【ピリカ文庫】水曜日の僕
水曜日が今週も来たので、僕は礼子さんの部屋で待機する。
エントランスにコンシェルジュのいる高層マンション。見晴らしのよい角部屋に、合鍵を使って入る。室内はモデルルームのように整然としていて、どこか無機質に感じるほど。退居時の清掃は僕らの仕事だが、流石にここまでは難しい。火曜日の担当はおそらくその道のプロだろう。
行きしなに買ってきた食材を、冷蔵庫に入れる。いつもカレーしか作れないけれど、礼子さんは美味しいと言ってくれる。日持ちがするのもよいところで、礼子さんの帰りが遅い日