見出し画像

お宝 鑑定団

骨董品を鑑定するテレビ番組がある。
かみさんが好きで、気が付いていたら僕も見ている事がある。
・・・しかし

予想外の値段がついて出演者やかみさんが驚いているけど、実際はいくらで売れるのだろうと思っている。

うちに春日灯籠がある。確か奈良の春日大社の灯籠と同じ大きさで、結構高い値段を人から言われた事がある。

でもこれを売りたいと骨董屋に持って行ったら、ええとこ1/3の値段を付けてくれたら良い方だ。もしその骨董屋がその灯籠を欲しいという人を知っていて、すぐに売れると思ったら1/2の値段で買ってくれるという。
骨董品の売買はそんなもんだと教えられた。
その春日灯籠は阪神淡路大震災で壊れてしまった(笑)

テレビ番組で鑑定額で出演者が売りたいと言えば、視聴者の中で欲しいという人があれば連絡して買うのだろう。

僕は、時々ヤフオクで買う事もあり、骨董品の売買の仕方が変わって来たのを実感する。
その逆で、こんなん売れるのか!? 買う奴おるん? というモノが高値で売れる事もある事を経験している。

絵画の値段が下がって来たという。かつては作家に画廊がついていて、売りたい人がいたら画廊が引き取り、支援している作家の値段が崩れないようにしていたが、ネットオークションなどで簡単に売買されると、もう画廊は買い支えられないというのだ。

要は売りたい人と買いたい人が出会えるチャンスがインターネットやメディアで増えてきたという事だ。

曽祖母が持っていた大型の耳かきをたまたま見つけた人がいる。「お金に困っていないだろうけど、譲ってくれないか?」と言われた。
お金に困っている様に思われたら1/3か? と思ったがお断りした。
しかし数年後銀座の画廊がやはり売って欲しいと言ってきた。

そうなると大型の耳かきはいくらするのだろうかと興味を持った。そこで詳しい知人に相談すると、曰く因縁ストーリーを教えてくれた。
「価格はなんぼ?」と聞くとベンツ1台分ぐらいだった。

その後、実際に欲しがっている人と接点のある人と知り合った。そしてその時、欲しいおもちゃがあった。売ってしまうと値段が付き税金がかかるかもしれない。そこで欲しいおもちゃと交換してくれないか?という提案を接点のある人を通じて話をした。

「高い」という返事が返って来た。

その人が日本で一番高い値段を付けてくれるというか、欲しがっている人だと思ったけど、ベンツ1台分ではなかったなあと思った。(笑)

ある時、その人が貸して欲しいと言ってきた。一定期間展示をしたいというのだ。それはそれで問題が無いのでお貸しする事にした。

いくらの価格になるか分からない大型耳かき。僕にとっては曾祖母の形見の品というだけで価値はない。そしてうちに置いていても誰も価値を認めてくれる人がいなかった。それなら欲しがっている人のもとにある方が、曾祖母も喜んでくれるのではないかと考えた。

そこで一番最初に声を掛けてきた人に、思いを伝えどうしたら良いかを聞いた。

「お預けします」というらしい。なるほどと思った。

ちょうどクリスマス時期だった。展示会を終えて耳かきを返しに来られたので、「今日はクリスマスです。これはそちらにある方が良いと思うので、お預けします」と言った。
非常に感激しておられたたが、僕のつたない文章では表現できない。

後日、その人から有馬温泉に所縁のある品が送られてきた。耳かきの代わりに展示しているが、それから月日はたつが誰も何も言わない。
しょせんそんなものだと思うが、僕の物語の一つになっている(笑)

僕が欲しいものは・・・・

谷崎潤一郎の「猫と庄造と二人のをんな」の直筆の御所坊という名前が出て来る原稿だったら誰よりも欲しいと思う。
そんなもんだ。



よろしければサポートをお願いいたします。