【掌編】パラレルワールドは失せて
「もし僕が宇宙人だったら、どうする?」
いつもの食卓、いつもように君が作ってくれた料理を前に、いつも通りに二人手を合わせ「いただきます」と唱えた後で、僕はそれを放り込んだ。
「え、何?」
予想通り、君は怪訝な顔をする。予想通りなので僕は驚かない。味噌汁の椀を持ち上げ、口へと運びながら、続ける。
「もし、だよ。そういう並行世界に身を置いたと仮定して、どうする?」
「どうする、って何を?」
「そうだな」味噌汁を一口。美味い。「このまま予定通り、僕と結婚する?」
ぱちくり