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人生の解像度を上げる習慣、1年の変わり目に「変わったこと」と「やりたいこと」を書き残す。

なんだかなあ。

大晦日の夜、ひとりふと言葉がこぼれた。バタバタと集まる賑やかな親戚も、お酒のつまみに流し見する特番も、翌朝に出てくる艶やかなお節もない。一回り下の従兄弟たちへのお年玉はどうやって渡そう。そんなことをふわふわと考えているうちに、しれっと時計の針は深夜をゆび指した。

生まれて初めて帰省をしない年末は、どこか地続きでふにゃふにゃな時間の狭間のように思えた。

・・・

ひとつひとつがなくなって初めて痛感する。お正月「らしさ」を作るのは、こんなにも手間暇がかかるものだったのだと。

いくら大人になっても親の前になれば子供の自分がひょいと顔を出して、こたつに埋もれながら猫を撫で続けるのが正月だった。そんなだらしない私をよそに祖母や母が恒例の食事を作ってくれ、時間をかけて仲の良い親戚が方々から集まる。そして随分大きくなったねぇとか、仕事はどうなのなんてたわいもない話をして、何となくそれぞれの生活へ戻っていくあの時間は、何とも言えない心地よさがあったと今になって思う。

それが、今年はすっかり取り攫われてしまった。

あまり外に出ず、大きな旅行もなく、人に会うことも稀だったこの一年は「大した印象がないのに、あっという間だった」と誰もが口を揃えた。やはり人生には誰かと大騒ぎしたり、無駄に遠くへ行ったりと心を動かすようなイベントが必要なのだと改めて思った。

でも、本当に何もなかったのだろうか。

365日も過ごしておいて、しかもまあまあ忙しかった気がするくせに「何もなかった」わけがない。目を見張るハレの日ではなくとも、今年はとりわけ美しい「ケ」を感じる瞬間が、在宅を余儀なくされたことによってこれまでになく研ぎ澄まされた。ゆっくり入れるコーヒーの匂いが、ふと家に差し込む日が、稀に会う好きな人たちの笑い声がこれほどうっとりしたことはかつて今まであっただろうか。

それは子供に拾った綺麗な小石のように、あの頃は見えていた「解像度」を取り戻させてくれる時間だったように思う。

だから今年はこれまで以上に、すごく丁寧に、私の「ケ」を振り返る時間をとってみようと筆を取った。年に一回のかけがえのない時間をここに書き残しつつ、あなたの美しい「ケ」に目をやるきっかけになれば嬉しい。

どうぞ、お付き合い下さい。

自分の変化を掘り起こす

ひっくり返ったなあ。

毎年、そう思えるこの瞬間がたまらなく嬉しい。以前noteでも書いたことがあるのだが、わたしは毎年年末に「この1年で変わったこと」をゆっくりと時間をかけて思い起こすようにしている。その1年で変化したものや環境、人とのつながり、心境、新しく挑戦したことをつらつらと書き連ねていくだけのものなのだけれど、これが存外にも面白くて「随分いい1年だったじゃないか」と思えるからなかなか堪らない。

近年は直近の振り返りを書き溜めたおかげで、寝ぼけた年明けの頭でもちょうど1年前の瞬間の変化と比較できる。そして何度繰り返しても、去年の書き残しを見るたびにちゃんと浦島太郎のような気分になるので「ちゃんと前に進んでいるのだな」という気持ちにさせてくれる。

自分の変化量やその時の熱をなるべく「そのまま」に残しておく、膨大な情報の海に流される昨今だからこそ自分の足元を丁寧に掘り起こす。その重要性は社会の変化も相まって年々高まっているようにも思う。

2020年で変わったこと

カレンダーを見直したり、案件を思い返してみたり、日々の自分のタスクを見直してみたりとさまざまだけれど、一つまた一つと自分の「変化」を見つける度に本当にうれしい気持ちになる。

