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今できる「復興支援」とは?石川訪問報告

 2月16日、学生時代からの友人である、安田屋製菓の安田卓司社長に案内していただき、安田屋製菓の本社のある白山市から七尾市の方へ車で行き、少しの時間でしたが見させていただきました。

 七尾市は金沢からは車で1時間程度の距離にあります。和倉温泉がある場所です。位置的には能登半島の中部というか、能登島のある内湾側です。
和倉温泉は加賀屋さんが有名で、ホテル様式の旅館が数多く林立していますが、現在は全旅館が休業しています。
観光客はおそらく一人もいません。地元の方は見かけましたが、それ以外に人がほとんどいません。そもそも、七尾に来るためのほぼ唯一と言っていいルートである、のと里山海道では警察が厳重な検問をしており、県外ナンバーの車は止められ、何のために来たのか質問され、許可された上でやっと入ってこれるエリアです。現在でも避難している方がいる地域であり、空き巣、盗難が発生している報道もあり、当然のことです。
 住宅だけでなく、店舗や企業の入るビルも現在は倒壊の危険性もあり立ち入り禁止となっています。そういったテナントなどにはいまでも商品が置いたまま回収できていないそうです。

和倉温泉の中心地。誰もいない中源泉が沸いており湯気がたっていました。加賀屋旅館も休業中。他にも建物ごと傾いてしまったホテルや旅館もあり、取り壊すしかないような状況です。崩落の危険もあり中の商品も回収できないと安田社長。

 和倉温泉は、海岸にありますが、震源には面していない内湾だったこともあり幸い津波の被害はありませんでした。しかし、地面の隆起、亀裂がところどころで起こっており、建物の被害は程度の差こそありますが、無傷のところはない状況です。
 完全に倒壊している家屋、傾いてしまったマンション、壁が崩落したビルなどいたるところでそういった光景を目にしました。
 震災から約90日経った今でも、それが数日前かのような、そのままの状況という場所がとても多いという印象を受けました。もちろん応急処置はしてあります。それは東日本の震災のあとの光景でも見たブルーシートを被せた屋根や亀裂をアスファルトで埋めた路面などです。
 現在では鉄道は七尾駅までは運行していますが、それより先は現在も運休しており、公共交通機関はバスでしか行けません。
 白山市からは、のと里山海道を経由し県道60号を通って七尾市に入りました。のと里山海道は何も問題がありませんでしたが、県道60号はかなり路面が傷んでいました。隆起、陥没、亀裂などを応急的にアスファルトで埋めてありました。凹凸が大きい場所もあるので注意深く走らないとなりません。
 ライフラインについては、電気は通っていますが今でも断水が続いているところが多いそうです。確かに、七尾市内では、他県から応援で来ている給水車両を何回も見ましたし、テレビでも給水情報がL字枠で今でも流れてます。水は一番最後だと聞いていましたが、90日経っても解消はされていない状況です。

和倉温泉はこの海岸からの景色を楽しむため建物が海に面している旅館が多いですが、海岸の護岸はこのような状況で立ち入ることはできません。


ほとんど人のいない和倉温泉駅。復旧もままならず、ここまで来る電車はありません。

 一番被害の大きかった能登半島の北側海岸エリアである輪島市、珠洲市などの状況はテレビなどでも目にしていましたが、報道の少ないエリアの被害も甚大であり、「今後の復興の見通しは立っていない」という報道で聞く言葉の意味をこの目で見て、痛感しました。

 安田社長の会社は、旅館や土産屋に自社で製造したお菓子を納品していました。そういった観光向けの売上は全体の大部分を占めており、震災は大きな痛手となっていると言っていました。
今回、和倉温泉街、七尾中心部などを安田社長に案内してもらったのも、和倉温泉の旅館や、七尾にある道の駅は、卸先として日頃配送でよく来ている場所だったからというのがあります。
売上も大きかったと言っていました。しかし、旅館も道の駅も、建物、駐車場、道路ともに大きく被災しており現在休業を余儀なくされています。
(七尾市内でも、被害の小さいエリアはあります。飲食店、小売店舗、パチンコ店、カーディーラーなどが営業を再開して、一見すると日常を取り戻しているようにも見えました。)

道の駅の建物は地面が隆起したのか大きく波うち建物に入ることはできません。屋内も天井の崩落などの危険があるようです。


液状化の跡だと思います。ところどころに。


液状化、隆起、地面はがたがたです。

 安田屋製菓の本社や店舗のある白山市、そして、中心地である金沢市の被害はほとんどなく、製造販売は継続できています。それでも、石川全体への観光業は大打撃を受けており、今後もそれが解消されるまではまだまだ長い時間を要します。
 もちろん、戻らないということはないですし「復興すれば、東北がそうであったように復興バブルのようなものはあると思う」と安田社長も話していました。しかし、それがいつになるかまだまだ予想できないという状況でした。

 建設業に関しても少し状況を教えてもらいました。復旧工事に関しては被害の大きかった輪島市や珠洲市の方で仕事がたくさんあり、まったく追いついていない状況ですが、石川県内のそれぞれの地域も大なり小なり被災していたり、元来日常の仕事も人手がままならない状況でもあり、被災が甚大なエリアの仕事を受けられない状況だそうです。結果的に復旧が遅れているということです。

 これは過去の国内の自然災害の時にも感じることであり、当たり前のことなのですが、現地の状況は、実際に訪れないとわからないことが多く、情報の発信が重要だと感じました。
 ただ現在は、ボランティアの受け入れが少しずつ始まっているというようなフェーズであって、観光できるエリアには積極的に訪れても、被災エリアへは順次環境や受け入れ体制が整ってからというルールを守って、ということは念頭においておきたいと思います。

 私は、まずは自分がこれまでに関わったり、一緒に協力してくださる方と長期的、継続的な復興支援を行っていきたいと思っており、今回はその事前調査の一貫でもありました。

 安田屋製菓さんでは、ご当地のお菓子やラーメンなどを復興支援のために名古屋で販売に協力できないかなどいろいろ考えてきました。
(金沢で好評販売中の、石川の名産であるのどぐろを使った「のどぐろラーメン」はひとまず1ケース(20個)を仕入れてきました!食べてみたい方は言っていただければ差し上げます!)

 他にも安田社長の紹介で建築関係の方と次回は金沢で飲み会を企画しますので、これから石川があついです!

安田屋製菓株式会社
https://hipparimoti.co.jp/
雅風堂
https://www.gafudo.co.jp/


安田屋製菓の「雅風堂」ブランドの人気商品の「いちご大福」をいただいて帰りました!ありがとう!

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