして善、シールド・ドワーフのファイター)の魂である。ヴラックスの魂は1日に1〜2回、1〜2時間ずつマーサニス所長の支配権を握るが、所長が重要な仕事をこなしている時(囚人と訪問者の面会を監視する時など)に憑依したことはない。
ヴラックスに支配されている間、所長は準備している呪文を発動することができず、厳戒態勢の合言葉を使うこと(「厳戒態勢」の項を参照)ができず、ドワーフ語以外を話せない。ヴラックスの悪癖であるビールと蒸留酒に溺れることもある。
ヴラックスの霊を取り除くには、(ネヴァーウィンター近郊にある)ホートナウ山の地下にあるドワーフの要塞ゴーントルグリムに行き、ブラウンアンヴィル家の地下墓地を訪ねなければならない。マーサニス所長はそのことを知っているが、ヴラックスとのつながりを失うことに耐えられず、その旅は行なえずにいる。所長は刑務所の看守たちや恩赦評議会のメンバーたちに自分の状態を伝えており、みんな所長の人格が変わったり酒宴が始まることに慣れている。憑依が所長の職務遂行能力に影響することはないので、今のところ所長の職務適正を疑っている者はいない。

財宝:部屋の調度品の中に鍵のかかった木製の櫃があり、所長はその鍵を持ち歩いている。キャラクターは、アクションを用いて鍵開けを試みることができ、盗賊道具を使用して難易度20の【敏捷力】判定に成功すれば鍵が開く。
櫃の中に入っているのは、書道道具1式、750gp(主に囚人や積荷を降ろした船の船長に支払うための金)の入ったずだ袋、ハーパーの紋章(三日月の角に挟まれた小さなハープ)が付いた外套を留める銀のピン(25gp)が入っている。

この櫃に隠し空間がないか探したキャラクターは、蓋の内側に空間を見つけることができる。その中には、所長が緊急用に持っているワンド・オヴ・バインディングが入っている。

R22:所長室

部屋の中央にはどっしりとした机が置かれ、羊皮紙、羽ペン、インクが用意されている。東側の壁には重厚な木棚が5つ並んでいる。

刑務所の記録は鍵のかかった棚に保管されている。棚には、船の積荷目録や過去の配達記録、囚人の移送指示書、レヴェルズ・エンドに収監された囚人全員の名前、罪状、刑期、減刑などを記録した台帳も保管されている。記録には、収監中に死亡した囚人の死亡証明書も含まれている。死因はどれも“自然死”、“事故死”、または“不審死”とされ、詳細は書かれていない。
部屋の中央の机には鍵のかかった引き出しがあり、その中に財務帳簿が10冊入っている。机と棚の鍵は所長が持っている。キャラクターはアクションを用いて机の引き出しや棚の鍵を開けようと試みることができ、盗賊道具を使用して難易度12の【敏捷力】判定に成功すれば開く。

R23:塔の屋上

〔中央塔の〕屋上は平らで、刑務所の屋根から42m(140フィート)、海面から90m(300フィート)の高さにある。北、南西、南東に高さ1.8m(6フィート)の壁が3つあり、限定的に身を隠すことができるが、屋上の大部分は雨風にさらされている。
木製の跳ね橋の片側を下げると、飛行船の係留所になる。跳ね橋の昇降にはアクションが必要である。

ここに配置されている看守はいない。刑務所の監視塔(エリアR9)にいる看守が飛行船や空を飛ぶ脅威がレヴェルズ・エンドに近づいているのを発見すると、刑務所内に警告する。そうすると、所長が防寒服を着て屋上に向かい、飛行船の乗組員を出迎えるか、空を飛ぶ脅威に自ら対処する。

囚人13番のロールプレイ

キャラクターたちが初めて囚人13番に遭遇したなら、以下を読み上げること:

この女ドワーフは筋肉質の引き締まった体をしており、赤い髪を短く切り揃えている。銅色あかがねいろの肌はタトゥーに覆われ、鎖骨から足首まで伸びている。女ドワーフは関心のなさそうな目で君たちを見定めている。

