嫌がらせ目的でツイッターに貼られたスクショを著作権侵害で差し止めた話
炎上後の事務処理で一つ大きな山が片付きました。
炎上は炎上として、嫌がらせ目的でツイートやブログのスクリーンショットを撮って勝手にツイッターに貼り付ける人がいたので、
「いや、アイコンとか写ったままだったら著作権侵害だからね?」
ということで、通報などしておりました。
そして、一部は著作権侵害で差し止めたのでちょっと内容をまとめてみようかと。
ネットでいじめや嫌がらせを受けているという人の参考にでもなれば幸いです。
炎上の経緯とその後
もともとのきっかけは私が著作権を所有するキャラクター(正確にはイラストレーターさんに描いて貰ったもの)をYouTubeで無断使用した人がいて、著作権侵害で差し止めたのがきっかけです。
配信で許可なくキャラクターを利用した上、仕事の内容を批判し、風評を流す内容も含まれていたので即対応、配信中に差し止めました。
ところが、差し止められた人間に逆恨みされて更に悪質な動画を作られ、再度著作権侵害で差し止め。
悪質な動画にいいねやのんきなコメントをしている3名に「著作権侵害をしている動画にいいねをつけているのですが、理由を聞いてもよいですか? 内容によってはブロックします」といった趣旨のメッセージを送ったところ、1名がそのDMを晒したため、炎上いたしました。
炎上を大きくしたのがその後のSNSに関する法律の記事を書き、スイスでいいねだけで有罪になった例などを取り上げたところ、恣意的な誘導が見られる、法律に関して誤った理解があると指摘を受けさらに炎上。
記事は削除、更に謝罪の仕方もまずかったので更に炎上しました。
「扱いに慎重になるべき情報を、迂闊に扱ってしまった」
のが大きな問題でしたね。他にも反省するべきことは多いのですが、今回のお話は別。
問題は問題として、許可なくツイートやブログのスクリーンショットを切り抜きでTwitterに張り付け晒し行為を続けるとか嫌がらせをするのは話しが違うので、各種通報などしておりました。
各種動いてアカウント停止させたり、画像の差し止めさせたりとか結果出してきました。
長いので2ヶ月かかりましたけどね…
DMの晒し行為は名誉毀損に該当
さて、DMの内容で嫌悪感持つ人もいるでしょうが、正直DMの内容は一度脇におきます。
今回の問題は「個人に宛てたメッセージを許可なく公開した」ということになるからです。
というのも、十分な理由なく公開を行えば意図的に悪い印象に誘導したりできるから。
DMなんかは事前の関係性などが重要になる上、公開を許可していない情報を無断で不特定多数の目に触れる場所に晒せば、想定を超える悪い影響が起きる可能性があり、しかもその損失を回復することが困難であることから内容が真実であっても刑事責任が問われる可能性があります。
名誉毀損は嘘の情報だからNGではなく、真実の情報でも成立します。
具体的な名誉毀損はこんな感じです。
刑法230条1項(名誉毀損)
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
あ、ちゃんと日本の法律で、刑罰があります。民事だと慰謝料払って終わりになりますが、前科がつくこともあるので注意。
そして、名誉毀損には例外があり、公益に関する情報などは罪に問われな場合があります。
(公共の利害に関する場合の特例)
第230条の2
1 前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には,事実の真否を判断し,真実であることの証明があったときは,これを罰しない。
2 前項の規定の適用については,公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は,公共の利害に関する事実とみなす。
3 前条第1項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には,事実の真否を判断し,真実であることの証明があったときは,これを罰しない。
ざっくり解説すると、
公益(社会的利益)に関するもので、公益を守るために真実の情報を開示した場合は罰しないという感じです。
政治家の不正や、犯罪に関する情報なんかが該当します。
芸能人のゴシップなんかはアウトな場合が多くて、週刊誌とかは事前に芸能事務所に確認しているのが一般的です。確認取らずにやって名誉毀損で敗訴したケースなんかは割とあったりします。
ゴシップとかは公益に含まれないのもポイント。
犯罪も例外規定に含まれますが、犯罪だと思って誤った情報を流せば情報を流した側が名誉毀損などに問われるケースがあります。
より詳しく情報をチェックしたい方はこちらの記事をどうぞ。
ちなみに、私はただのライターなので、DM晒しても公益目的にはならないです。ブロックするしないは個人の自由の範囲で、雇用関係などもないのでパワハラなども該当しません。
脅迫したといった事実もありません。
また、公益目的の場合は問題定義などを行い情報を整理して提示する必要がありますが、説明責任は果たされておらず、恣意的に悪意のある情報を流し続けていたので公益目的からも外れます。
Twitterの規約違反でもあるため、一部ツイートは規約違反で削除されています。
Twitterは規約で不法行為を禁止しているので、他人を攻撃する目的で使えばアカウント停止や訴訟リスクなどを背負うことになることに注意といったところです。
TwitterでDMを晒された場合の削除方法
実際に問い合わせて、DMをさらされた場合の削除方法もチェックしてきました。
Twitterのヘルプセンター→問い合わせをする→違反報告→個人情報の投稿について報告する→許可していない画像や動画を選択→住所指名や問題の詳細を入力&署名→問い合わせ後身分証明証の提示を求められたら画像を添付して返信
とりあえず、晒し行為や許可をしていない画像のアップロードなんかは軒並み削除できますね。
スクリーンショットなどを使った晒し行為の場合は?