なかなか思いつかないようだったらこんな項目を頭に入れつつ、あまり気後れせずに大きなことから小さなことまでひっくるめて書き連ねていけばいい。

・人生で初めて経験したこと
・場所や環境の変化
・新しい習慣
・初めて買った/使ったもの

さっそく、私も2020年で変わったことを50個ほどあげてみた。

両家で正月を過ごす
兵庫県に行く
生の蟹を食べる
日蓮宗の御祈祷に参加
灯油の配送サービスを利用
会社を辞めて独立
13インチのMacBook Proを購入
フルリモートでチーム開発
散歩が習慣に
コーヒーの飲み比べを覚えた
紙の本で速読
相方側の母の日、父の日を祝う
YouTubeを開始
死ぬほどYouTubeを見た
好きなYouTuberができた
ラジオ配信を開始
After Effectで編集
Adobe Auditionで音声編集
ガンマイクを購入して録音
コンデンサーマイクを購入して録音
動画編集のパートナーを見つける
ロゴ制作を依頼
Youubeが収益化
本の出版が決定
パートナー先の採用プロジェクトに参加
事業の予算計画を引く
箱根本箱に宿泊
ワーケーションにトライ
ストゥブを購入
カボチャの煮付けを作る
1週間連続キャンプ
北アルプスに登山
山岳用テントを購入
冬山装備を購入
妹と大学受験対策
住んだことのないエリアに引っ越し
大家さんに挨拶
植物を集めた
植木鉢を集めた
不眠症になった(そして治った)
新しい税理士さんと契約
YAMAHAのキーボードを購入
楽譜を購入
コード進行を練習
東京で年越し
駄菓子の仕入れ
TACTIVEの新サービスリリース
自分で保険料を払う
源泉徴収者になった
好きな漫画ランキングを更新した

2020年の中でも印象的だったのは独立をして会社を辞めたこと、YouTubeを通して動画での発信を始めたこと、そして初めての本を出版したことの3点に尽きると思う。

独立がもたらした変化

まず一昨年の2018年の末に「30になる前にやり残したことを一度全部やろう」と一新発起し、独立する方向に人生の舵を大きく切った。大好きな会社であり思入れのあるチームだったからこそ本当にいろいろ考えたけれど、自分が子供を産むかもしれない未来を見据えると自分が親になる前に「不確実なものをできるだけ潰しておきたい」という気持ちがかなり強かった。

そして当時、本当に快く送り出してくれたチームや人生の先輩たちがいまだに心の支えにもなっている。正直、独立してから悶々とした日々もあったし何度かしんどい山場が続いたこともあったけれど、どうにか折れずに自分を奮い立たせることができたのはその時の想いに報いたいという意地があったからだと思う。

あと素直に有言無実行は最高にかっこ悪いので、負けず嫌いの私としては方々に宣言をしたのはなかなかよかったと思う。

本当にいろんなご縁を繋いでいただいて仕事は途切れることもなく、新しいことにたくさん挑戦させてもらった。そして自分名前で仕事を受けていく中で会社員時代以上のお金を稼ぐことができたのは本当に大きな自信になった。

まだ辞めた理由の本丸でもあった事業開発は準備にかなり時間がかかってしまいリリースできずに年を越してしまったけれど、年が明けてようやく大きな動きが進みつつある。

またお金を稼ぎながら物事を立ち上げること、そしてそのための時間を確保するのは本当に難しく、自分のコミット時間やキャパの不足感がもどかしく情けなかった。けれどそのもどかしい時間を通して改めて資金を集める意味や、そのありがたみを改めて痛感する機会となった。

今年はドライブかけて行くので、お楽しみに。

YouTubeがもたらした変化

加えて今年はなんと言ってもYouTubeをはじめたのは視野を広げる意味であまりにも大きい経験となった。

まだ立ち上げてから10ヶ月、仕事をしながら手探りの更新ではあったけれどおかげさまで現在はチャンネル登録者も5000人を突破。アナリティクスを見ていると1万人への道のりもそう遠くないように思えるとことろまできたのは自分でも本当に驚いていて、そして感謝しきれない。

初めて自営業になり、同時に圧倒的に自分で自由な時間を組み立てられるということで思い切って動画発信を取り入れてみることにした。2018年までインプットもアウトプットもテキスト中心だったところから徐々に動画を見る習慣が加わり、職業柄もあって日増しに見る目が分析よりになってきた。

こうしたら数字はどうなるんだろう、どこまで計算してやっているんだろう。もっともっとメディアの中を深く覗いてみたい、体感してみたいという好奇心が溢れたのが2020年の年明けだった。

自分の声や顔を晒して発信をするという行為はTwitterやnoteの比ではない羞恥心を必死に押さえ込みながらのスタートだった。しかし動画編集も改めて勉強してみるのは本当に面白く、初めてデザインの勉強を始めた時のような高揚感だった。