囚人13番

囚人13番は狡猾な軍師であり、冷酷で忍耐強い。囚人13番は人の話をよく聞き、様子を観察し、できる限り細かい情報まで集めるが、自分は手に入れた情報を極力共有しようとしない。
囚人13番は自分の人生に満足している。匿名性があり、皮肉にも保護されているレヴェルズ・エンドの生活は、まるで冬の夜に暖かい毛布があるように快適だ。囚人13番は、魔法抑止の監房に閉じ込められている間は、身を守る魔法のタトゥーに頼ることができないため、用心深くなる。監房の外では自信が高まり、看守が見ていなければ雑談もする。戦闘になると囚人13番の脅威は大きく、爆炎を起こし、魔法の力で近接戦闘でも遠距離戦闘でも攻撃できる。
囚人13番は策略を企てるのに多くの時間を費やし、刑務所の外にいる手下たちを目、耳、手としてそれを張り巡らせている。囚人13番は、中庭で行なわれる1日1回の運動や雑務の間に手下たちと連絡を取り、最新情報を入手し、ネットワークを維持するための手配を行なう。

囚人13番

囚人13番のタトゥー
囚人13番に彫られた作品は大部分が制服で隠れている。タトゥーには以下のようなものがある:
ドワーフの詩:首から肩甲骨にかけては、ドワーフ語の詩の抜粋が彫られ、“果てなき夢は石の中に”と書かれている。
:背中と肋骨を覆うのは、燦然と輝く炎の嵐である。
屍衣:左腕には螺旋状に黒や灰色の煙と影が彫られ、左手の指にはルーン文字が描かれている。
組紐:右腕から右手の甲、そして右手の指先まで、紫と青の組紐模様とルーン文字が描かれている。指に描かれたこのルーン文字こそが要石のタトゥーであり、ゴーントルグリムの金庫の鍵になるものだ。キャラクターたちが任務を完遂するには、この鍵を手に入れなければならない(下記の「鍵の入手」を参照)。
:胸を覆うのは銀と茶色の山で、その峰が鎖骨の角度に沿うようになっている。
:腹では、緑と青の水が渦巻いて滝のような川を成し、その水面から鱗のあるクリーチャーが顔を出している。
権力と略奪:腰にはドワーフ文字で“権力”、“略奪”と書かれている。

囚人13番のタトゥーの中には小さな魔法の印形があり、それぞれ同じものが手下の1人に彫られている。目にしたタトゥーを調べ、難易度15の【知力】〈捜査〉判定に成功したキャラクターは、タトゥーに隠された意匠に気づく。難易度15の【知力】〈魔法学〉判定に成功したキャラクターは、その意匠が精神やテレパシーに関係するものだとわかる。

囚人13番のタトゥー

鍵の入手
自由になれる可能性を持ちかけられると、囚人13番は心底驚いた顔をするが、すぐにいつも通りの無関心な表情を装う。以下には、予想されるいくつかの質問に対して、囚人13番がどう答えるかを挙げておく:
金庫と鍵について何を知っている?囚人13番は知らないふりをする: 「何のことかわからないね」食い下がられると、囚人13番は肩をすくめて言う。「前にもその金庫と鍵について聞いてきたやつがいたよ。もし仮に、私がその鍵の在処を知っていたとして、それをお前たちに教えてどうなるってんだい?」
自由になりたいか?「お気遣いをどうも。悪いけどお断りするよ。わたしゃここで満足してるんだ、ありがとさん」
鍵と引き換えに欲しいものがあるか?囚人13番はしばらく考えてから答える: 「刑務所長がある台帳を持ってる、所長室にあるはずさ。その台帳には、レヴェルズ・エンドに収監されたあらゆる囚人の名前、罪状、囚人番号がすべて載っているんだ。そのリストを持ってきてくれりゃ、鍵を渡してやってもいいよ」
口先での脅迫に対しては、首を横に振りながら答える。「大騒ぎでも起こしてここに看守を呼ぼうかい?来るのは所長さんかもしれないねぇ。あたしを脅そうったってそうはいかないよ」