Twitterでブロックを多用していたこともあり、「ブロックされていて見れない人のために!!!」と、Twitterのスクショを張りまくっている人がいたわけですが……
ひどい物は、
ツイートの報告→不適切な内容を含んでいる→特定の人物にいやがらせをしている→自分→ツイートをまとめて報告
で、一発アカウント停止になりました。
スクリーンショットを取るのは自由なのですが、その中にアイコンなどの著作物が写ってたらどうなりますか? という話で。
一応、引用や、作品作りの中で偶然写りこんでしまった場合など著作権侵害に問われない例外はあるのですが…
嫌がらせなどを目的にした利用は著作権侵害が成立する余地があります。
また、Twitterの場合、著作者の許可なく著作物を利用する場合は、フェアユース(公正使用)ポリシーに従う必要があります。
フェアユースポリシーは公益などを目的に著作物を利用する場合に許可をとらなくていいという例外規定ですね。こちらは米国基準になります。
より大きなくくりで、著作権とDMCA(デジタルミレニアム著作権法)を知りたい人はこちら
フェアユースポリシーから大事な部分抜き出すとこんな感じです。
著作物の特定の利用がフェアユースにあたるかどうか、最終的に判断するのは裁判所です。裁判所は、フェアユースの議論を分析する際に、次の4つの要素を検討します。
利用の目的と性格
元の著作物はどのように利用されていますか、新しい利用に営利性はありますか?変容的利用とは、元の著作物に何かを追加している利用を意味します。例えば、解説、批評、教育的な説明、文脈の追加などです。変容的な、非営利の利用はフェアユースと認められる可能性が高くなります。
複製された著作物の性質。
複製された著作物は何ですか?事実的著作物ですか(例:歴史的な出来事の記録)、それともフィクション(例:小説またはハリウッドの大ヒット映画)ですか?事実的著作物の利用は、フェアユースと認められる可能性が高くなります。
複製された部分の量と実質性。
複製された部分の量は著作物全体のどれくらいですか?短い抜粋を複製することは、著作物全体を複製するよりも、フェアユースと認められる可能性が高くなります。
複製された著作物の価値に対する影響。
複製することで、実質的にその著作物の代替品や代わりとなるものができてしまい、著作物の潜在市場に悪影響を与えるでしょうか?そうであれば、その利用は恐らくフェアユースではありません。
フェアユースの判断はケースバイケースで行われ、フェアユースと認められるかどうかを判断する明確な基準はありません。著作物の特定の利用がフェアユースであるかどうか確信が持てない場合は、弁護士に相談することをお勧めします。Twitterは、あなたの利用がフェアユースと認められるかどうかを助言することはできません。
とまぁ、こんな感じで…
Twitterは「白黒つけるのは裁判所」ですと言っているわけだったり。
理由は、掲載者の権利と、もともとの権利者の権利が対立する場合、Twitter社が迂闊な判断すればTwitter社が訴えられて賠償問題に発展する可能性があるからだったりします。
私の場合は晒し行為や嫌がらせ目的の利用は公益目的の物ではないと確信してたので、実際にTwitter社に著作権侵害の申告を行い、差し止めに成功しています。
ただ、迂闊にやると裁判の費用を請求される仕組みになっているので、著作権侵害かどうか良くわからない人は別の方法で申告するのをおすすめします。
利用するのがDMCAの枠組みである関係上、相手に連絡先や住所などが知られることになるので嫌な人は弁護士とか代理人を立てましょう。
今回は手続きから差し止めに2ヶ月ほどかかってますので…スピード感が欲しい人にも辛いです。
以前、無断でキャラクターを使用した動画を差し止めたときは即日止まっているので、わかりやすく悪質や侵害かどうかわかるで判断は変わるようですね。
因みに、Twitter社の規約(米国基準)と、日本の民法、刑法の話はそれぞれ別になりますので、画像の削除だけしたいのか、訴訟を起こしたいのか、警察に逮捕して欲しいのかで相談すべき場所が変わります。
まとめてアドバイスくれるのが弁護士なので、良くわからない人は弁護士に相談からで問題ないです。弁護士に相談して、民事、刑事両方で追及していくことなんかもできますしね。
Twitterの著作権侵害の訴えが通るとどうなるのか?
