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毎日、上田あつみさんの曲紹介32曲目『MONSTER』

上田あつみより2020年12月1日リリースされたNEWsingle。
彼女が10年前に書いた物語テイストの楽曲で、MVでは稔絵(じんかい)氏によるアニメーションによって物語を追いつつ、聴きながら観るということが可能である。

今、彼女の手から放たれたのはいつかの物語 
それは「MONSTER」という形で姿を現した。

物語のことやそれを観て思ったことを綴っていこうと思う。

まずはなんとも奇っ怪で物騒でふさふさな怪物が物語の主となりこの物語を進めていく。
時代は遠い物語との書き出しなので未来なのだろうか、いやそれとも遡る遠い話なため過去か。どちらにせよ、このような怪物が森にいるようだ。

彼は他人の不幸を好み、幸福は嫌う。
このフレーズだけでこの森においての悪として才能が開花し、孤独という立派なポジションを確立してしまう怪物。なるべくしてなったというべきかなりたいのかどうなのか。

場面は移り、森の運動会で頑張って走っているプレーリードッグを、その何10倍ものサイズを誇っている怪物は口笛を吹きながら追い越し、それだけでは空き足らずに罵倒まで足し算してしまうという劣悪なヴィランっぷりを余すこと無く聴き手に伝えてくる。彼の行動にはお腹は満たされるばかりである。
さらにばか笑いもつけてしまう曰く付き。彼に隙はない。

次のフレーズ「森の奥の精霊よ、僕だけをみてください、あいつよりとても強い」とある。
どうやら彼にも盲信している対象いるため、その対象である精霊に認められるために自らの力を誇示しているとのこと。
強さとは、様々な受け取り方などといった要素によって変わってくるものだと思うが、この森での怪物による物差しでは「力」こそすべてだと、そう意味を汲んでいるらしい。
それにより君たちは頑張っても無駄で、到底敵わないから楽にしてときなと、ここで一旦物語は途切れる。

次は近い近い現実のお話。
働きもせず、暇をもて余す怪物は散歩途中でアリの引っ越しに遭遇する。
アリ達は小さな体ながらも、たくさんの仲間と協力し少しづつものを運んでいる。
それを見てなにもするはずもない怪物はアリのなかの一匹を踏み潰す。ここでも意地悪で卑劣で自己中心的なところをひけらかしてくる怪物はまたばか笑いする。
そこに突如として、精霊が現れる。
この森のなかでのご都合主義者No.1の怪物は精霊の評価を上げようとアリ達にドングリなどといったアリ達が今まで運んでいたもの(怪物が阻害した)をまとめて拾い上げ、あたかも怪物自身がアリ達の運んでいたものをまとめてあげているかのように精霊に見せようとする。だがアリ達はまとめたものを受け取らず、潰されたアリの弔いへと行動を移す。

そんなこんなで夜になる。
怪物は寝ようとするが、今までの彼の悪行の全てを見ていた森の木々達が怪物を責め立てる。
その攻撃は怪物が意識的に感じていた「孤独」によりさらに鋭く突き刺さっていく。

その攻撃から早く抜け出したいとやっと感じる怪物は盲信している精霊に助けを求める。だが、それは無駄だと。怪物はいつの間にか今まで散々な目に遭ってきた動物達やアリ達の立場となっていることに気付く。
ただそれは遅く、着き離されていくのだった。

じゃあねバイバイと。

このような結末を迎えるこの物語。
はたして怪物は何になりたかったのか、どうしてああした行動をとってしまうのか、これはわからない。
他人を客観視するのは普通の目線だが、自分を客観視する、もしくは相手の目線に立って物事を考えるのは難しい。
それだけでなく、少しでも何か自分のなかでこの行為は良いことであるだろうと思ってしまうと怪物のように視野が狭まってしまうのだろう。


最後に

この作品は今を生きている私にとって、とても考えさせられるものとなりました。
他人のなかのMONSTERにならないための心の置き所を探してみて、いろんな立場に立ち物事を見ようと思いました。


是非、聴いてみてください。

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