去る者と残る者の話

去る者は前を向いて、もうこちらの気持ちなんか気にしていないようで
気にしていないというのが悟られないように、必死に取り繕っているのが手に取るように分かる。

残る者は、去る者の潔い切り替えの様子が羨ましくて、妬ましい気持ちを出すまいと必死に隠そうとしている。きっと目の色にも現れているから、読み取られてしまってるのに。

去るというタイミングはいつかは来るから、仕方ないのである。
去ることは1mmだって悪いことではない。喜びに気づこことも、後悔することも、新たな出会いに繋がることも、全て去ることから始まる。

ただ、残る者はただただ寂しいのだ。
送り出さなければいけないだけでなくて、その続く時間、自分の気持ちと向き合わなければいけない。残る者にとって、何か変わることがあるのか。

よく考えれば、自分はいつも去る側だった気がしていただけで
覚えているだけでも、見送ることはたくさんあった。
小学2年生の時に転校したみちえちゃん(名前は定かでない)、中学生の時に見送った祖父、高校で休職してしまった先生、大学生の時に事故で他界した友人、働き始めてから転職した人、、、

いつもどうやって自分の心を整理していたか、分からない。
でも、今私がこうしてるのは、ちゃんと残ってきたからだ。

去る者へ優しさを、残る者へ強さを。

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