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2013年米国映画「サイド・エフェクト」鬱病と製薬会社と投資の闇。

https://www.youtube.com/watch?v=TVZ1sYRnAi4&t=148s

サイド・エフェクトとは、薬などの「副作用」のことです。
10年前のハリウッド映画ですが、鬱病・製薬会社・インサイダー取引を題材に、「現代アメリカ社会の異常さ」をサイコ・スリラーに仕立てた、めちゃめちゃ面白い映画でした。

現代社会の、何が闇なのか?
今の大金持ちは、どんな発想をして、どうやって稼ぐのか?
病気がビジネスになってしまった先進国=アメリカ。
アメリカの今が、日本の未来にならないよう、「搾取の手口」を学べる映画です。

あらすじ

インサイダー取引で収監されていた夫が、5年の刑期を終えて出所して来たエミリー。
夫婦生活の再開に心躍らせる一方で、エミリーは鬱病が再発してしまいます。
精神科医バンクスは、エミリーに新薬を処方します。
その薬には夢遊病を起こすという副作用があり、エミリーは、服薬時に夫を殺害してしまいます。
薬の副作用で心神喪失状態だったことを裁判で認められ、無罪になるエミリー。
無罪の条件として、鬱病治癒のプログラムを受けることが義務づけられ、引き続きバンクスが彼女の担当医になります。
しかしバンクスは、徐々にエミリーのある違和感に、気付いて行きます。

英国と米国における、精神科医のステイタスの違い。

エミリーの夫殺しについて、バンクスも警察から取り調べを受ける場面があります。
警察はイギリス系のバンクスに対し「なぜ米国で仕事をしているのですか?」と尋ねます。
その時のバンクスの答えが、なかなか興味深いです。
「イギリスでは精神科医にかかると、周りから病気だと思われます。
でも、米国では、応援されます。」

アメリカは、心の病に寛容な国なんだな…と思ってしまいますが、映画では、「精神科医にかかることが応援される国」の異常さが、この後、どんどん暴かれて行きます。

「大丈夫、私も鬱病になった事があるの」
「この薬は効いたけど、こっちの薬は吐き気が酷くてダメだった」
「この薬もあの薬も使ったことがある。もう効かなくなっているから、新薬を処方してください。効果がはっきり出る新薬を。」
「会社の入社面接があるから、落ち着ける薬を出して。」

…こんなセリフが普通に出てくると、「ん??この人たち、大丈夫?」と心配になります。
あらゆるメンタルの不調を、薬で解決しようとし、いつの間にか薬が手放せなくなっている、ごく普通のアメリカ人たち。
映画は、そんな米国社会の異常さを逆手に取り、凝ったスリラーを仕掛けてきます。

ちなみに、イギリス系の精神科医バンクスを演じているのが、自身もイギリス系のジュード・ロウ。彼に限らずハリウッド映画の俳優さんは、演技が自然でリアリティがあって、華もあって、ビックリします。(どうして日本の俳優さんって、演技が大げさで学芸会みたく見えるんでしょうかね…)

投資で儲ける富裕層。その秘訣とは?

アメリカ人の富裕層の職業として、「投資家」がありますよね。
「投資家」の人は元からお金持ちだから、情報がいっぱい入ってきて世間の動きが先読み出来て、有望株を沢山買えて、どんどん儲けてるんだろうな、いいな…
と思ったあなた。
そんな時代は過去となってしまったのかもしれません。

「世間の動きを先読みするんじゃなくて、自分が世間の動きを作る。」
「自分の持っている株が上がるように、世間に動いてもらう。」

どういう分野に投資するか?によって、操作する世間も変わります。
軍需産業やセキュリティ会社に投資するなら、戦争や紛争、テロや暴動。
外国株に投資するなら、その国に有利な貿易条約や政策を国会で通す。
…これらは、陰謀論として語られることが多く、どこまで本当か分かりませんが、第一次世界大戦や第二次世界大戦の人類史上最悪な戦禍の陰で、経済的に大いに潤ったのは、超大国アメリカでした。
ハリウッド映画や経済小説で描かれていることを何百倍かに希釈すると、実際の出来事に、近くなるのかもしれません。

本作は、戦争や仮想敵国は出てきませんが、今をときめく製薬業界を舞台に、どうやって彼らが鬱病で儲けているか?その裏側を描いています。

興味深かったのは、新薬のプロモーション。
鬱病の薬は、飲めば飲むほど効かなくなっていきます。
それが分かっているのに、患者は、今のしんどさを乗り切りたいから、常に評判の良い新薬を求めています。
製薬会社は、常に新薬のプロモーションを用意します。
精神科医は、その新薬を患者に処方すれば、製薬会社からインセンティブが貰えます。
患者も、プロモーション中の新薬は、無料で貰える仕組みです。
どんな副作用があるか分からない新薬は、医者も患者もちょっと怖いけれど、医者はインセンティブが貰えるし、患者はキャンペーン中で無料だし、お互い「…じゃあ、試してみようか?」と、簡単に乗っかっていきます。

製薬会社が、精神科医と患者をズブズブにしていく様子がよく分かります。

更に怖いのは、精神科医も患者も投資家も、みんな、薬がやばいことに気付いているんですよね。
だからこそ薬で儲けようと画策する人々は、「精神薬には手を出さない」。自分は服薬しないようにしているし、精神科医にかかることを応援している訳ではない…。
その様子も、映画では描かれています。
搾取される側になったら、負けということ。
薬でも何でも、ビジネスになっている事には裏があり、安易に騙されないよう、気を付ける必要があることを示唆してくれています。

勝てば大金持ち。負ければ丸裸。それが投資。

この映画では、「投資でボロ儲けした人」だけでなく、「ボロ負けしたその他大勢」の姿を、きちんと描いてくれています。
インサイダー取引がばれて収監されたエミリーの夫しかり、製薬会社への投資で儲けようとする登場人物しかり。

「これがバレたら、丸裸にされるのよ。」
そんな物騒なセリフを言うのは、「乗るかそるか」のアウトローではなく、高学歴で高収入、教養もあり、きちんとしたアメリカ市民に見える、都会の洗練された人達なのです。

投資はギャンブル。薬は依存症と背中合わせ。

スピリチュアル・リーディングでは、投資はギャンブルです。
絶対に止めた方が良い。
世の中に「絶対」と言える事ってあんまり無いと思いますが、そんな中でも投資とギャンブルだけは、本気で地獄への一本道だと思います。

投資なんて興味ないし…と仰るかもしれませんが、企業にお勤めの皆さんは、積み立てNISAやドル建て貯金、何ならFX投資などにも興味をお持ちの方も多いかと思います。
これらはみんな、投資=ギャンブルです。
平日せっせと働いて、休日マカオやベガスでバカラにつぎ込んでいる様なもの。

投資って結局、自己投資しかないと思います。
外国語や専門知識を学ぶことも良いんですが、「自分の心を自分で整えられる」事の方が、大事な気がします。

例えば、
・依存体質をなおす。
・薬やジャンクフードや化学調味料など、ケミカルな化合物を安易に体に入れない。
・家族や恋人や友達と、穏やかな時間を過ごす。
・物質的なこと以外で、自分が精神的に満たされることって何だろう?と考える。
…そういう地道なことに時間を投資することをお勧めします。




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