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掌編小説

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2023年3月の記事一覧

【掌編】輝く

未曾有の災害だった。 発生後も余震が続き、事務所から現地へ赴くようお達しがあったのは、十分な安全が確認された四週間後。スケジュールの都合で、グループからは江原と僕だけが呼ばれた。 バスに乗り、東京から数時間かけ被災地へ。車内にはうちのトップスターである工藤さんと、売れている先輩が数名。そのほかは僕らのように若手で、グループでも四番手五番手の面子が間隔を空けて座っていた。 『悲しんでいる、苦しんでいる人が数多くいらっしゃる中、自分の無力さに腹が立つ日々が続きました。それで