私以外がみんな間違えた問題

これは高校三年の時のこと。定期試験の物理で、ある問題が出された。
クラスに三十人くらいいる。このクラスは皆理系志望なのである程度は物理は得意と考えている集団だ。

正解したのは私だけ。他はみんな間違えた。

他の人が間違えた理由は、はっきり言って私にはさっぱりわからない。私は、問題文の中に書いてある文章をなぞって、式を書いただけなのだ。
あるいは「描いた」でもいい。掛け算割り算が入り混じって建て増しに建て増しされたような奇怪な数式が出来上がったのである。

学生の頃、私はほとんど公式は覚えなかった。但し、公式の導出は覚えた。私がこの問題でやったのは、公式の導出の時の最初のように、順に式を組み立てていっただけなのだ。まるでブロックのおもちゃを組み立てるように。
公式というのは、このブロックのおもちゃを組みなおして、もっと簡単な形に直していくと、すごく簡単になってしまうものだと思ってしまえばいい。
その組みなおし方が公式の導出だ。

だから、私は公式を使わずに単純にブロックを組み立てた。だから正解したのだと思う。

今になって思うと、ほかのみんなはある程度物理が得意な人たちだったから、公式を覚えていたんじゃなかろうか。だから単純に問題から式を組み立てずに、公式を組み込んでいったんじゃないだろうか。だからへんてこな式が出来上がったんじゃないだろうか。

そんな思い出がある。
ちなみに、その時の偏差値はやたらすごい数字が出たはずだ。80くらいになったんじゃなかったかな。偏差値なんてものはそんなものだ。

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