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知床の「人」紹介vol.5~「競技としてのフリーダイビング」をやりきって、いつか必ず戻ると決めていた地元へ。知床の海とともに生きるフリーダイバー

※こちらの記事は2021年9月3日のInstagramより引用・再編集したものです。

知床・斜里町ウトロの出身で、地域おこし協力隊としてUターンしてきた高木唯さん。
当社に配属となり、2021年7月から私たちと一緒にお仕事をしています。
これまでの経験を活かし、主に総務・経理を担当していますが、フリーダイビング(呼吸のための器材を使わないダイビング・素潜り)の世界で活躍していたという一面も持ち合わせており、これまでの経歴がとても気になります。

過去のこと、地元に戻ろうと思った理由、今後やりたいと考えていること……改めて尋ねてみましたので、ご紹介いたします。

ウトロの漁師の家に生まれた高木さん。
お父さまが潜水士でもあり、物心ついた頃から海は身近な存在でしたが、小学生の頃にテレビ番組でシンクロ選手の小谷実可子さんがイルカと泳ぐ姿を見て衝撃を受け、「いつか自分もイルカと一緒に海を泳ぎたい!」と強く感じたそうです。

中学生になるとお父さまに連れられスキューバダイビングを始め、「自転車に乗るくらいの感覚」で泳いだり潜ったりする日々が始まりました。

「楽しかったけど、スキューバダイビングは器材が重いのが何より大変でした。中3のときにフリーダイビングで有名な選手が亡くなったとニュースで見て、そこで初めて器材を使わないダイビングの存在を知ったんです」。

町外の高校に進み下宿生活を送っていた間は海から少し離れてしまいましたが、それでも夏休みの帰省時には必ず海で過ごし、高校卒業後はダイビングを学ぶための貯金をするため地元に戻り就職した高木さん。
地元で4年間勤める中で本格的にフリーダイビングに取り組みたいと考えるようになり、沖縄で働きながら学ぶことを決心します。

沖縄でリゾートバイトの仕事をしながらの、念願のフリーダイビング。すっかり魅了され、リゾートバイト後はそのまま沖縄のダイビングショップで就職、経理を担当しながら、海中心の生活が4年ほど続きます。

「いつか必ず地元に戻るつもりだった」という高木さんはこの頃に一度地元へUターン。一方でフリーダイビングの選手として世界中の大会に参加したり、テレビドラマの水中シーンのスタントとしての仕事も受けるなど活動の場がどんどん広がり、多忙で地元にいない日が多かったのだとか。

そして2012年。

「バハマ大会に出たのですが、小学生のときに見た小谷さんとイルカが泳いでいる映像って、バハマの海だったんです。だから私にとってバハマは聖地で、この大会に出られたことで達成感がありました。競技としてずっと続けようとも考えていなくて、もうやりきった、という感覚でした」

ここですっぱりと競技としてのフリーダイビングは終わりにし、心機一転、福岡や千葉などで様々な職を経験します。

そして数年経ったのちコロナ禍となり、地元に戻るなら今しかないと決断、お仕事を探す中で弊社を知り、「観光地としても居住地としても選ばれ続ける未来を目指します」というメッセージに共感して応募に至った…とのこと。

「総務や経理の仕事を通じて会社のサポートをしながら、このメッセージの実現のために自分にできることを見つけるのが今の目標です。個人的には、地元の子どもたちが海で安全に遊べるような環境を作りたいとも思っています。それと、地元の文化とかおばあちゃんたちの昔ながらの知恵みたいなものもしっかり受け継いで伝えていきたいですね。最近はサーフィンも始めました。ダイビングとは体の使い方が全然違って筋肉痛になるけどすごく楽しいんですよ。あと憧れの小谷さんと一緒に泳ぐというのも大きな夢。いつか叶えたいです。あと……」

高木さんと話していると、公私問わず、「この場所でやりたいこと」が次々と溢れ出てきているのがひしひしと伝わって、こちらまでわくわくしてきます。

深い海の中まで潜ったときの話などは私にとって未知なことばかりで、海の見え方もなんだか少し変わるような気がしました。
知床の海といえば高木さん!となる日もそう遠くないかもしれません。高木さんがこれから知床でどんな活躍をしてくれるのか、ぜひ楽しみにしていてください。

オホーツクブルーがよく似合う


▼2022年8月1日追記
高木さんは現在も変わらず元気に当社で勤務中。
仕事以外では、ウトロの子どもたちが参加する「自然愛護少年団」の活動を通じて地元の子どもたちと関わったり、斜里町内へ毎月配布される「広報しゃり」内で「今月の斜里町」という連載をスタートさせるなど、ますますその活動の幅を広げています。
「今月の斜里町」は高木さんのnoteでも公開されていますので、ぜひチェックしてみてくださいね!

町内在住の女性サーファーにアドバイスをもらいながらサーフィンを楽しむ高木さん。かっこいいです