こんな感じになります。
ツイートは削除されませんが、メディアが非表示になります。
一瞬で加害者と被害者が入れ替わる可能性があるのが情報の世界なのでアイコンやID、個人の特定に繋がる情報、著作物と認められる物は消しております。
ツイートの一部も消していますが、丁寧な説明や問題定義もなしに著作物の一部をスクリーンショットでさらされてましたので…
異議申し立てによって再度画像が復活する可能性もあるわけですが、ツイートが削除されないという特性上、本人が気づいて削除するまで「晒すつもりが自分が著作権トラブルを起こした証拠を残すことになる」のは良くできているなと。
そもそも何でスクリーンショットを使うの?
荒らし界隈だとツイートを削除されても残るようにとスクリーンショットを使うことが一般的だったりするのですが…
著作権侵害などで差し止めできること、内容によってはアカウントの凍結などの措置がとられることは前述の通りです。
ブロックされている人間が複数アカウント使って画像取得したりもありますが、ネットで見られる物はフリー素材ではないんですけどね…
ちなみに、ツイートをまとめるトゥギャッターなんかもありますが、恣意的に悪評流したり、ツイートの意図と違う引用をしたまとめは規約違反に該当するので割と普通に削除申請が通ります。
著作権侵害を報告する方法
Twitterのヘルプセンターから報告が可能です。
申告には、氏名・会社・肩書き・メールアドレス・住所・電話番号、著作物に関する情報が必要になります。
枠組みとしてはDMCAでの申告になるため、YouTubeと同じ仕組みと考えて問題ないです。
当然署名なども必要になります。
裏話をするともともと通報の種類は特定の人物への嫌がらせを選んでいたのですが、「著作物が含まれています」という内容で送ったところ「著作権には厳しく対処するので送りなおしてください(意訳)」とTwitterさんに言われて送りなおしたなんて話もあったり。
繰り返しますが、ガチの裁判などに使われる情報になりますので、虚偽の情報は一切NGです。
異議の申し立てが可能なのもYouTubeなどと同様ですが、住所や氏名を知られることになります。
著作権侵害は普通に刑事罰があるので忘れないようにしましょう。
著作権侵害は犯罪であり、被害者である著作権者が告訴することで侵害者を処罰することができます(親告罪。一部を除く)。著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金などが定めれれています。
なかなか問題が目に触れないのは親告罪(本人が申告する必要がある)だからで、著作権者を攻撃するようなコンテンツを作ったり、勝手に改変したりしたら最悪逮捕されます。
著作権に関する意識は人によって違うので、「自分的にはOK」が通じない場合があることは理解しましょう。
で、どうしても使いたいのであれば許可をとるか、引用などの基準を満たすことは大切です。
あくまで一例で全てが著作権侵害になるわけではない
ここまで書いてきましたが、当たり前のことですがほんの一例にしか過ぎません。
スクリーンショットを使われたからといって全てが著作権侵害になるわけではなく、ケースによって変わります。
私の場合は
「嫌がらせや晒し目的で使われた」
からであって、ファンアートなどを取り締まる気はありません。
あとは事実でない情報を流すコンテンツやプライバシーの侵害に該当するコンテンツの削除依頼なんかもしてて、酷い物に関しては警察に相談中です。
どの件に、どんな対応をしているかは結果が出るまで公開するつもりがないです。
さすがに学習したのですが、自分が正義だと思っていると各プラットフォームの規約や法律も無視しがちで、そもそも自分が問題を起こしていると自覚していないケースが多い。
私も頭に血が上ってやらかしてしまったので反省してますが、それはそれ、これはこれなので必要な対処があれば対処していきます。
実際、規約違反は規約違反で通報からアカウントの凍結やまとめの削除まで持っていった話が結構できてしまいましたので…
炎上後の情報発信できる人は少ないと思いますので、今後も事例作ったら報告いたします。
それではまた~
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