また余計なものを
今日は、ほくろ手術の抜糸の日だった。
美容皮膚科は相変わらずの盛況ぶりだった。
ふと横に目をやるとキレイオーラを放つ人がいた。
(!!!)
ガン見したいのを我慢して
スマホを見るふりをした。
その人がお会計になった時に
なんとか自然にチラ見することに成功した!
何もかもが素敵だった。
少しゆるいパーマの濡れたような黒髪のショートカットに、シルバーの二連リングピアス。
深い緑の上品なサテン生地っぽいシャツに、白のジーンズ。バックも財布もブランドがわからないけど、上品で素敵なものだった。
表情はあまりわからなかった。睫毛が長い。
『凛』とした感じで素敵な人だった。
あまりにも印象が強くて、ずっとその凛さんの事を考えていた。
パン屋でもフワフワした気持ちで適当にパンを選び、100均の店に入ったものの、頭の中は凛さんでいっぱい。
(凛さんはこれ買ったりするのかな?いや、買わないだろうなぁ…)などとアレコレ正解がわからない思いを巡らせて、
結局、全く買う予定のなかった貯金箱を買って出て来てしまった。
10万円貯まると書いてある。
凛さんに出会ってなかったら、たぶん買ってない。
ここに500円玉をいれる度に凛さんを思い出して
自分の励みにしようと思うような、思わないような。
仕事に行っているはずの夫の声がこだまする。
「また余計なものを…」