鍵を見つける:囚人13番が鍵について話すとき、その場にいるキャラクターはみな難易度19の【判断力】〈看破〉判定を行なうことができる。判定に成功したキャラクターは、囚人13番が鍵の話をしながら、右手を曲げてそこに彫られたタトゥーを指先でなぞっていることに気づく。そのキャラクターは、そのタトゥーこそが鍵ではないかと推測できる。
強制脱獄:囚人13番を殺さずにヴァリンに引き渡すのは、不可能ではないが難しいだろう。囚人13番が自ら同行することはなく、キャラクターたちが無理やり連れて行こうとすれば反撃する。そうなると、看守に気づかれず、刑務所に厳戒態勢を敷かれずに、囚人13番を気絶させて刑務所を出る、というのは非常に厳しいものになる。戦闘が起こった際、一番近くにいる看守との間に閉じた扉があるならば、イニシアチブ・カウント0で難易度15の【判断力】〈知覚〉判定を行ない、看守たちが騒ぎに気づくかどうか確かめること。成功したならば、看守たちのイニシアチブをロールする。看守たちは次のラウンドから調べ始める。
鍵の取引:キャラクターたちが所長室(エリアR22)から囚人のファイルを入手した場合、囚人13番は監房以外の場所で読みたいと要求する。囚人13番は20分かけて、書類に目を通しながら手下たちにテレパシーで情報を伝える(後で情報を利用するためだ)。そうした後、囚人13番は右手のタトゥーが金庫の鍵であることを明かす。囚人13番はキャラクターたちに、タトゥーをじっくり観察することを許し、ディスガイズ・セルフやマイナー・イリュージョンなどの魔法を使ってその画像を複製したり、ペンとインクを使ってタトゥーを書き写すことができるようにする。いずれにせよ、キャラクターが観察または書き写すのには10分がかかり、タトゥーを正しく再現できたかどうか難易度15の【知力】〈魔法学〉判定に成功しなければならない。成功するまで何度でも行なうことはできるが、その度に時間がかかり、発見されるリスクを負うことになる。
最終手段:恐ろしくも効率的な選択として、囚人13番を殺して死体(あるいは右手だけ)を持ち去ることもできる。もしキャラクターたちがゴールデン・ヴォルトで働いているなら、組織がこうした手法を認めないとわかっている。囚人13番を殺したりその体を切断したなら、キャラクターたちは組織から報酬を受け取れなくなる。

結末

キャラクターたちが鍵(囚人13番の要石のタトゥー)を無事に届けると、ヴァリンの普段は控えめな表情が喜びと安堵で崩れる。ヴァリンは部下を送って金庫を開け、失われたアックスブレイカー氏族の財宝に辿りつく(キャラクターたちが金庫を開けるところに立ち会うことは認めない)。盗まれた氏族の財宝はほとんど使われているが、それでも莫大な財産が残っている。任務に成功すると、キャラクターたちはみな、アックスブレイカー族のドワーフに影響を与えるような【魅力】判定が有利になる。依頼が達成されたので、ヴァリンはキャラクターたちに約束通りの正当な分け前を与える。報酬は以下の硬貨と宝石である(キャラクターが交渉して報酬が3%になっている場合、括弧内の金額を使用すること):

  • 2,100cp(3,150cp)

  • 1,100sp(1,650sp)

  • 100gp(150gp)

  • ブラッドストーン12個(18個)(各50gp相当)

さらに、キャラクターたちは以下のリストから魔法のアイテムを3つ選ぶことができる。ヴァリンとの交渉に成功してより多くの報酬を得られるなら、4つ選ぶことができる:

  • キャップ・オヴ・ウォーター・ブリージング

  • ダスト・オヴ・ディサピアランス

  • ジェム・オヴ・ブライトネス

  • ミスラル・アーマー

  • ポーション・オヴ・レジスタンス(電撃)

  • スリッパーズ・オヴ・スパイダー・クライミング

ゴールデン・ヴォルトのために

キャラクターたちがゴールデン・ヴォルトで働いている場合、ヴァリン・アックスブレイカーに鍵を届けなければならない。鍵の受け渡しが完了すると、組織は報酬としてキャラクターたちが選んだレアの魔法のアイテム1つ(君が認めるもの)を与える。翌日、キャラクターたちの元に選んだアイテムが届く。

いいなと思ったら応援しよう!