そしてやればやるほどメディアの中の熱量、そしてクリエイーターの計り知れない労力を思い知った。ちょっと大袈裟かもしれないが「ちゃんと続けられたら、半分勝ったも同然」とネットで聞いたこともあったが、個人的にはあながち嘘ではないなと思った。

特に初期の1000人に到達するまでの時間は永久のように長く、膨大な労力に対して反応がほとんどないのはいいねがつかないツイートとは全く異なる投稿体験だった。

結果的には途方もない労力がかかったが、視聴者の層や文化の違い、広告の観点など全く新しい目線で動画メディアを学び直す機会となった。これはいち視聴者だったら感じることのできない、テキストメディアには全く見られない別物の情報を生々しく勉強する機会となった。この学びと知見も、別の機会にたっぷり書き尽くしたいと思う。

そして今年は1万人目指して頑張ります、よかったらチャンネル登録もよろしくお願いします(笑)

本の出版がもたらした変化

Twitterでも報告させていただいたけれど、noteを通して初著書「あなたの24時間はどこへ消えるのか」の発売がSBクリエイティブより出版されることが決定した。これまでnoteで書き溜めてきた「習慣」を軸に、体系的に時間を増やすノウハウをまとめた集大成の書籍に仕上がった。

今回はnoteのディレクター志村さんが私のnote記事を出版社に紹介してくださり、それを読んだ編集者(後の担当さん)が猛烈に企画をプッシュしてくれたおかげで今回の出版が決まった。

担当さんとはコロナ前に一度リアルで面会をしていたが、その後に緊急事態宣言になってリモートだけの打ち合わせが続いた。思うように企画が進まずもどかしい時期もあったけれど春先から本格的に始動し、夏頃に企画会議に通って猛烈に執筆する秋を過ごした。

また今回がSBクリエイティブとしては初のnote出身の本であり、かつ私にとっても初著書。これにより、私は(勝手に)とんでもないプレッシャーに襲われ、それはそれは気が気でない執筆生活を送った。今思うと笑い話だけれど、夢の中にまで原稿が出てきて自分の書いたものがぐるぐると頭の中で混ざり合った。原稿を書いては「これでいいのだろうか」と不安になって消し、また書いても「話がまとまっていない」と消し、自分の書くものが合っているのかだんだん訳が分からなくなっていた。何がなんでも読み手に「価値」のあるものに仕上げたい。そう思うたびにわたしはがんじがらめになっていった。

そして悩み過ぎた結果、なんと生まれて初めての不眠症に陥った。

幸いすぐに病院に行って完治したけれど、眠れない日々は筆も進まず不安で不安で仕方なかった。一冊という単位で筋を通して情報を伝える難しさ、同時に面白さを身に染みて経験させてもらった。そしてこれを何年何十年と続けている本業作家さんは、本当にいい意味でバケモノなんだなと痛感した。

しかし書きもの好きとしては「死ぬまでにやりたいこと」の一つでもあった「出版」が20代で叶ったことは、正直未だに信じられない。けれどきっと、人生の中でも大きな分岐点になるのではないかと思うのは決して気のせいではないと思う。

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(おまけ)環境がもたらした変化

おまけに、会社を辞めたので自宅で働くようになりいわゆる「事務所兼自宅」という環境に身を置くというのはやはり新鮮だった。

寝ても覚めても「自分の家」にいる不思議さ。

根源的にはチームで働くことが好きなので寂しくなかったかと言われると半分嘘になるけれど、ある程度は1人の時間がないと心身が徐々に疲れてしまうタイプなので総じて疲れにくい生活になったのはとてもよかった。むしろ「誰かに会う」という行為自体がご褒美のようなものになったので、稀に会う友人や仲間の話が本当に楽しいし会えるだけで幸せだった。

他にも自宅ならではのメリットで完全に疲れる前にさっと昼寝をしたり、仕事の合間に買い物や散歩を罪悪感なくしつつリフレッシュできるのはとても良かったと思う。通勤時間がないので睡眠の時間や質を気をつけやすくなり、基本的にずっと調子がいいので日中の集中力はかなり上がったし体調も崩しにくくなったと思う。

