重武装営業マン代理業社

「ご挨拶に参りました」

会社の玄関に重武装重装甲の営業マンが飛び込んできた。飛び込み営業だ。
「アポイントはございますでしょうか」
同様の重武装重装甲の案内係が受け答えをする。
「いえ、ありませんがご挨拶だけでも」
「当社はアポイントなしでの営業はお断りしております」
「そうですか」

営業マンはいきなり攻撃を開始した。案内係もこのような事態には慣れておりすぐに応戦。しかし見た目重視の紙装甲。社内の応接係が来るまで持てばよいと割り切ったものだ。

しかしこの営業マンの武装は強力だった。案内係は初弾で無力化した。営業マンはジェットを吹かせ、無理やり応接室に入り込んだ。

「おい、まさか」「これは例の」社内があわただしくなる。装甲強化型の応接係が密集し盾を作る。
「いかがなさいましたか」
「いえ、ご挨拶だけでもと思いまして」
「案内係が申しました通り、当社は…」

営業マンの武装が火を噴く。数名の応接係による盾は数発は受け止めたが、一名、一名と無力化されていく。とてつもなく強力な営業だ。

外回り用に銃弾を装填していた営業達があわてて駆けつけてくる。
「当社の営業です。本日は何の御用で」
「名刺だけでもお渡しできればと思いまして」
強力な飛び込み営業マンは武装を高出力レーザー砲に切り替え、装甲をも穿つ強力な通信レーザーに会社と自身の名前をエンコードし発射する。
営業達はレーザー光を躱すが数名が被弾。そのため営業プロトコルに則り自分の情報を営業マンへと打ち返す。

会社内でコード化された通信が飛び交う。[奴だ!役員に連絡だ!][『経営権』を守れ!]

営業達の交渉は続く。
「魅力的なご提案ですが、一旦、この件は社内で検討しましてから。」
「でしたらこちらはいかがでしょう。」
会議室内を実弾やレーザービームが飛び交う。無力化した営業から資金が流れだす。

[対策案を技術に出させろ!手段を選ぶな!]
[もう株の交換が始まっている?!]

【続く】

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