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010_映画を観たあと、フワフワの頭で外の飯を食うチル日

人類、休息が足りない

 「皆さんが実践しているストレス解消法はありますか?」
 職場に来たメンタルヘルスの講師が、研修を受ける職員へ問いかける。手元の資料には「ストレス解消法」なるものの例がたくさん記載されていたが、特段ピンとくるものが無かった。というか、趣味をストレス解消の道具だと思われたくない逆張り思春期まっさかりの私は、わずかながらの反抗心を持ちながら話を聞いていた。「信頼のおける仲間と会って話そう!」「愚痴を全部聞いてもらおう!」なんて書いてあるからなおさらだった。(それができたらこんなに人生苦労していないので……)こういうところがいつまでも子供のままで困ってしまう。どうしようもないな君は……ってドラえもんに言ってほしい。

 休息だのストレス解消だのがあまりにも苦手な私は、特段これといってリフレッシュ方法を持ち合わせていなかった。強いて言えば「人と会わない」「外出の予定を入れず、徹底的に一人で過ごす」とかなのだが、ごくまれに努めて「脳みそのリフレッシュをする」ことがある。

お一人様、楽しすぎる

 このリフレッシュを実行するのは、「次の日に予定がない平日夜」かつ「映画を観に行くタイミング」だったりする。(映画は趣味娯楽だから!!!ストレス解消とかじゃないんだから!!!ほんとうなんだから!!!(弁明)(言葉の綾)(ニュアンス違い))
 例外は、押し付けられ残業で退社がビリになった日の腹いせとかだったと思う。理不尽を許すな。

 で、最近おすすめされて気になっていた映画があって、やっと時間が取れたこのタイミングで観に行こうというアレだった。

 本筋ネタバレのない遠回しな感想だけど、最近自信をもって行動するというか、ズンズン前に進む心意気みたいなものを忘れていたというか、「どうしよう、失敗するかも」みたいな不安を伴った考え事をしすぎる生活……もとい性格なので、ポッケちゃん(今作の実質的な主人公)の熱量とポジティブさにまんまと心を打たれてしまい、めそめそ泣きながら映画館を後にした。アツすぎる。おすすめしてくれてありがとう。やはり信ずるべきはフォロワー。
 いい映画から受け取ったものってずっと自分の中に残り続けるから、今回受け取ったこれも大切にしようと思う。もっともっと元気だしていきたいね。

いざ、飯へ

 映画の後すぐ、ぼんやりした頭のまま飯屋へ車を走らせる。一人だからゆっくり自分のペースで衝撃を噛み締められるのが一人映画のいいところだと思う。
 だいたい映画が終わった後って全く頭が回らないので、でろでろの軟体動物のかたちをしてファミレスに入る。この「全く頭が回らない状態」が、私にいいかんじの休息を与えている……と思う。ここまでしないと考え事がやまないからだ。すっごい身体に悪そう。

 胃腸が弱く、特段食い物に頓着のない実家暮らし私にとって、外食というだけでも十分非日常なのだが、こういう時はちょっとだけ贅沢めに注文をする。将来への不安も、今日職場であった出来事も、見直さなきゃならない計画も、明日のカレンダーも全部全部無視して、それでもさっき見た映画のシーンが途切れ途切れに思い返される中、ただ目の前に出された食い物と向き合って過ごす。
 今回はサイゼリヤへ行ったので、ミラノ風ドリアとチキンのサラダ、そして羊の……なんか羊の……串肉みたいな……アレを食べた。食い慣れない味だなと思いつつ、脳みそは新感覚に喜んでいた。ミラノ風ドリアより高いな?!と一瞬怯んだけど、あの時確かに私は軟体動物だったので、たまにはこういう暴挙も許されるということだ。

 人間、やっぱりお腹が満たされると多少は頭がスッキリするらしく、そのままのろのろと家へ帰った。土曜も日曜も早起きしてやることをしっかりやらないといけなくて、軟体動物のままではいられなかった。でもあんまりフヨフヨしていてもメンタルを崩してしまうので、こういう過ごし方をする日はほんのたまにでいいのかもしれない。羊肉もたまの贅沢だったから美味かったのかもしれないし。いや、すごい美味しかったよ。おすすめです。

 こういう何気ないことも私の大切な時間なので、やはり「ストレス解消法」と名前を付けて呼びたくないな……と元気に逆張りしつつも、限界を迎える前にまたやっておきたいなと思った。考えすぎていつも全速力ダッシュしがちな脳みそに対する、ちょっとばかしのリラックス要素になったらいいな。
 願わくば……もうちょっと休憩することを……覚えてほしいな……。

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