さらに環境面でいうと相方の仕事の都合で引越しを行い、都内ではあるがこれまでまったく縁のなかったエリアに拠点を移すこととなった。

大学は八王子だったのでどちらかというと西に縁がある4年間だったし、社会人になってからは会社の近くに引っ越して死ぬほど働いたのでほぼ世田谷区、渋谷区で生活をしてきた。つまり東京の「西半分」がこれまでの自分にとっての「東京のイメージ」を形成してきた要素であり、いまだに霞ヶ関や上野、浅草など東側の土地勘や位置関係にものすごく疎かった(強いていうなら上野の美術館や博物館に足を運んだことぐらいだろうか)

今住んでいる街はとても落ち着いていて、チェーン店も少なめ。そして夜になるとちゃんと眠る街。該当広告やパッと目を引く流行りの店がないからか、元々控えめだった物欲が拍車をかけるようになくなった。代わりに手ぶらで歩き回る散歩や、見晴らしのいい場所で空を眺める時間や、家の植物を愛でる時間がものすごく癒しになっているし「生きているなあ」としみじみ感じる。

「東京って、こんな顔があったんだ」

昼休みの散歩や、土日にフラッと数駅隣の駅に立ち寄るたびに驚かされる。渋谷や新宿、六本木は24時間とんでもなく艶やかで刺激に満ち溢れているけれど、そこには美しい東京がひっそりとたたずんでいた。

知らない間に私は、自分の「いつも」に絡められていた。当たり前だけれど、ちょっと視点をずらせば10年以上過ごしている東京にも「知らないこと」が溢れかえっている。私の東京冒険の書は、まだまだ序章に過ぎなかったようである。

居心地のいい「場所」もいいけれど、まだ知らない土地や場所へどんどん踏み込んでいく。そんな1年にしたいと思う。

2021年でやりたいこと50

最後に今年「2021年でやりたいこと50」をまとめてご紹介し、新年の締めとさせていただこうと思う。文字通り、今年は100個ではなく50個に厳選しているのが大きな特徴ともいえる。

自分の欲望に耳を傾けるのが年々上手くなってきているのに加え、平均して毎年50個前後の達成度合いに落ち着く傾向が見えてきたので「今年は絶対全部やりたい」という温度感の高いものに絞り、1ヶ月単位で取り組むものをスケジュール化してタスク管理に入れこむ実験を始めてみようと思う。

鬼滅の刃を全巻読む
ゼルダを全クリする
ダウンを買う
駅前のカフェに行く
冬用マットを買う
プリンターを買う
ガンマイクを買う
ハッピバースデイを余裕で弾く
ハードディスクを捨てる
ソロキャンする
持株を売る
配当株の調整
サービスリリース
髪を切る
表銀座コースに行く
裏銀座コースに行く
雲の平にいく
沖縄の離島に行く
スカッシュする
外でクライミングをやる
九州の白鳥山に行く
青ヶ島に行く
日本でダイビングする
屋久島に行く
アコースティックギターを習う
本の返却
会いたい人リストを作る
長野に半月移住する
YouTubeで月収○○万円を超える
中国語の本をやり切る
会社を設立する
ツイッターのフォロワー1万人
UIアートを作る
個展を開催する
モニターアームにする
机の配線をなくす
好きな植物を集める
不要な画材を手放す
平日をベジタリアン食にする
絵を実家に持ち帰る
マタニティー検査を受ける
脱毛する
月1でnoteを書く
Notionプロモーション
LIVE配信をする
照明を買う
New Macを買う
Sonyの一眼を買う

やりたいことをやりきる、それを体現する1年にしようと思う。

変わっていく、ということ。

それは恐ろしくもあり、同時に心躍るものでもある。人はどうしても変化に弱い、できれば変わりたくないのが本能だ。現状維持バイアスはどこまでも私たちの周りに這い回り、しつこく「このままでいいか」と囁いてくる。

だからこそ襟を正し、私は今年も「変わったこと」を書き出して自分に「やったね」と笑いかける。変わっていい、そう思うのは思ったより勇気がいることだけれど、その小さな変化を積み重ねた先にある新しい景色を目指して。

今年もどうぞ、よろしくお願い致します。

ではまた( 'ω')スワーン

#note書き初め

読んでいただいただけで十分なのですが、いただいたサポートでまた誰かのnoteをサポートしようと思います。 言葉にする楽しさ、気持ちよさがもっと広まりますように🙃