ノイズ

彼女はよく鬱になる。

低学校のテストで点数が低かったり、低気圧だったり、みんなが笑顔の運動会に参加すると急に心が不安定になるらしい。

彼女は決まって「私の人生真っ黒になった。暗黒だ。」などという。暗黒は少々子供っぽい表現だが、要は全く希望がなくて綺麗に絶望で包まれているらしかった。

それを聞くたびに私は彼女を慰めた。論理的でない話の流れで無理やり彼女の長所を褒め、短所を無視した。自分では絶対に納得しないであろう言葉を無責任に彼女に浴びせた。

ただ、心の中では不謹慎ながら真っ黒は綺麗だと思っていた。全部が敵だったり、不安んだったらかえって行動しやすいのではないかと思っていた。

本当に汚い、取り返しがつかないのは白と黒とグレーが複雑ん混ざり合ったカオス的な状態だ。敵も味方も、正義も悪もない。誰も悪くないし、答えはない。そのノイズのような頭の割れそうな光景に比べれば、全てが真っ黒なのは、なんて綺麗なんだろうと思った。

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